78話 13歳 12月1日 星の川作り、アンデッドの召喚
3番棟0601号室からおはようございます。今日は12月の1日、鉄迎派の授業に来ております。どうも、ヘルマンです。ついにこの日がやってきましたよ。戦闘才能限界突破のアクセサリーの作成、この授業が。星の川を作るときが。もちろん僕が使うのは満月茸の光属性の魔石。上手くいけば僕の剣士の才能が星8つまで行くんですよ。まあ、他の才能になることもあるとのことですし、何回かガチャをすれば出るだろう。とりあえず、500連は引けるんです。レア度ノーマルな剣士の才能くらい10連もあれば大丈夫でしょ。さてさて、授業のスタートですよ。
『今日は諸君が待ちに待った戦闘才能限界突破のアクセサリー、星の川の作り方を教える。まずは、錬金陣を敷き、その上に錬金釜を置くのだ。』
指定の通りに錬金陣と錬金釜を設置する。錬金陣は本刺繍の終わった物だ。1年かかったぜ、本刺繍。終わらせてやったぜ。今日この時のために、星の川制作のために急いで刺繍しましたよ。豊穣会で錬金陣も錬金釜も魔杖も使うよって言われたときに急いで刺繍しましたとも。なるべく成功率をあげるために。さあ来い。
『そして、錬金釜に魔石を入れる。自分で用意のできた最大限の魔石を入れるのだ。そして魔杖を錬金釜に差し込み、己の才能に働きかけろ。魔力を最大限注ぎ込め。才能の奥底にある根源を注ぎ込むのだ。』
言ってることは訳わからんが、訳わからんとの事だったので、これが正常なんだろう。さあ、魔石を投入、魔杖を突っ込む。最大限の魔力を注ぎ込みながら才能の奥底の何かに語り掛ける。星の川を、剣士の才能の星の川を作ってくれ。
「うおおおおおおおおおおお!」
「はあああああああああああ!」
「きえええええええええええ!」
奇声が聞こえてくるが無視だ無視。己の才能の限界を突破しろ。さあいけ何か。何か根源的な物。ありったけの魔力を注ぎ込みながら才能と格闘するイメージが浮かび上がってくる。ここで負けたら駄目な気がする。全力で叩き伏せに行く。負けん、負けんぞ。
「あああああああああああ!」
「どりゃああああああああ!」
「ちょえええええええええ!」
他の人たちも自分の何かと格闘しているんだろう。魔力を全力で叩き込んでいるのに、押し負けそうになるときもある。知るか。負けるか。ともかく押して押して押しまくる。気合で気力で何かに負けない様に何かを叩き付ける。理屈じゃない。根性だ。気合いだ。才能を叩き込め。
…30分ぐらいひたすら押して押して押して押しまくる。そして、何かが光った気がした。その瞬間魔力が一気に流れ込んだ。…勝った。そんな気がした。錬金釜に浮かぶ研磨され小さくなった魔石を見る。…5分の1くらいの大きさになったか? 持ってみるが何も解らない。…外れを引いたか? 持って覗いたり魔力を入れたりしてみたが、うんともすんとも言わない。…そんなことをして15分後。
『そろそろ出来てくる頃だろう。魔石に打ち勝ち、魔力を流し込めた者もいるだろう。負けたものはまた授業に来なさい。次こそは己に勝つように。そして、その魔石を持ってみて、これだと思ったら、それは自分の才能にあった物である。これだと来なかった者は残念ながら、今回は外れだ。当たりが出るまで頑張る様に。外れたものは近くにいる先輩に話しかけるとよい。先輩の持つ才能にピンと来れば買い取って貰えるだろう。隣の同級生でもいいが、星1つの物で小魔金貨1枚相当の物だ。それを考えて取引するように。因みに星2つは小魔金貨3枚。星3つが小魔金貨6枚。星4つが小魔金貨10枚。星5つが小魔金貨15枚。星6つが小魔金貨21枚。星7つが小魔金貨28枚相当だと思え。』
外れを引きましたか、ど畜生。これを毎回やるのか。…1日2個が限界だな。何がって才能が持たない。3個目は負ける。そう思う。魔杖が良いものであれば3ラウンド目もいけるかもしれないが、無念だな。とりあえず、近くの人と交換会だ。さて、僕のこれは何の才能の星の川なんだろうか? それすら解らんのだから本当に不思議な物だな。これの才能の持ち主と会えるんだろうか?
槍使い、鎌使い、斧使い、狩人、矛使い、拳闘士、棒使い、盾使い、爪使い、鞭使い、鎚使い、扇使い、闘士と当たった。こんなに武器の使い手がいたのに誰にも当たらなかった。…後何が残ってるんだ? 何でもないとかはあり得んよな。いったいこれは何の才能だろうか。…次はこの先輩だ。
「すみません、買い取って貰いたいんですが。」
「…俺は無理だと思うけど、とりあえず触ってみよう。―――これだ! 来た! ついに来たか! これは星5つ分だな! 買おう! いいか?」
「はい、いいです。小魔金貨15枚です。―――確かに頂きました。…因みに何の才能でした? 軒並み駄目だったんですが。」
「英雄の才能だ。まさかこの才能の星の川ができるとは思っても見なかった。これでも5年はここに来ているんだが、中々巡り合わなくてな。」
「英雄ですか。…因みに星は幾つですか?」
「英雄の才能に星7つと錬金術師の才能に星3つだ。これで英雄の才能が星9つと3つになったわけだ。本格的に騎士爵を狙いにいけるな。」
英雄の才能とかスーパーレアを引いていたのかよ。そんな激レアなんていらんのだよ。剣士の才能、ノーマルな物でいいんだよ。しかし、この人僕と真逆な才能構成してんな。何で錬金術師をやってるんだろうね? 職業間違ってるよ? でも、今回で人外の領域に踏み込んだわけだ。ミズチ位ならソロでもいけるんじゃないの? 装備さえ揃えたらさ。
さて、これで判ったが、これだと思ったら星の増えた数も解るんだな。星5つ分って当てられたもんな。あんな感じになるのか。まあ、ガチャ続行よな。とりあえず、今日はもう一戦出来そうな感じがするし、幽明派の授業に出てから自分の部屋でやりましょう。さて、次の授業はアンデッドの召喚ですね。こっちも楽しみにしていたんです。こっちも技の域なんじゃないかとは思っているんですが、皆で召喚したらパンデミック確定なんだが。でも召喚した奴は倒すと消えるって言うし、なんでなんだろう。まあ、不思議だけど、解らないままでいいや。幽明派じゃないし。
そんな訳で、やってきました修練場。今日は日の当たる場所での授業です。召喚だから場所が狭いと万が一があるからな。…今は鉄迎派の人たちがいる訳じゃないし、強力なのを自爆ってくれるなよ。配られていた闇属性の魔力茸を貰って適度に広がり、早速授業です。
『今日はアンデッドの召喚をやります。召喚したアンデッドはテイマーの才能持ちであればテイムを試してみてください。データが欲しいので。その後は速やかに討伐してください。自分で討伐出来ない場合は隣の人に頼みましょう。それでも無理な時は鉄迎派の人たちを呼びますので大丈夫です。それでは始めます。』
色々と突っ込みたいところですが、要は倒せばいいんだ。ゴブリンゾンビ辺りが来いよ。倒せるやつな。
『まずは錬金陣を地面に敷いてください。そして魔杖を持ってください。準備した素材を錬金陣の真ん中に置きます。そうしたら『エクステンドスペース』と同じように空間を開いてください。この時に使用する魔力は準備した素材の魔力を使ってください。複数の素材がある場合も全ての魔力を使って開いてください。そうすれば冥界に繋がると言われています。それでは始めてください。』
魔力茸の魔力を引き出し、それで『エクステンドスペース』のように開くっと。…白じゃなくて黒いんだが、大丈夫これ? ⁉ 何か出てきました。なんだなんだ。…ゴブリンゾンビですか。驚かせやがって。まあいい、さっくりと倒しましょうね。細切れにすればいいだけですし。…倒し終わりました。あっけなし。…不浄の魔石のドロップは無しと。しかし本当に死体も消えてしまうんですね。不思議だなあ。さて、片付けを始めましょう。今の所異常は出ていません。悲鳴も上がっていませんし、想定内の範囲で終わるんじゃ無いかな?
『召喚を終えて倒し終わったら解散でよろしい。不浄の魔石と言うものが残った場合は買い取りますので前に持ってきてください。倒せない人は早いとこ悲鳴をあげましょう。周りの人が減る前に倒してもらってください。それではお疲れさまでした。』
なんだ、もう解散か。…じゃあ第2ラウンドだな。星の川ガチャを引きましょうね。30分位格闘することになるのと、多分これをやると暫く錬金術をやりたくなくなるのがデメリットでしょうが、星8つになるのはそれを加味しても惜しい。鉄迎派では無いけれど才能を足せるのは強すぎるからな。さてさて、自分の部屋に行って戦いに赴きましょう。まだまだ魔石の残弾は残っていますよ。期待と希望を胸に抱きつつ、自分の部屋に帰るのだった。何回ガチャを回せば剣士の才能の星の川が引けるのだろうか。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。