75話 13歳 9月12日 ゼミの日 ウーズ爆誕、不浄の魔石
地下の部屋からおはようございます。9月の10日、今日は普通の日ですよ。どうも、ヘルマンです。別に成果無しで行ってもいいんだけど、なんとなく、何かしら作っていきたいと思っているので、何かを作りますよ。…何を作ろうか全く構想が無いんですが、時間も無いので適当に混ぜて行きたいと思います。
という訳で昼まで色々混ぜたんですが、うーん、余りこれと言った物が出来ておりません。多分、誰かしらが作ったであろう錬金武器に失敗作の暗黒物質。暗黒物質だけで10以上作っております。属性素材も沢山暗黒に飲まれていきました。…暗黒物質を錬金術で何とかなりませんかね。…とりあえず、迷ったら作ってみましょう。暗黒物質に魔石を投入。暗黒物質10個に魔石10個、スライムを作った時と同じ要領でやってみましょう。…黒い煙が出てきました。これはあかんやつでは? まあ、まだ駄目とは決まっていません。とりあえず混ぜ続けましょう。…15分で出来上がりましたが…なんぞこれ? トイレのネバネバとスライムの丁度中間の様な物が出来上がりました。
…魔物なのか? 作った感じでは魔物なんだが。スライムとは違うよな。保存瓶に入れてみよう。これに入ればスライムとは違う。保存瓶を食べればスライムの一種だ。…スライムの一種ならば何ともならんぞ。テイマーの才能が無いからテイムできない。…保存瓶は溶かさないみたいですね。『エクステンドスペース』にしまえます。どうやらスライムでは無いらしい。とりあえず、ネバネバ寄りになりましたが、とりあえずウーズ君と名前を付けておきましょう。
さて、ネバネバ寄りならば餌があるはず、何を食べて何を吐き出すのか、吐き出さないのか。早速実験です。…暗黒物質を食べました。そして出てきたのが…魔石か? なんかもの凄く中が暗黒色なんだけど、…魔力は通ります。魔石寄りの物が出来上がりました。…なんだろうこれ。闇属性よりも根源的な不味いものではないでしょうね。不思議な物が出来ましたが、これは何に使えるんでしょうか? …蒸留してみますか? いや、なんか浄化した方が良いものなら蒸留してみたら面白味のある物が出てきたりしませんかね? 1個じゃ少ないかもしれませんし、10個位用意しましょう。
さて、いざ蒸留。何か蒸留できるでしょうか。出来たら魔石じゃ無いと思います。…じゃあなんなんだとは思う訳ですが。さてそれじゃあ1時間蒸留してみましょうね。…1時間経ちましたが、水以外出てきません。むう、外れですか。蒸留は意味のない行為だという事が解りました。とりあえず次に行ってみましょう。
この魔石、なんとなくですが、不浄なものではないのでしょうか? なんか幽明派の領分な気がしてきましたよ。アンデッドの召喚が出来れば何か解ったかもしれませんが、それは12月の授業なんですよね。不浄というよりも、属性の残りカスの様な物なのかもしれませんが、何に使えばいいのか解りませんね。…とりあえず、ゴブリンを作ってみましょうか。この間魔境に行きましたからね。ゴブリンは入荷したんですよ。魔物ゴブリンを作ってみましょう。
とりあえず、ゴブリンの死体1つと魔石の様ななにかを錬金釜に掛けております。なんとなく成功しそうな気がします。とりあえず、混ぜ続けましょう。…1時間くらい混ぜています。腕が流石に疲れてきましたよ。…おっと、ゴブリンの死体が固まり始めました。魔石の様ななにかと一緒に混ぜ合わせる。…出てきました。魔物が作れましたが…ゾンビですね。ゴブリンゾンビが出来ました。なんでだ? やっぱり不浄の物だったのか?
まあ、討伐しましょうね。…このゾンビ、どうしましょう。倒したのはいいんですが、浄化してもらわないといけないのですが…。幽明派に引き渡すか? そっちの方が専門家な気がするな。…今度は幽明派を巻き込むのか。台風の目みたいで嫌なんですが。でも教会で浄化してはい終わりとはいかん出来事だろう? ゴブリンゾンビが魔物として出来たんだもんな。襲ってきたもんな、一応。気が向かないが、報告書は書きましょう。そして幽明派を巻き込もう。
そんな訳で、9月の12日、ゼミの日です。今回も5番棟0304号室です。いつもここなのでここが定位置なんだろうね。さて、今日のゼミですが、幽明派を呼んでもらうための準備といったところ。この仮称、暗黒魔石の存在が確認されているものなのかとかそんな感じです。さて、伸るか反るか。
セレナさんが到着して時間です。豊穣会が始まりました。
「時間だな。では今月の豊穣会を始める。まずは私の方から、蒸留器の報奨金が確定した。大魔金貨20枚分の成果だとのことだ。半分はヘルマン君の物だから受け取って欲しい。」
「ありがとうございます。」
「よろしい。では、もう一つ。お酒のネバネバについては公開した。ヘルマン君が調味料を出すと言っていた方は公開していないが、まあ、自由に使ってくれていい。お酒の方は報奨金は出なかったが、造命派から礼金が出ている。こっちは大魔金貨10枚だな。これも半分ヘルマン君に渡す。…さっきの袋にすでに入っているから心配しなくていい。さて、私からの報告は以上だな。他にある者はいるか?」
「では、私からお願いが。東の方の作物の種を―――」
どんどんと豊穣会が進んでいく。種の買い方も豪快なんだよね。とりあえず、東で確認されているものを片端から全部。とか頼むんだもん。毎回そう頼むんだろうけど、結構漏れがあるらしく、新たに見つかる作物もあるそうだ。…村の1つ1つを把握しているわけじゃないから新規に見つかることもあるんだってさ。それに農家の才能のせいで品種改良されていく作物もあるし、色んな発見があるんだと。治水は解らん。ため池位なら解るが、それまでだな。大きな河川の流れを変えたりどうしたりと大きな事業については解らんの一言だ。…なんか王領の河川の1つは違う方向にも流した方がいいらしいんだよね。流量が最近増えてきたんだって。霊地の影響なんだけど、放っておくと氾濫するから支流を増やして水の逃げ道を作らないといけないとか言われたってなあ。話がデカすぎるんだよ。そんな訳で2時間くらい話していたか。そろそろいいかな?
「―――では、他にある者はいるか?」
「じゃあ、僕から。何かよく解らない魔石みたいな物を作るネバネバが出来ました。」
「ネバネバ? また造命派に話を付けるのか?」
「いや、それよりも魔石みたいな物の方が重要だろう。現物はあるか?」
「これがそれです。」
「…これは、不浄の魔石だな。」
「聞いたことも無いですね。」
「なんですか? 不浄の魔石とは?」
「不浄の魔石はアンデッドを召喚すると極稀に落として消えるんだが、基本授業レベルのアンデッドからは落ちないからな。前に落とした時は6年程前の事だな。闇属性素材を買い漁ってアンデッドを召喚したことがあったろう? その時に倒したハイレヴナントから落ちたのが最近のはずだ。」
「召喚したアンデッドって消えるんですか?」
「ああ、ヘルマン君も授業で召喚するだろうから知っておいた方が良い。召喚されたアンデッドは倒すと消えるんだ。…その消えるときに稀にこの不浄の魔石が落ちる。…何に使うかまでは私も知らない。幽明派の領分だな。」
「幽明派はこの不浄の魔石を集めているんですか?」
「いや、私は知らないな。…他の者はどうだ?」
「幽明派なあ、知り合いがいないことは無いが、集めているとは聞いていないし、そもそも俺の知っている奴は召喚は専門外だったはずだ。」
「…俺には幽明派に心当たりは無い。鉄迎派には多いんだが。」
「私はいるわね。召喚をしているかは知らないけど。」
「私も知り合いはいるわ。集めているかは知らないけど、この間召喚をしたゼミの出身だから集めているならそこがいいんじゃないかしら。」
「私も知り合いはいるけど、何してるかまでは知らないなあ。」
「…デボラの知り合いの所にするか。召喚をしている派閥なら何かしら必要としているかもしれないしな。…次回のゼミに呼んでくれるか?」
「連絡は取れるから可能よ。…来てくれるかまでは解らないけど、不浄の魔石って名前は出していい?」
「ああ、出した方が来てくれるならそれの方が助かるな。秘密でも無いんだし来てくれる方が助かるからな。」
「判ったわ、呼んでみる。」
「それで、ヘルマン君、報告書はあるか? 君なら書いているだろう?」
「はい、とりあえず、これが報告書です。」
「ありがとう。――――――ふむ、失敗物を使ったのか。それにゴブリンゾンビ? 魔物の作成でアンデッドが出来たのか?」
「はい、倒してしまいましたが。浄化が必要なんですが、教会に持って行った方がいいですか?」
「いや、幽明派に引き渡そう。研究素材にもなるだろう。…要らないと言われたら教会に持って行くといい。教会の場所は知っているか?」
「地図で見たときに場所は大体確認しています。」
「詳しい場所を言っておこう。明水寮と6番棟の間くらいに裏門がある。そこから行けば直ぐに南東方教会がある。よく幽明派がアンデッドの処理に使っているから心得ているはずだ。」
「解りました。」
「…それにしても今度は幽明派か。よく巻き込むなあ、お前も。」
「…巻き込もうと思ったことは無いんですけどね。」
「まあ、仕方あるまい。次の報告者はいるか?」
まだまだ続いて行く豊穣会。でも後関わってないのは永明派と…鉄迎派位か? 関わってないといえば違う気はするが、巻き込んでないのはその2つだな。幻玄派を錬金術師になる前に巻き込み、入学早々黎明派を巻き込み、この間造命派を巻き込み、次回は幽明派を巻き込んだ。この大嵐は何処まで大きくなっていくんだろうなあ。色々な報告を聞きながら、豊穣会が過ぎて行った。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。




