72話 13歳 8月3日 授業のおさらい、スライム作り
今、割と先の話を書いておりますが、
一応今作の世界の一端に触れた感じですかねえ。
大分先を書いておりますが。
今のところ、世界観が暴かれたわけでもなさそうですし、
矛盾も大きなところは出てきてないと思ってますし、安心しきっている作者です。
まだヒントなんてゴロゴロと転がってませんし。
でも何故か当てる人がいるって話ですし、なんでなんでしょうね?
2番棟0601号室からおはようございます。今日は8月の3日、造命派の授業ですよ。どうも、ヘルマンです。昨日一昨日の2日間で他の授業は終えた。特筆すべき事は無かったかな。
まずは永明派の授業。魔力回復ポーションを作りました。普通に魔力茸を錬金釜で溶かすだけでした。簡単でしたね。その後、いつもの如くエンドレス初級ポーション。先生運はない模様。すぐさま帰して欲しかったです。
次は鉄迎派の授業。魔鉄から鉄を作成しました。魔鉄を鉄インゴットの形に変えるだけで鉄になりました。動かしたり固めたりするのに魔鉄の中の魔力を使って形を整えるから魔鉄から鉄になるみたいです。まあ、簡単だったからよし。とりあえず、持っている魔鉄の大半を鉄インゴットに変えました。錬金陣でもできるようですが、錬金釜の方が楽でした。鉄インゴットは今後の魔鉄にするのと造命派や黎明派の授業でも使うので、沢山作りました。
黎明派の授業は普通住宅の作成でした。自分の家、村の家ですね。それと同じものを何個か作りました。…幻玄派の実験場で。黎明派の実験場は空いてないんですよね。手前は見本市で奥は個人の実験場です。なので空いている幻玄派の実験場を使いました。前も言ったと思いますが、幻玄派はフィールドワークが主で使いませんからね、畑兼実験場を。
幽明派の授業はアンデッドとの感覚共有をやりました。スケルトンで授業を受けましたが、何というかラジコンを動かしているような感覚でした。色々と感覚共有をしたんですが、助手さんに言わせると、僕はスケルトンと相性が良くないみたいです。ゾンビともやってみたんですが一緒でした。僕には余りアンデッドとの相性は良くないようです。少し残念です。まあ、アンデッドの研究はやる気は無いので。あくまでも動力として使えればそれでよしです。
そんな訳で、今日は造命派の授業です。魔物のスライムの作成です。テイマーの才能持ちはスライムとの契約は義務なので、町にいる人なんかは錬金術師に作って貰ったりするんでしょうか。霊地には普通にいたんですよね。スライム。倒すのも簡単らしいですが、基本は逃げてました。あの時はジュディさんから貰った採取用の鉄の短剣しか持っていなかったですからね。…鉄の武器ってだけで十分戦えるんですが、子供ですからね。逃げても十分逃げれるし、倒しても何も無いからね、スライムは。
核なんかもない。半透明のブヨブヨなんですよ。今回作るのも倒してしまうんでしょうね。…というか自然発生する理由も解る気がします。魔石10個と魔力茸10個ですからね。霊地の環境ならば直ぐにスライムが自然発生してもおかしくないです。そう言う訳で、授業スタートです。
『今日はスライムを作って貰う。ネバネバを作った時の様に才能に逆らう様に錬金術を使うからしっかりと集中力をもって行うように。それでは最初に魔力茸を10本入れる。次に魔石を10個入れる。入れる順番は変えない様に、失敗する確率が上がるからね。そして魔力茸の魔力を引き出して混ぜ続けな。この時、魔石の魔力と合わせない様に。それはネバネバの時と同じだよ。』
ネバネバの時と同じなんですね。今回は魔力が多い為、ちょっと苦労しそうですが、魔力操作はちゃんと訓練してきましたからね。ネバネバを沢山作ったのでこれくらいの魔力操作は問題なしです。
『順調にいけば魔石が溶けてくるはずだよ。そして魔石が溶けきったら今度は魔石が固まってくるはずだ。固まってもいいから混ぜ続けろ。魔力茸の魔力は絶対に混ぜるなよ。そしたらまた魔石が溶ける、固まる、溶ける、固まるをずっと繰り返しな。絶対に魔力茸の魔力を混ぜるんじゃ無いよ。』
ほう、今回は混ぜないのね。溶ける、固まる、溶ける、固まるを繰り返していく。…何か変わるんだろうか? 何も変わらないような気がするんだけど。
『十分にやったら魔力茸の魔力の方が固まってくるはずだ。そっちも固めていい。そうして両方固まった時に魔石同士を混ぜな。そうしたらスライムが出来るはずだよ。これでスライムが出来ない場合は魔石の方に魔力が流れて行ってる証拠だよ。しっかり魔力操作を鍛えな。スライムが出来た奴は倒して授業終了だ。出来なかった奴はできるまで残れ。できるまでやってけ。』
…おー。スライムが出来た。不思議だ。とりあえず倒そう。ナイフでさっくりとやる。あっけなし。
『今回やったのは魔物作りの基礎だ。もっと強力な魔物を作りたいなら魔石の品質をあげることだ。属性を持たすことだ。それが一番の近道だ。そして魔力茸の方、そっちの方が魔物を決定づける。ゴブリンが作りたきゃゴブリンの死体を混ぜな。オークが作りたきゃオークの死体を混ぜな。それが魔物の作り方だ。それ以上の魔物を作りたきゃ造命派のゼミに来な。何処のゼミでも教えて貰えるだろう。合わなきゃゼミを変えりゃいいんだ。少なくとも今の時期ぐらいからゼミの方に顔を1つでも出しときな。ゼミは逃げないが時間は逃げるんだ。年末までにゼミを決めなきゃ中途半端な錬金術師生活になるんだよ。しっかりと選べ。』
…成る程、言葉は荒いが至言だな。時間は逃げる。短命種である人間は特にだ。生き急いでなんぼ。僕は1月からゼミに行っているが、本来はこの辺りから選ぶのか。もう1年の半分を過ぎてるんだもんな。それぞれの進路を探さないといけない訳だ。エド以外の3人はどの派閥を選ぶんだろう。エドは鉄迎派の何処のゼミに入るんだろう。楽しいゼミ生活を送ってくれればいいけど。
さてと、魔物の作り方も面白かったな。15分ぐらいで済んだが、強力な魔物に成る程に時間がかかりそうな感じがした。ビッグスライムでも多くの魔石、質よりも数な気がする。それに魔力茸も数が要りそう。逆にゴブリンなんかは魔石よりも死体の方が重要そう。…スライムも魔力茸1本と魔石1個でも出来そうな感じがした。…その分時間がかかりそうなんだよな。ちょっと質問していこう。
「すみません。今回スライムを作った際に感じた疑問がありまして。」
『ああ、何でも聞きな。質問だ。他の奴も聞いときな。』
「スライムなんですが、魔力茸1つと魔石1つで出来ませんか? 時間はかかりそうな気はするんですけど。」
『質問はスライムの材料が1個ずつでもできるんじゃないかって話だな。答えはできる。ただし、1時間は混ぜてないといけなくなる。10個ずつが一番早くなる境目だ。それ以上入れても早くならない。それどころか入れすぎればビッグスライムになっちまう。だから材料が惜しければ少な目で時間を掛けてやりな。普通は時間が惜しいし疲れるから数を入れて時間を短くするんだ。解ったか? 因みに魔石の質をあげれば時間は伸びる。入れる魔力茸も属性付きにすれば時間が伸びる。伸びた分強い魔物になる。まあ、今日の材料なら強くなってもヒュージスライムまでだ。基本的には時間と資源の無駄だ。テイマーがいれば別だろうがな。』
「ありがとうございます。参考になりました。」
『質問終わり。他の奴も質問がある奴はスライムの作成が終わってから質問に来な。全員に聞かせるからな。』
成る程ね。この数の方が効率がいいのね。頼ってきたテイマーがいたら10個ずつが一番いいんだな。…スライム以外を頼られたらどうしようね? ま、その時に考えよう。才能は余り役に立たないんだから、勘とセンスで作らないといけない訳だが。その辺は錬金術師の腕の見せ所なわけだ。造命派もこの技を昇華させて自分を作りに行くんだろう? 自分を作るには何がいるんだろうね? 自分の腕位入れないといけないとかなのかな。腕位なら切り飛ばしても至高のポーションで生えてくるもんね。…なんか極まった人たちはやってそうだなあ。僕は絶対にやりたくないが。そんな訳で、授業も終了いたしました。ゼミの準備中なんだけど、良いネバネバが出来ないんだよね。牛の乳とか有ればまた違うんだろうが、食材関係はやりつくした感があるんだよなあ。属性素材なんかはもう混ぜているだろうし、他に混ぜていなさそうなものはないものか。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。