表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/201

71話 13歳 7月13日 ゼミの日、蒸留器強制公開、お酒のネバネバ

過去話の誤字報告が次々とくる…。

読み返してもらっているのか、新規さんがいるのかは知りませんが、ありがとうございます。


作者がポンコツですみません。

 5番棟0304号室からおはようございます。今日は7月の13日、ゼミの日ですね。どうも、ヘルマンです。今回の報告内容はエールのネバネバになるでしょうか。その他色々なネバネバを作りましたが、活用できそうなのは主に7月の7日に作った物になるでしょう。…他にも一杯ネバネバを作ったんですが、基本的には下位互換になる物が多かった。


 トマトを混ぜるとトマトジュースを出す様になったり、玉ねぎを混ぜると、涙が止まらない様になる粉が出来上がったり。色々と試しました。属性素材や魔石なんかは試しているだろうから、購買で買えるまあ混ぜないだろうと思うものを混ぜて見たんですが、初日が上手いこと行き過ぎただけで、他の日はそうでも無かった。色んなネバネバを作って解ったことだが、特性が近いネバネバは合体できるという事が解ったくらいか。これはどちらかといえば造命派の領分だと思います。


 なので、お酒好きに嬉しいであろうネバネバの存在を報告に挙げようという訳です。お酒に関しては色々出来たんですよ。果物でもお酒ができる様になりました。…快命草のネバネバさんが活躍してくれるんですよ。快命草のネバネバと何かしら液体になる果物のネバネバを混ぜると酒になるんですよね。不思議だけど、何でかは解らなかった。なんでなんだろうまでは造命派の領分と割り切ることにしました。…セレナさんが到着して、時間になりました。


「時間だな。今月の豊穣会を始める。今月は私からは特に報告が無い。報告のある者から進めてくれ。」


「では、私から。ヘルマン君が作った道具ですね。あれの名前をどうするのか聞いていませんでした。あれの名前はどうしますか?」


「あれですか。あれなら蒸留器という名前にしました。…報告書は一応書いてきましたが、公開するつもりは余りないんですが…。」


「いえ、公開しないと不味いかもしれないですね。お酒の件は伏せて匂いを取り出す道具として出した方がいいでしょう。…今日の私は髪洗液にローゼルの精油を混ぜたもので髪を洗ったのですが、どうですか?」


「…多分、男衆は俺と一緒だろう。解らん。これは獣人族の方が聞くべきじゃないのか?」


「獣人族としては確かにローゼルの香りがします。人の匂いも隠し過ぎないこの程度ならいいんじゃないかと思います。」


「ですね。この程度の香りなら問題ありません。」


「ローゼルもいい香りですしね。」


「そう、じゃあ他の女性陣はどうかしら? …これは流行るとは思いませんか?」


「…メラニーが髪洗液にローゼルを早速混ぜるとは思わなかったけれど、これは絶対に流行るわ。こんな香りをさせられれば、お茶会でまた注目を集めるわね。」


「私もそう思います。髪洗液の件ならもう女性陣には存在がバレています。…何が材料なのかの探りが私の方にも来ましたから。15日前くらいに私の方もお茶会でお披露目してしまいましたし、豊穣会からもたらされた物だという事はもうばれていると思います。…それがローゼルの香りが付いてくるとなると紛れるでしょうけど、探す人が増えるのは時間の問題だと思います。」


「お前ら早すぎるぞ! まだ2か月かそこらじゃねえか! くそ、元貴族女性を舐めすぎてたか。なりふり構わずで生産した方が良さそうだな。そんな広がり方されたらオーモンド伯爵領で作っているだろう事はバレるに決まってる。」


「悪いとは思ってないけど、ごめんなさいね?」


「どうせ遅かれ早かれバレるのだし、いいではないですか。」


「正直なところ、ガブリエラのせいでしょうね、豊穣会が出所だとバレたのは。平民が輝く長い金髪を見せびらかせて見なさいな。お茶会相手以外からもこちらに連絡が来ましたもの。」


「だってー、一度洗ったら辞められないじゃん? しょうがないと思うのよ。」


「そうよねー。しょうがないわよねー。綺麗なことは良いことだものー。うふふー。」


「…セレナさんも髪洗液に精油を混ぜています。森の香りと表現してもいいと思います。」


「多分、快命草と他の花も何種類か混ぜていますね。草原の香りがします。」


「そうよー。久しぶりにがんばったわー。」


「セレナ女史もか…。まあ、やってしまったものは仕方ない。錬金アイテムだって事さえ漏れなければある程度は独占が叶う。…3年持つかどうかだな。平民にも広める予定だから別にいいんだけどよ。」


「…それで、蒸留器は公開すべきという事なんだな?」


「そうね。豊穣会からもたらされたものという事で暫くは時間が稼げるとは思うわ。ローゼルの精油の作り方も添えておいてあげれば髪洗液までたどり着くまでに時間が掛かるわよ。…精油も油だし、直接髪に塗ってみた感じも良かったしね。…ちょっと匂いがきついのと、量を確保するのが大変なだけで。一応髪洗液にはならなかったから、ユガルヒの種油の特性とは別みたいよ。」


「…獣人にとっては暫く鼻が痛くなりそうです。普通の髪洗液であれば匂いが無いのでいいんですが。」


「というか、髪洗液にはならなかったんですね。僕にはそっちの方が驚きです。」


 油だからやってやれない訳ないと思ったんだが、駄目だったのか。…何でだろう? 同じ植物由来の油なのに。まあ簡単に独占が崩れないだけいいんではないかな。


「さて、それではヘルマン君が作った蒸留器は公開するという事でいいか? 一応、名義だけは私のものも追加しておくことにはなるが、ヘルマン君、いいかい?」


「はい、解りました。」


「よろしい、では次の報告がある者は。」


「じゃあ、俺から。蒸留器繋がりでだ。ヘルマンが酒を蒸留機にかければ火酒ができるって話だったからよ、やってみた。結果、火酒は出来た。同じものかは知らねえが、火は付いたからな。味はまあまあだな。だが色んな酒で試したが、味わいが全ての酒で違ったから辺境伯んとこと同じものがどれかも判らねえ。まあ、王都まで持ってきても王族に行くだけだからよう、こっちには回ってこねえから味はどうだっていいがな。とりあえず、火酒は出来た。それだけだ。」


「うむ、我もやってみたのである。同じように火酒が出来たのである。さらにその火酒を蒸留器にかけることでさらに強い酒になるのである。限度はあるであろうが、何度もやればやるほどに酒の強さが強くなっていくのである。…代わりに味や風味が飛んでしまうのである。」


「火酒で火酒を作るのか! それはやってなかったな。俺も今日から作ってみるか。酒が多くなるのは良いことだよなあ。」


「…蒸留器を公開したらこうやって酒好きが秘匿技術の酒に似たものを作り始めるんじゃないのか? 辺境伯が横やりを入れてきたりしないか?」


「横やりはこの際仕方ないと思っている。だが、これだけであれば錬金術師しか作れない訳だし、大規模にやろうとする方に釘を刺しに行くだろう。あくまでもこれは精油を精製するものだと言い張るつもりだ。…辺境伯の方もこちらには物言いは出来まい。物言いを付ければこの製法が正しいものだという証明になってしまうからな。」


「…成る程な、秘密にやる分には黙認するしか無いって訳か。声をあげたら藪蛇になりかねないってことなんだな。」


「そう言うことだ。意図的に漏らしたわけじゃ無いからな。別の物を作るものが、火酒も作れたというだけだ。それにこれも余り使い道は無い訳だしな。使うのも女性の方が多いだろう。女性には酒好きは少ない。それ以上に精油の精製の方に気が向いてくれるだろう。…万が一もあるから私の名前も入れたのだ。ヘルマン君まで危害が及ぶまでにはヘルマン君の寿命が来ているはずだ。」


「そうか。ヘルマンは長寿種じゃないから逃げ切れるか。それにこれを禁止するのは女性貴族を全て敵に回すと言っていい。辺境伯もバカなことはすまい。」


「だな。この精油は絶対に女性貴族に流行る。流行った物を禁止するほどには辺境伯も力はない。というか誰も止められないだろう。たとえ王族でも無理だな。」


「…女性貴族を全員敵に回すのは怖すぎる。公開されたら依頼が舞い込むんだろうな。色んな所から。」


「…だろうな。蒸留器を作るのは錬金術師にしか無理だが、扱うのは平民でもできる。精油を作る仕事ができるかもしれんな。」


「多分、蒸留器なら銅が有れば作れると思いますよ。何もガラスで作らなければならない訳じゃ無いですから。」


「銅で作れるとなると、鍛冶屋か。仕事が舞い込みすぎるようなら銅でも作れるって事を言ってやるか?」


「いや、始めから銅で作る物に報告書を変えておいた方が良いだろう。ガラスでも可にしておいた方が、錬金術師に依頼が来にくいだろう。無駄に蒸留器を作る仕事ばかりをやるわけにもいくまい。」


「では、報告書を書き直しますか?」


「それはこちらで書き直そう。悪いが報告書を渡してくれるか? ある程度の偽装も入れておく。」


「解りました。―――これが報告書です。」


 報告書は僕の手から離れたし、後は野となれ山となれだ。辺境伯も噛みついて来れない味方が付いたからな。…全貴族女性を敵には出来まい。…それに精油を作るくらいで他はほぼ何も作れないからな。これで問題無いだろう。火酒の方の蒸留器は作り方はなんとなくだけど、知っている。銅で作っているというのはそこから持ってきた。まあ、鍛冶屋が細い管を作るのは面倒だとは思うが、頑張って貰いたい。


「では蒸留機に関してはこれでいいか? …無ければ他に話すことがある者はいるか?」


「あ、お酒繋がりで僕から。お酒を作るネバネバが出来ました。」


「酒を作るネバネバ? なんだそれは?」


「ネバネバってトイレにいるあれでしょ? 確か造魔よね?」


「ああ、トイレのあれの名前がネバネバだったか。頭の悪い名付けだが、最初に付けた奴は何を考えて付けたんだ?」


「知らないわよ。…でもネバネバは造命派の技の範囲よね? 鉄迎派とは違った意味で訳の解らない物だったわよね。それがどうしてお酒を出す様になったのかしら。」


「とりあえず何でかは解りませんがお酒になりました。これが報告書です。」


「…1種類だけではないのか? この書き方だと複数の造魔が作れるはずだが。」


「そうです。お酒にしたいものを混ぜたネバネバと快命草のネバネバがあればお酒になると思います。」


「…ネバネバを複数作ってさらに混ぜたのか。…これは造命派は知ってんのか? 俺は造命派には知り合いが少なすぎて解らん。」


「造命派に知り合いのいる奴はいるか?」


「私はいるわよ。仲もそれなりだし、話をしようと思えばいけるけど、この前のお茶会の件があるからあまりよ?」


「私も知っているのはメラニーと同じね。お茶会の仲間だもの。」


「私も知っている人はいます。偶に一緒に魔境に行っている仲です。」


「ローラの言っている人と私も同じ人を知っているわね。同じ魔境に行く仲間ですから。」


「ふむ、どちらかと言えばローラとケリーが言っている人物の方がいいか? メラニーとエレーナの方はそこまでの仲でもなさそうだからな。」


「そうね。他がいるならそっちの方がいいわ。」


「そうか。…で、その造命派の人は何処の誰だ?」


「名前はアリソンです。確か合命会というゼミです。若いエルフですね。貴族では無かったはずです。」


「そうか。連絡を取ってくれるか? 次回の豊穣会に招待しよう。一応ゼミ長にも話を通しておいてほしいと伝えてくれ。その時にまたこの話はしよう。」


「おいブルース。作るのは勝手でいいよな? 色んな酒が作れるんなら俺は作るぞ。これは酒蔵まで作っても文句は言われなさそうだからな。」


「…別に構わないが、酒蔵までは待ってくれ。流石に造命派に断りもないままに技の領域の物を勝手にしていいのか解らん。黎明派にはそんな規定はないが造命派には無いとは言い切れん。作り方なんかも公開しても良いものなのか確認してからだ。」


「おう、そこまで言われんでも自分達用だけだ。テオお前も手伝え。何の酒を作るのか話し合うぞ。」


「望むところである。ヘルマン殿、まずは何で酒を作ったのか教えて欲しいのである。」


「解りました。とりあえず麦と―――」


 お酒の造魔の話は少し大きな話になりそうだった。まさか造命派の技の領分だからどう扱っていいのか解らない事態になるとは。まあ、次回にお客さんが来るようだし、それまでに僕も何かと作ってみよう。お酒以外で。…調味料の奴は公開すべきか? それもまた今度決めないといけないな。一応報告書は作っておかねば。僕が行った先で広めてしまう予定の造魔だったからな。他にも色々考えてみよう。さあ、次の豊穣会は忙しくなるぞ。

面白かった面白くなかったどちらでも構いません。

評価の方を入れていただけると幸いです。

出来れば感想なんかで指摘もいただけると、

素人読み専の私も文章に反映できると思います。

…多分。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] たまねぎから防犯用催涙スプ……パウダーが完成しましたねw 暴徒鎮圧用の恐ろしい兵器が完成してしまったw
[一言] カクテルや木の樽に入れて寝かせるアイディアが才能で出せると美味しいお酒の世界が広がりますよね!ぜひ男性陣で頑張って欲しい!ヘルマンのアイディアをゼミの先輩の能力で更に向上させているところがす…
[良い点] 面白くて一気見してしまった [一言] これからも頑張ってください
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ