67話 13歳 6月3日 授業のおさらい、スケルトン作成、作ってみました蒸留器
6番棟0901号室からおはようございます。本日は6月の3日ですよ。どうも、ヘルマンです。6月の授業もこれで最後。他の授業も受けたんだけどね、まあさっぱりとした感じだった…さっぱり、うんさっぱりさっぱり。まずは永明派。解毒ポーションの作成。鎮火草を10本配布されて、快命草5本以上と混ぜてポーションを作成した。その後、時間みっちり初級ポーションを作成した。三連続で訳アリな先生に当たったわけだ。永明派は本当に初級ポーション好きね。
鉄迎派の授業はやっぱりスライム燃料から作った蒸発粉を使った錬金アイテムを作った。基本風属性の魔石を使ったものを作ったんだろうね。…魔力を込めるなと言われていたのに魔力を込めてぶっ飛んだ奴が何人か居たが、まあ自分を見ているようで非常に何ともいえない感じになった。
造命派の授業は属性魔石の合成だった。錬金釜に水属性の魔石と風属性の魔石を入れて溶かし込み、編み込んで回転収束させてドンっとやるだけだった。調子に乗って全属性の魔石も作ってみたが簡単だったので割愛。なんか秘伝のような授業かと思ってたんだが、あっさりしたもんだった。
黎明派の授業は単純構造物の作成。円柱を作ったり、四角柱を作ったりした。…幻玄派の奥の実験場で。黎明派に貸しているのだろう。使わないだろうからね、幻玄派。そのうち普通構造の家を作るからと黎明派の実験場も見学したよ。魔力が尽きた人から見学会。そして自動解散。
そんな感じ。錬金術ってなんだかなあって思うような授業が多かった。…造命派の授業は実にはなったが、合成魔石をいつ使うのかというところなのだ。授業では使わないからな、合成魔石。造命派のゼミに行ったら使うのかもしれないが、今の所全属性の魔石も使いどころがない。最低品質だろうからね。そんなに高い素材は使わなかったから。
んで、今日は幽明派の授業。スケルトンの作成。メイン動力さんの作成だ。今日の僕は気合が入っていますよ。スケルトンは絶対に沢山作ると思うんですよね。ゾンビさんは今の石臼挽きで使い終わったら廃棄の予定だ。ゾンビさんよりもスケルトン動力。維持手間、維持費が掛からないというだけで最強の動力だと思う訳ですよ。今後自分の家を作るときにお世話になると思います。さて、授業開始です。
『幽明派の授業にようこそ。今日はスケルトンの作成を行います。アンデッドを作る際に魔鉄のない死体は不要。持ってない方はおかえりください。では授業を始めます。』
まあ、ここまで来て魔鉄のない死体を持ってくる奴はいるまいに…いるのかよ。今まで何の話を聞いてきたんだよ。ゾンビを作らなかった人たちか? 1から授業をやり直してこいや。まあ、今から魔境に行くんだろうな。それかもう来ないか。全く、ちゃんと授業を受けようね。
『まずは闇属性の魔力茸と普通の魔力茸を配ります。それを受け取ってください。』
幽明派の授業も助手が多いよね。…入り口で配るのはいかんのかな? 持ち逃げがいるからいかんのか? けちけちしてる派閥じゃないからそれでもいいような気がするが。僕の所にも保存瓶が1つ配られた。…闇属性の魔力茸が1本に普通の魔力茸が10本か。
『まずは配られた素材を錬金釜に入れてください。闇属性の魔力茸から闇属性の魔力を引き出す様にかき混ぜて全体に渡らせるようにしてください。そうすれば、腐肉溶かし液が完成するはずです。』
ふむ、保存瓶からがばっと錬金釜にぶちませてかき混ぜる。闇属性の魔力を引き出しながらー。混ぜるー。…出来たような気がするな、早いな。保存瓶に液体を掬う。…真っ黒なんだが大丈夫だよな。
『では、出来た液を保存瓶に一度入れておいてください。先に死体に魔力を行き渡らせるように。特に魔鉄にはしっかりと。ゾンビの時と同じです。』
ほう、魔力を死体に行き渡らせる。これくらいなら簡単簡単。ささっと魔力を流し込む。魔鉄にもたっぷりと。
『出来ましたら、腐肉溶かし液を頭からつま先までしっかりと掛けてください。それで腐肉が全て錬金陣に吸い込まれるように溶けるはずです。』
腐肉溶かし液を掛けていく。…うわー。溶けるというより錬金陣に引っ張られていくように剥がれていきます。不思議ですね。つま先までしっかりと掛ける。骨だけになりました。…骨が浮いてる。
『では仕上げに魔鉄を骨に薄ーく貼り付ける様に溶かして、最後に魔力を込めればスケルトンの完成です。”その場に直立”と命令してください。』
魔鉄も浮いてるのが不思議なんだよな。魔鉄に魔力を流し込みメッキさせていく。…魔鉄が消えていくんだが、いいんだよな。骨の色であったはずだし。最後に魔力をドン。これで完成でしょう。”その場に直立”っと大丈夫だな。
『直立したら授業はこれで終わりです。”待機状態”と命令すれば待機状態になります。それを『エクステンドスペース』に持ち帰り、お帰り下さい。』
”待機状態”っと。さて戻ってスケルトンを量産しましょう。とりあえず石臼を回せるだけの動力が必要です。…20体も作ればとりあえずは足りるんじゃないでしょうか。強化でどれだけ強化できるのか解りませんが、普通のスケルトンよりは力が強くなるんでしょうか。それとも他の所が強化されるのか? 来月まで待ち遠しいですね。
でもまずはスケルトンを石臼を回せるくらいの数を作ってしまいましょう。とりあえず、ゾンビを片付けてスケルトン1体で回してみましょう。…回りませんね。あの時も4体必要でしたからね。とりあえずあと3体作ってしまいましょう。幸いなことに闇属性の魔力茸は沢山ありますからね。
そんな訳で、4体で何とか石臼が回り始めました。…これでもゾンビの半分くらいのスピードです。強化が待ち遠しいですが、今は出力も欲しい。後4体作ってしまいましょう。8体で限界です。これ以上詰められません。もう少し大きいならいいんでしょうが、大きいと余計に力がいります。調節が難しいですね。
8体動力にしました。ゾンビ1体よりも少し早い程度のスピードですね。こう考えるとゾンビは確かにパワーは優れています。維持手間さえなければゴーレムよりも優秀なんですが…ゴーレムも維持手間が掛かるんですよね。何が必要かは知りませんが、恐らく魔石でしょう。維持手間も極力かからない設計にしてあるはずです。でないとスケルトンでいいじゃん、ゾンビでいいじゃんってなる。造命派もその辺は解っているでしょう。
さて、香辛料なんかを粉にしているのは料理が捗っていいんですが、いかんせん料理の知識が乏しすぎるんですよね。料理の才能があるわけでなし、でも香辛料をオーク肉に振るだけで美味いんだよなあ。油があるからトンカツならぬオークカツは作った。むっちゃ美味しかった。揚げ物最高だよね。てんぷらは衣がもそもそになってなんか思ってたのと違った。水と麦粉を混ぜた奴に卵に浸したガミラクラブで作ったんだが、美味いんだがコレジャナイ感が凄かった。美味かったんだけどなあ。何が違ったのか。
そんな訳で、料理は停滞気味。オークカツの時にソースが欲しかった。ソースの材料はなんとなくだが知っている。野菜や果物の煮込んだ奴にスパイスなんかを混ぜて酢を加えたものだったはずだ。…酢ってどうやって作るの? 酒と関係があったような気がするんだが、いかんせん知識が足りない。ワインビネガーとか言うんだし、酒が関係していることくらいは解るんだがなあ。材料が解っても材料の材料が解らなければ作ることは無理だ。錬金術で何とかならんかなと思いつつも出来ていないんだよね。酢が有ればできることは多いと思うんだよな。後は醤油なんかも出来ないんだよ。マヒジュの種を使えばいけそうな気がするんだが、才能さんがピンと来てないんだよ。色々と試したんだが、失敗続きなんだよね。…一旦料理から離れようかなと思う。ふとした時に作った方が今の所上手くいっているんだよね。そんな訳で、ガラスで何かを作ろうと思います。
って言ってもアイディアが湧いてこない。こう、これだ。みたいな物が無いんだよなあ。とりあえずオークカツから連想ゲームを繋げていってみよう。オークカツ、オーク、木、木炭、炭。炭かあ。スライム燃料があるから無いんだよなあ。鍛冶屋に聞いたこともあるんだが、鍛冶でもスライム燃料で炉を燃やすらしい。たくさん集まると確かに高温になるんだよね。万能なんよな、スライム燃料。うーむ、もう一回。オークカツ、オーク油、油、石油。石油なあ。作ってどうするんだよって奴だな。石油が割と万能なのは前世の僕が言っているが、いかんせん石油の使い方が解らない。プラスチックとか便利なものは石油から出来ている。でもガラスで事足りてるんだよなあ。何でか知らないけど、ガラスが魔力100%なのがいけないと思うんだ。でも油は良いな。油、油…香油なんてどうだ? 蒸留器位なら作れそうだよね。香水系統か。また美容方面だな。
…まあいいか。作ってみるか。ガラスを上手いこと魔力操作でうねうねと動かしていく。とりあえず保存瓶3つ分位うねうねとさせる。水を入れる場所と香油を取り出したい花や何やらを入れる場所も必要だろ。3つ合わせた構造にした方が良いな。というか分けないと材料の出し入れが出来ないな。水を貯める場所、したから水蒸気を当てる穴付きの入れ物、それの蓋。蓋からは香油の含まれた蒸気を集める場所が必要だ。…なんとなく渦巻いていたような気がするから細い管を渦巻かせる。冷やす為の水を管の周囲に貯めないといけないから、水のタンクみたいなのも作ろう。保存瓶をどんどん追加していってるせいで巨大化してきたがいいのかこれ? …とりあえずプロトタイプが出来た。…いや出来てない。加熱する場所がないわ。水を入れるところを3脚にして加熱場所を確保。タンクも迫り上がったが、まあいいだろう。後は、受け口に分液漏斗が必要だな。あってよかった理科の実験知識。分液漏斗はかっこよかったから覚えてた。前世の知識も偶には役に立つ。…このデカくなりすぎた蒸留器ももうちょっと小さくなりませんかねえ。縦に1.5m、横に1m位の大型になったぞ。蛇口の横のスペースが埋まりそうなんだが。ここで料理もするから場所を取られるのは困るんだが。…まあいい。使っていくうちにブラッシュアップしていこう。こういう形くらいしか覚えてなかったからなあ。記憶の断片を繋ぎ合わせて作った蒸留器、上手く動くといいなあ。魔力茸をポイポイしながら固める。
とりあえず、香油を取り出すために快命草の花をおよそ1000本程毟って詰め込んだ。後で9本分の上級ポーションを作ってみましょう。初級ポーションはもう飽きました。上級ポーションに挑戦しましょう。授業があるが気にしない。先にやったってどうせ一杯作らされるんだ、どうせね。僕の先生運は無いからな。それじゃあ水蒸気にする水を入れて、蛇口にオークの腸で作ったホースでつなぎました。タンクに水を貯め始めます。タンクの水は上からと下から抜ける様にしてありますが、下の方はコックを閉めておかないとね。ここは使い終わってから抜く為の穴。水は温かい方が上に行くから上にも水抜きを作った。必要ないならいいんだけど、必要かもしれないと前世の僕が言っていた。…まあプロトタイプという事で大目に見て貰えれば。タンクに一杯に水が溜まった。とりあえず、蛇口を絞って少しずつでも流れる様にしておいて、スライム燃料に点火。スライム燃料は1時間くらい燃え続ける。水もその位で蒸発仕切るんじゃないだろうか? …もっと短いかな。結構水が溜まる様に作ったんだけど…その所為で沸騰も遅いんだけど。
まあ、こっちはとりあえず放置でいいよな。まだまだ分液漏斗も問題ないし、上級ポーションを作りましょうね。10本分あるけど、9本でいい。100本数えるのが面倒だから。1000本じゃない可能性もある。数え間違いも十分にあるからな。9等分に分けて魔力茸も9瓶分さて、作ってみましょう。失敗しても気にしない。快命草と魔力茸をだばあ。魔力を入れながら混ぜる。魔力茸の魔力を引き出して快命草になじませるように作っている。…作り方は知らないけど、多分あってると思うんだ。才能のままにやっただけだし。1分も掛からないのか。でーきたっと。綺麗な黄色。たぶんできていると思う。…上級ポーションかどうかを確認するほどの怪我を負う自信はない。仕方ない。このまま残り8本も作ろう。大丈夫だろう。…多分。
10分程で作り終わりました。さてさて、蒸留器の方はどうかな? …ほんのちょっとだけ分液漏斗に溜まっているけど、油少ねえ。こんなもんなのかな。標準がどんなものなのか知らないけど、こんなもんという事にしときましょう。とりあえず、香油が取れていることは確認できた。次の花を毟りましょうね。花はいらんからな、ポーション作りには。本当は葉もいらないけど、お茶ばっかり作ってもな。消費量よりも供給過多になる。
30分程経ちました。今は刺繍をやってます。この刺繍ももう4分の1位で終わります。思ったよりも早かった。…それ程に時間を取っているんだけどね。構想中は刺繍をずっとやってたからな。刺繍もこんだけやれば慣れたもんだ。考えながらでもずれる事もない。しかし、錬金術は失敗続きでめげそうになるときはある。もうちょっと成功率を上げたいなあ。才能に従っても偶に失敗するんだよ。材料が足りないのか、量が間違っているのか解らないけどね。それくらいは試行錯誤やってます。主に料理関連なんだけどさ。おっと、分液漏斗から水を出す。思ったよりも溜まってないけど、こんなもんなんだろう。油は水よりも軽い。だから分液漏斗では水が下に行く。それを出しているんだ。まだまだ油が出ていくほどにはほど遠い。どれくらい溜まるんだろうな。
1時間経って、スライム燃料が尽きました。水はまだ残っている。…ちょっと大きすぎたか? しかし、油はポーション瓶3分の1くらい溜まっただけだ。この材料はまだ油を出すんだろうか? …とりあえず油だけを分液漏斗からポーション瓶に移す。水を入れたいが熱くてずらすのが熱い。耐熱手袋が欲しいな。手袋を買って熱耐性を付けよう。…今は無いから布を沢山間に挟んでずらす。そんで上の材料入れを降ろし、水を足す。1時間じゃ無くならないけど、2時間じゃ無くなる量なんだよな。中途半端だ。とりあえず、装置を元に戻し、スライム燃料に火をつけて購買へ向かいます。火を着けっ放しだけど、大丈夫だろう。直ぐ帰ってきますので。
帰ってきました。よい子は真似しない様に。分液漏斗にはまだ少しだけしか溜まってないしオッケーオッケー。火事にもならなかったし良しとする。さてさて、耐熱手袋を作って、刺繍をしながら待つとしましょう。火属性の魔石と水属性の魔石を混ぜればいいと思います。…という訳で、1時間ほど経ちました、スライム燃料が無くなったから。そんな訳で油を取り出したのですが、ポーション瓶2分の1位でしか溜まりませんでした。…というか20分位前から油が増えてない様に感じていたんですよね。この材料では2時間が限界なんでしょう。とりあえず、耐熱手袋の性能を確かめます。…よしよし、熱くないぞ。蒸し終わった花を処分…保存瓶にとりあえず入れておきましょう。染料にはなりそうです。花を入れ替えて水を足してまた2時間、とりあえずポーション瓶に一杯に作っておきたいです。
2時間経ちました。これで、香油がポーション瓶一杯に入りました。匂いは普通に快命草の良い匂いがします。効能は解りません。とりあえず、もう何本か作ってそのまま使うか、何かに使うか考えましょう。…でここまで来て前世の僕が違和感を覚えていたんですが、これ精油では? 香油はこれと無香油と混ぜたのが香油ではなかったでしたっけ? …まあ、勘違いは誰でもあります。とりあえず、精油と訂正しましょう。…この世界で作られていたらそっちの名前を使いましょう。植物油がなかったことから、無い気がするんですが。
よく考えたらユガルヒの種油は無香でしたね。それと混ぜればよいのでは無いでしょうか。香水は高濃度アルコールが必要だったような気がします。…でも匂いの付いていない高濃度アルコールなんてあるのか? これもない気がするな。どうやって作ればいいんだろう。錬金術で考えよう。何かしら答えがあるはず。…アルコールなら麦でもいいよなあ。…何を混ぜればアルコールになるのか解らないが。まあ、とりあえずは精油を大量に作りましょうかね。作ってから考えよう。豊穣会に持って行けば何かしら解決策を貰えるかもしれない。そう考えて、快命草の花を毟る作業に戻るのだった。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。