57話 4月4日 初級ポーションの作成ザマス、魔石製造機
総合ランキングにも名前が載ってました。
楽しく読んでくれている方が多いみたいで何よりです。
こんなに評価してもらっていいのかな? って感じです。
これからも引き続きよろしくお願いします。
1番棟0601号室からおはようございます。永明派の授業ですよ。どうも、ヘルマンです。凄いよね。0601号室、1フロアぶち抜きの大部屋です。柱とかはあるけど一番前が遠すぎる。まあ、2000人位詰め込んでいるからな。僕の位置も真横に錬金釜。周囲2メートル位開けて次の人って感じで並んでいるからな。前も後も机です。横は空いているというか、錬金釜をおかないといけないのですし詰め状態です。まあ、釜の横も空いてるから通れるけどね。
5階も一緒。というか5階でも一緒の授業をやっている。それくらい多いんだ。始めの3か月は3万人でも早い組だから狭い部屋でも大丈夫なんだが、1か月に1回の授業を60回で終わらそうと思ったらこれくらいの教室がいるんだとか。まあ、しょうがないよね。平均500人ずつ受けないと終わらないんだから。ところで、2000人位のすし詰めは予想していなかった。マジかよって感じだ。拡声器の錬金アイテムを使いながらの授業だってよ。だってのに、来た先生の言葉遣いのせいで全て吹っ飛んだ。
『さあ、始めるザマス。初級ポーションの材料を机の上に出すザマス。』
そう、ザマス様です。拡声器の錬金アイテムの感動をぶっ飛ばすザマス。噴き出したよ。耳元でザマスと言われてごらんよ、真面目な顔でさ。顔は見えないが。
『んまー、何の冗談ザマス! これだけの快命草しか用意していないザマス。少ないザマス。机の上には数えきれないほどのポーション瓶が用意してあるはずザマス。』
そうなんだよね。狭い理由は机の上にこれでもかと積まれているポーション瓶。冗談を言いたいのはこっちだよ? これ全部消費すんの? …僕は材料足りるかなー位採取してあるけれど、周りの人に合わせて100本程度しか置いていない。…だって目立つじゃん。『エクステンドスペース』から出せば良いんだし、作りたいならさ。
『少ないザマス、これでは授業にならないザマス。追加するのでどんどんポーションを作るザマス。』
中央をずんすんと進むザマス。そして左右に20m程あるのに距離を無視しながら『エクステンドスペース』で快命草をこれでもかと山盛りにしながら進むザマス。ザマスだけど、やってることは凄まじく高度なことをやってのけている。流石は教師。…ザマスだけど。
少ないザマス。少ないザマス。言いながら前からどんどんやってくる先生。歩いているのに走っているような速さで通り過ぎて行った。そして目の前には大量の快命草が。…しょうがない、やるか。10本を錬金釜にポイ。魔杖で魔力を流し込む。それを瓶詰。その間20秒ほど。なれると瓶を足しながら8秒でやるらしい。…多分皆これをやっているんだと思うよ。このザマス先生みたいなのが永明派に一杯いるのか。…嫌だなあ、永明派。
ポイ、グッ、ギュ。ポイ、グッ、ギュ。ポイ、グッ、ギュ。ポイ、グッ、ギュ。20秒に1本から15秒に1本のペースになり、10秒に1本のペースになり、6秒に1本のペースに最適化される。最適化されると同時に快命草の減るペースが上がる。が、少ないザマス。足りないザマス。と言いながら往復する先生がいるせいで快命草が無くならない。これを3時間するのか? 快命草の残弾やばすぎ問題、この日のためにどれだけため込んでるのか。…永明派の畑を見ればまあわかるよ。スケルトンが快命草の収穫してるから。永久機関ができているのだ。ほっとけば生える快命草、無限に動き続けるスケルトン。快命草が増えない訳ないよな。1日にどのくらいの快命草が生産されているのか。…これさ、毎年やるなら準備物に快命草って書かなくてもいいじゃん。99%以上先生の快命草だよ。
さて、3時間後、机の上には自分で作ったと思われる1000本以上の初級ポーションが、もうね、誰のとか途中から判らなくなってきた。そして一番後の方から。時間ザマス。ポーションを回収するザマス。と先生が走るスピードで歩いてくる。もうだめ。腕が上がらない。疲れはするんだけど、…ポーションを飲めば良いのか。授業で作ったポーションを勝手に飲む。これくらいは許される。腕が痛いのがすっ飛んでいったが、疲労感と虚無感がやばい。…そういやジュディさんが死ぬほどポーションを作らされるって言ってたっけ。比喩じゃなかったのか。錬金釜を『エクステンドスペース』に回収して教室を出た。…おー、太陽が眩しい。3時間しか授業を受けていないよな。…もうこの講義には出ない。出たくない。
精神的疲労を覚えた永明派の講義から1時間後、造命派の講義に来ています。今度は魔石の作成の授業。…ここも0601号室なんだけど、こっちもぶち抜き。しかし錬金陣をしかないといけないからスペースは広め。1000人くらいいる。こっちでもザマスをさせられるのか? …あのポーション作成地獄をザマスと表現するのはやめておこう。再度当たったりしそうだし。こっちは最初から準備物無しだからな。こっちは通路2本あるからあの技の半分の技量で良いのか。考えられているな。おっと、時間みたいだ。…今度は人海戦術か、人が沢山入ってきた。
『各員、これから素材から魔石を作成する授業を開始する。錬金陣を広げ待機するように。それぞれの錬金陣に教員が素材を配布する。』
こっちの先生はちゃんと走っているな。走っている恰好で走っている。…なんだか安心するな。そして僕の錬金陣の上にもドバっと草の山が。草刈りさんたちのね。まあ、解ってましたけど。捨て値で錬金術ギルドから買ってくるんだろうな、授業用に。
『各員、錬金陣を用いて魔石を作成せよ。全体に魔力を行き渡らせ、固めるイメージだ。解らんようならその辺りにいる助手に聞く様に。』
魔力茸で一度やっているが、今度は沢山の素材を扱うからどうなることやら。魔力を素材全体に広げる。…メラニーさんの時の魔力操作の授業の時は馬鹿かと思う程魔力を持って行かれたが、この素材群はそうでは無いようだ。あっという間に、それこそ魔力茸1本分よりも魔力を使っていない。気体化するからこれをぐるぐるーっと回す様に縮めていき、最後にグッとして終わり、3個の魔石ができました。魔石を1つ作った感覚なのに3つできるのは不思議だ。…魔石化は数少ない複数個同時にできる奴だからな。魔力茸を2つ使えばちゃんと魔石も2つできるぞ。魔力は沢山いるけど。
「…早いな。―――さあ、次の素材だ。」
魔石を回収され、また素材を盛られる。それを魔石にすると、また素材を盛られた。今度は魔石すら回収されなかった。後で一度に回収するつもりだな。…無精め。心の中で悪態を吐きつつ魔石にする作業をみっちり3時間やりましたよ。…こっちも虚無感が凄い。力の要らない餅つきで、餅を食べさせてもらえないあの感じ。錬金術ギルドのアルバイトは止めておこう。この作業の延長でしかなさそう。…素材を盛る係がギルド職員に変わるだけだろう。
もう日が暮れるのか…いやまだ10時か。…もう10時ともいえるが。長かったようであっという間の1日だった。太陽の光が懐かしく思えるくらいには虚無感が半端ない1日だったな。…今日は刺繍せずに寝よう。ご飯を食べて、明日また頑張ろう。初級ポーションを飲みながら部屋に帰った。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。