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40話 12歳 ここの冒険者は草刈り冒険者、ギルドで素材の確認

 久しぶりのテント群の中からおはようございます。まだまだ冬場が続きますよ。どうも、ヘルマンです。今は朝食を食べているところですよ。まだまだ寒いこの時節、本来は宿屋でゆっくりとしているものですが、運と機会の巡りというもので、王都に来てしまっているからね。じゃあ採取をしましょうということで、この広場に来ているわけですよ。


 …この広場の名前はなんだろうね。教会前広場ではない。教会が無いんだもの。冒険者広場、これでいいのかな。使っているのは冒険者だし、いや冒険者以外も沢山使うな。特に錬金学術院の生徒たち。貴族学校の生徒たちも使うだろう。魔術師学校の生徒は使わないかな。どちらかといえば魔境に行きそうだ。うーん、王都門前広場、こんな感じかな。東にあるから王都東門前広場。これでいいだろう。正式名称があればそっちを使うとして、暫くは王都東門前広場ということで。とりあえず食事をしていたんだが、周りを見ていると、早々に食事を終わらせて門をくぐる者、ゆっくりと食事をしている者の2種類の人間がいる。前者は冒険者ギルドに依頼を取りに行っていて、後者は霊地で採取をするんだろう。王都だし、文字の読み書きを覚えている冒険者もその分多くいるだろうし、少し奥にいかないと素材が採れないかもしれないな。初めての霊地だけど浅瀬を捨てて奥に行こうか。


 ベックの林は外から見る分には、ヨルクの林やレールの林の様に木が密集していない。空が見えるくらいの木の密度だ。これくらいの密度なら奥に入る冒険者も多そうだ。どれくらい中に入らないといけないかな、1時間くらい入れば十分かな。まあ、周りの冒険者を見ながら採取すればいいかな。基本的には草の採取なんだから見分けが面倒なんだよね。前世の草は基本的に緑色なんだが、今世の世界は奇抜な色をしている草が多い。葉と茎と花の色が全く違う色だって事もザラだ。そうだな、例えばこの吹越草、葉の色が赤色で茎の色が緑色、花の色が白色の草だ。他の特徴としては背が高く、葉が細いといったところかな。…正直文章だけで見分けを付けるのは難しい。図鑑の絵を見ながら頭の中で色を補完して、現物を見て覚える。そう言う作業を必要とするから草の採取は非常にめんどくさい。キノコは簡単なんだよね。キノコの形が特徴的だから。草は素材にならない草も沢山生えている。しかも緑だけじゃない、非常にカラフルな地面をしている。緑だけなら奇抜な色の素材が見つけやすいんだが、カラフルだと保護色も関係なく楽しい色になっているからね。


 あ、霊地だけだよ。こんな奇抜な色は。普通の草原は緑色の草だらけだ。緑の海に赤色の葉の草を見つけるんなら楽なんだけどなあ。ここの霊地も外れの部類だな。…魔境がカーバンクルとかいうボーナス魔物がいるから差し引きトントンといったところかな。でも、ここにいる人たちは魔境に行くだけの才能が無かったか、才能があっても努力をしない人かな。…いや、ここで雑魚素材を採取するくらいならゴブリン退治の方が儲かるだろうから、ゴブリン相手すら危うい人達なのかな。後はちゃんと保存瓶の存在を知っている冒険者。戦闘がからっきしでも採取物をちゃんと保存できる冒険者はある程度のお金を持つことができる。…でもこの時期にはいないよな。この時期は基本的に宿籠りの時期だから。ここにいる人たちは皆、怠惰に呑まれそうな人たちだろう。僕みたいな物好きがいなければね。


 そんなこんなで採取をしているんだが、比較的浅い場所で採取している。大体奥に10分位いったところかな。…もうこの辺りで冒険者が来なくなるんだ。まさかとは思うんだけど、草刈りでもやっているんじゃなかろうか。王都の錬金術ギルドも大変だな。雑草まみれの中から素材を幾らか査定しないといけないんだから。…一応聞いた話によると、色が奇抜なだけの草でも若干魔力を持っているらしく、雑草群から魔石を作ることは可能だ。…可能だが、効率が悪すぎるんだよとジュディさんから教えて貰っている。苦学生をやっていたジュディさんは最初は錬金術ギルドで魔石を作るアルバイトをやっていたって話だったからね。


 魔石を作るアルバイトは時給とかではなく成果給なのだ。何個の魔石を作ったかでお給料が払われる。ある程度魔力操作が習熟したら上級ポーションの方に移行するらしいが、初めは魔石を作るアルバイトが効率がいいらしい。失敗しても素材を無駄にしないし、成功すればするほどお金になるわけだ。それに魔石は数少ないまとめて錬金できる物なのだ。錬金陣を刺繍した魔布に大量の素材を置き、魔力操作で魔石にしていくのだが、雑魚素材からできる魔石は最低品質の魔石にしかならないらしい。というより、基本的に素材同士を混ぜないと作れない程の魔力しか持たない物からの魔石は最低品質なのだ。値段が高い素材は1つで魔石にできる。高ければ高いほど品質のいい魔石になる。…いい品質の魔石になる素材が値段が高いと言った方が正しいが。そして品質のいい魔石同士をさらに混ぜる場合は異なる属性でないといけない。同じ属性の魔石を混ぜると品質が低い方に統一されるって言うんだから不思議なもんだ。まあだから高い魔力を持つ素材が重要な訳だけど。目標の一つとしては、魔杖の魔石を品質の良い全属性にするといいらしい。錬金術を使うときの魔力操作に補正がかかるそうだ。解りやすい所でいうと、魔力回復ポーションの回復量が上がる。魔力茸10本と同じ素材を使っても、星の数や魔力操作の得意不得意で回復量が変わってしまう魔力回復ポーション、なんでそんな仕様になってるんだろうね? 固定品質の物が作れなかったんだろうけど。


 さらに、魔石の作成のアルバイトはお金以上に魔力操作の訓練にもってこいなわけだ。王都にはこんなにも雑魚素材を納品してくれる草刈り係がいるのだ。素材が足りなくなることなんてまずない。やればやるほど魔力操作が上手くなるし、少ないがお金も貰えるわけだ。錬金学術院の生徒がするアルバイトにはもってこいだろう。もちろん僕も参加するつもりだ。お金というよりも魔力操作の特訓としてだけど。…それにはまず、錬金陣の刺繍を早めに終わらせないといけない。錬金釜でもできるようだが、沢山の素材を盛れる錬金陣の方が魔石作りには向いているとのことだ。液体は無条件で錬金釜なんだけど。


 錬金陣の刺繍なあ。一応ちゃんとした刺繍の物も作る予定なんだ。だから1年生のうちに幽明派の授業を2回受ける。そして魔布と糸も2セット貰うつもりなのだ。糸は多分途中で足りなくなる。が、錬金術大辞典に刺繍糸もちゃんと載っていた。…何のために使うんだろうかとは思っていたんだ。刺繍なら普通の糸でいいじゃないかと。まさか錬金陣を自分で刺繍しないといけないとは。…ちゃんとした奴は1年くらいかけてゆっくり刺繍するつもりだ。夜の時間を刺繍の時間に取る予定だ。何時頃ちゃんとした奴が使えるだろうか。…錬金学術院にいる間に終わればいいな。あと、この世界には刺繍枠なんてものはない。糸の引っ張り具合も慣れないと大変だぞ。寮に石の机があるらしいからそれを重しにしながら刺繍だろうな。布を引っ張った状態じゃないと刺繍なんて無理だと前世の僕が言っている。…本当かな。まあ、刺繍なんて前世の僕もしたことは無いそうなんだけど、知識自体は持っているとのことだ。


 で、魔石の話よ。幸いにも僕は素材を沢山持っている。3年生になったら全属性の魔杖を作ろうと考えているわけだ。光と闇の属性は満月茸が一番いいだろう。1本で2属性になるのか1属性ずつ作らないといけないのかは、授業を受けることで解るだろう。水属性の魔石はケルピーの水属性の水晶を使う予定なので頑張って倒しましょう。風属性の魔石は竜巻草から作る。これは今日すでに採取しているのでクリアだ。土属性の魔石は王土通草の実を使う予定だ。この素材が土属性で一番高かったからね。火属性の魔石は狐藁火苔を使う予定です。苔は1瓶当たり位が使いどころさんなのかな。…苔の方が品質がよくなったりするんだろうか。量が増えるもんね。だから苔は高いのかもな。と、こんな感じの予定だ。後はケルピーだけだが、まずは戦ってくれる他の錬金術師、鉄迎派の訓練に来ている人たちがいいよな。とパーティーを組んで討伐すればいいだけ。2年生のうちに倒してしまいたいところよね。頑張ろう。


 採取は順調に行きませんで、草の見分けに四苦八苦している感じです。一番高い竜巻草は簡単なんだよな。草の色なんかは特徴が無いんだが、葉っぱが巻いているんだよ、竜巻の様に。だから、ああこれか、と直ぐに判った。他の草は色が特徴か、背が高い低いだとかがある程度の特徴になる。後は花の形ね。…難しいんだなこれが。他の草が緑一色だったらどれほど楽か。まあ、霊地あるあるなのでしょうがないよね。


 夜になってテントに帰ってきましたよ。まあ初日はこんなもんでしょう。まずまずの成果だと思います。慣れて行けばこの倍は採れると思うけど、今はまだね。…一度錬金術ギルドで答え合わせをした方が良いかもしれないな。…そうしようか。テントはこのまま置いておいて、明日錬金術ギルドに行こう。…向こうで1泊してこっちに帰ってきて1泊してと2日かかるんだもんなあ。…走ったらギリギリ日帰り可能か? ちょっと明日早起きして日帰り頑張ってみよう。ササっと晩御飯を食べて明日に備えよう。


 朝、とはいうが大分早い。でも冒険者ギルドに張り付く人たちはこのくらいには起きている。君たち文字も読めないのにね。その情熱を少しだけ文字の読み書きに使っていれば…。まあ僕は違うので、ゆっくり朝ご飯を食べて錬金術ギルドまで走る。東門で簡単な検問だけされてさあダッシュ。…ダッシュは最初だけ、後はジョギング位の速さで頑張る。錬金術ギルドに行って帰ってくるだけで1日ってやっぱり無駄に広すぎるんだと思うんだ。


 正午少し前。錬金術ギルドに到着した。…この分なら帰りも何とかなりそうだな。大分疲れたが。さてさて、答え合わせだ。…間違っていないことを祈ろう。


「すみませーん。素材の答え合わせをお願いします。」


「答え合わせ? なんですかそれ?」


「ベックの林の本に載っている素材と合っているかの確認をお願いします。」


「ああ、照合の事ね。いいわ、簡単だから。」


「じゃあ1瓶ずつ出していきますね。」


 そんな感じで9瓶出す。他の所でも採れた素材は間違わないが、一応ね。魔力茸は例外よ。あれは間違えられない。錬金術師を目指すものとして。


「はい、――――――はい。確認しました。大丈夫です、素材も保存方法もばっちりです。」


「良かったです。この調子で採取しようと思います。」


「あなたは来年入学予定だって言っていたものね。幻玄派の授業でも採取をするけど、楽ができそうね。先に頑張っておくことは良いことよ。しっかりと素材を集めなさいね。」


「はい、ありがとうございました。」


 そんな訳で、とんぼ返りである。さあさあまたマラソンの時間ですよ。さっさと走る走る。


 時刻は夕方ぎりぎり、東門の所まで帰ってきました。何とか日帰りできることが判ったが、もうやりたくない。足がパンパンだぜ。門のところで兵士さんの検問を簡単に済まし、テントへ。直ぐにご飯を食べてまた明日から採取の日々ですよ。さあ答え合わせも済んだことですし、がんがん採取をしていきましょうね。

面白かった面白くなかったどちらでも構いません。

評価の方を入れていただけると幸いです。

出来れば感想なんかで指摘もいただけると、

素人読み専の私も文章に反映できると思います。

…多分。

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― 新着の感想 ―
ここまで読んで若干入学前準備編が長すぎというか、冗長かつ単調に感じました。 あまり人との交流もなかったですし。
[良い点] 面白いです。 [気になる点] ゴーレム馬とか、主人公なら自転車とか、考えないの、、  、、、が、面白い。 すこし、かゆいとこ、 手が、 届かない、そんな、面白さ。  この主役、 は、こうい…
[一言] >この世界には刺繍枠なんてものはない。 不便そうで不安ならつくればいいと思いました
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