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38話 12歳 広いわりに人口が少ない王都、大丈夫?

 王都の冒険者ギルドからこんにちは。どうも、ヘルマンです。いやー今王都の地図を冒険者ギルドで見ているんだけど、でっかいわー。一応ギルドの受付さんからの情報では、100万人都市らしいですよ。いやデカすぎるだろう。何でそんなに広げた。まあ錬金学術院に入学してくる奴らだけでも年間3万人位って話でしたし、100万人でも少ないのか? 貴族学校もあるだろ、あとは魔術師学校もあるって話だったし、そう考えると妥当なのかもしれないと思ってしまう僕がいるんだけど、まあ広すぎるよね。


 一応冒険者ギルドは東西南北の4か所にあるらしく、ここは北支部。冒険者ギルドの本部、総本山ですね、それは行政区の中にあるらしい。冒険者相手ってよりはお役所のような仕事がメインの本部。えらいさんの集まりですねえ。騎士爵魔導爵を得た人たちが引退後にやる役職のようです。僕には縁のない場所ですね。北門から直ぐの所にある冒険者ギルド北支部、南門の所にある冒険者ギルド南支部まで歩いて約1日、朝が来て歩き始めたら着くのは日が沈む夜の時間帯。


 マジかー、本当に村一つ分の距離の都市だよ。これが王都か。人の歩く速度が時速4キロだから直径約50㎞の円形…あれ? 意外とそう考えると広いだけで人口はそうでもないのか。…いや待て、前世の僕に毒されてないか? 100万人だぞ? 多いよな。…王城が在って、中心に貴族区とかいう人口の割に場所だけやけに広い場所もあるんだぞ。でも畑とかは殆ど無いんだから人口密度的には広いんじゃ…。いや待て、貴族区があるから正確には直径40㎞弱がいい所だぞ。貴族区を歩く平民がいるもんか。それに自由市は居住区じゃない。学校や学術院だって居住区以外にも施設は沢山あるし、道だって貴族区以外のメイン道路は馬車5台分の広さがあったんだ。…それに一番やばい可能性を思いついてしまったぞ。冒険者は住民にカウントしなかったよな。魔境と霊地がある時点で、というか外壁前に沢山の冒険者がテントを張ってたから間違いなく人口は数えよりも多いはず。…さらに思い出したことがあったぞ。人口の管理は税金の入り、住民税で管理していたはずだから12歳以下はカウントされていない可能性がある。


 ちょっとまって、本当は王都って何人住んでるんだ? 多分誰も把握できていないんじゃないか? 流石に子供の数は把握していないはずだ。それに教会の数を見てみろ。領都の教会よりもデカいのは確定だ、それが貴族区にも1つあるが、それ以外にも12345678、8つのデカい教会が必要なほどには子供がいるって計算だぞ。領都にいた子供たちは凡そ200人。この都市だ、1つの教会に詰め込んで10倍は見積もった方がいいだろう。凡そ平民の子供がその世代に16000人いると仮定しよう。人間の寿命はよく言って100歳だが大半は60歳位で死ぬだろう。そう考えると凡そ100万人…あれ? 100万人であってる気がするな。長寿種は子供の数も少ないし、子供の数も入れて100万人。大体合っているのでは? 流石に冒険者の数は足してないだろうけど、100万人都市であってる気がしてきたわ。なーんだ、取り越し苦労か、はっはっは。


 …いや人口じゃなくて人口密度の話として考えてみろ。明らかに100万人にしては広すぎないか? この広さなら後10倍くらい住めそうな気がするんだが…。もしかして王都って空き家だらけじゃないのか? 昔の人がここまで発展するだろうとの見込みで外壁を作って家を並べ立てた。…結果はそこまで人間が増えなかった。…いや、増えはしたんだろう。それらの大半が冒険者として生きており、空き家に入らないだけで。家に入ると冒険者は無職扱いになる。そうなると高い税金を払わないといけなくなる。ならばテント暮らしの方がいいという選択に。そうすると結婚なんてしなくなる。冒険者から子供が産まれない。となると町人は増えない。…なんという負のスパイラル。昔の人は王都がもっと大きくなることを想像したんだろうな。そこに冒険者は無職。無職からは税金を高く取る。そんな税制にしたばっかりに人口が増えなくなってしまった。現状維持は出来るだろう。ただ、人口を増やしたいなら無職には目を瞑って税制を変えるべきだ。いくら魔境があるからって冒険者全員がある程度の稼ぎを得ているわけじゃないんだぞ。


 …何を考えているんだ僕は。僕は何の変哲もない錬金術師見習い未満の子供だ。貴族でもなければ王族でもない。行政の事に口出しする立場ではないはずだろう。足元をしっかりと見ろ。掬われそうになっていないか? 後を見ろ。迫ってきていないか? …ふー。落ち着け。傲慢は敵、謙虚に生きよう、そう誓ったろう? …よし、落ち着いた。ただ、空き家が多いかだけ確認しておこう。これで無いとかだったら予想は大外れだ。答え合わせだけはしておきたい。受付に行って確認だ。


「すみません。王都って空き家が多いですか?」


「あらよく解ったわね。ええそうよ。かなりの空き家があるわ。だから冒険者に依頼が沢山来るのよ。住宅区の見回りって依頼がね。勝手に住み着いたりしてしまうと死罪になるからやっちゃだめよ。」


「分かりました。ありがとうございます。」


 魔境周りの町は、冒険者でも税金がそこまで高くない。…ただし、流石に最下層でうろちょろしている冒険者が払えるほど安くもない。ある程度戦える人はちゃんと家庭を持てているのだろう。…でも結婚年齢は上がってしまうよなあ。男性ならまだいい。だが女性が冒険者だった場合、明らかに婚期を逃すだろうな。…それ以前に文字の読み書きというハードルがあったか。なんだろう、この世界の、この王国の仕組みは。人口に抑制を掛けたいのか? これで戦争とかやられたら…他の国も魔境の対処とかで忙しいのか? まあ、戦争には冒険者も動員できるからいいのか。いや、ポーションなんかがある世界。補給の意味合いが変わってくるな。月光茸と満月茸をどれだけ採取出来るかで継戦能力に差が生まれてしまう。本来であれば改革必須だなこりゃ。


 ま、そんな事は気にしない。傲慢になってしまう訳にはいかんでしょ。錬金術師としてやれる範囲で頑張ろう。政治は貴族様の仕事。僕が内政に口出しをする必要は無し。というか貴族に伝手がないから出来ないってのが正しいな。自分の領分を弁えましょう。…ジュディさんところがいい所の貴族様なら聞き入れてくれただろうか? まあ、もしもを語っても意味ないことだ。それよりも現実の話をしよう。まずは錬金術ギルドに行くことなんだが、今から行ったところで夜になるだけだ。とりあえず、近くの宿屋に泊まらないと流石に厳しい。時刻は正午を少し過ぎたところ。…移動に一日費やすのってマジで無駄な時間な気がするが、しょうがないか。南に向かっていけば宿くらいあるだろう。


 歩いて1時間くらい、漸く個室の宿屋を発見いたしました。3件連続で大部屋だったときは流石にイラっとしたけど、4件目で当たりを引きました。食事付きで1泊中銀貨3枚。…まあ、こんなもんか。オーク1匹分でお釣りがくると考えればまあ妥当な範囲でしょ、魔境のそばだし、個室だし。オークが出るのは判った。普通に食事にオーク肉が出てきたからね。干し肉じゃなさそうだし、オークは確定でいるんじゃないかな。


 朝から南に向かって歩いております。どうやらここをまっすぐ歩いていくと、貴族区にぶち当たるらしい。貴族区からは道が入り組んでいる。恐らく最終防衛ラインなんだと思う。まっすぐな道だとここまで侵攻されたとき、お城まで一直線だからね。だから貴族区の道幅を狭く入り組んだ物にしているはずだ。…貴族たちがこぞって屋敷を広げたせいで狭く入り組んだなんて落ちでは無いといいなあ。かっこいい建前が欲しい所です。まあ、貴族区でも外周は殆ど下級貴族、子爵や男爵ですね。しかも領地無しの。領地がある方が貴族年金は低いが、入ってくる税金とどっちが多いのか。そんなに変わらない気がするんだ。まあ貴族なんてものは金食い虫な訳で、入ってきた年金も直ぐに出ていくんだろうけど。まあ経済活性のために使ってくださいね。貯めこまれても無駄なだけなので。


 それで貴族区を見ながら東周りで行くと自由市、行政区、自由市、錬金学術院の順に北北東、東北東、東南東、南南東と区画が分かれている。錬金学術院は南南東と、そこから南大通りを行けば西側に自由市との境目位に錬金術ギルドがある。移動で一日を費やす都市がいいのか悪いのかで言ったら悪いの一言なんだけどさ。仕方ないよね、魔境と霊地の間丸ごと王都にしちゃったんだから。昔の人たちはこの国の発展を夢見たんだろう。


 そんな訳で正午過ぎ、左手側に錬金学術院が見えてきた。…四角い建物が一杯あるとしか表現できないが、だって仕方ないよね、錬金術で作った建物が奇抜な形をしているとは思わない。錬金術師が効率より見栄えを優先したとは思わないからだ。行きつくところまでいっちゃってる人たちの集まりですよ。この方が広さをとれていいよね、ズゴゴゴゴゴと建物を四角く乱立させたに1票を投じたい。多分地下室なんかもあると思うよ。…勝手なイメージで幽明派が地下に篭ってそうな感じがする。アンデッドを使う派閥だもんね。太陽から逃げても仕方ないと思うんだ。…それに寮も全部地上とは思わない方がいいよね。多分平民は地下なんじゃない? 地上にはそれほど高い建物は見当たらない。…あー、前世と比較しちゃってたわ。今世基準だと十分大きいわ。大体地上7階建て位、地下は見当も付きません。地下は無限大だよ、とか言いつつ、掘り進めてないだろうな。岩盤ぶち抜いて地下水があふれ出たところまで過去の情景が浮かんだように思うが気のせいだろう。


 この辺も地下水が豊富っぽいんだよね。川が流れていないところを見るとね。…水属性の魔境、あそこは塩湖みたいなんですよ。魔境の名前はウーゼ塩湖、因みに霊地はベックの林。水と塩が取れるところには町ができ易いと前世の僕が言っている。まあ、両方とも必須だからね。塩湖は水も塩も取れるが水は駄目だ。濃度的に地下水の方が手軽だ。錬金術大辞典に塩水から塩を取り出す錬金アイテムがあったから多分それらを使って塩を獲得してるんだと思います。名前を塩水分離機、解りやすいネーミングですね。


 そんな訳で来年ここに来るんだなあと錬金学術院を眺めながら歩くこと1時間強、漸く南メイン道路までやってきた。ここをまっすぐ行けば西側に錬金術ギルドがあるはずだ。…今日はこの分だと移動だけかな。錬金術ギルドの近くに宿が無いか探しながら行かないとね。また1時間くらい歩いたところに錬金術ギルドがあった。…時刻は日が傾いてもうすぐ夕方といったところ。本当に1日歩かないといけないのかよ。大変すぎるでしょ、王都で生活するの。錬金術ギルドを少し行ったところに宿があったので、入ってみると個室宿で食事付きだったので一発採用。一泊中銀貨2枚。…北の宿と食事くらいしか変わるところは無いんだが、中銀貨1枚分安い。北のメイン道路の宿のお値段なんてこっち側の人は把握していないんだろうし、値段にばらつきがあるのは仕方ないだろう。セレロールス子爵領だと、この値段でも誰も使わない値段だろうけどね。明日は錬金術ギルドに行って霊地と魔境について調べてからベックの林に採取に行く感じかな。王都の生活は移動で疲れることになりそうだけどね。

面白かった面白くなかったどちらでも構いません。

評価の方を入れていただけると幸いです。

出来れば感想なんかで指摘もいただけると、

素人読み専の私も文章に反映できると思います。

…多分。

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[一言] 毎年錬金術師になるの3万人って多すぎでしょ、錬金術師ってそんな人気なの?3千人くらいでちょうどいいと思う 日本の大学生でも3万人いない あと貨幣の価値がばぐりすぎなのと、説明が最初からないか…
[良い点] 現在2周目、読み直してみると色々見落としてる事とかありますね^^; [気になる点] 王都は絶対的な広さは十分ですが、住宅事情を考えれば決して広いとは言えないと思います、 100万都市という…
[良い点] 100万人都市、広いとは思いません。人口が世界一だった享保(1716~1736)の江戸並みなのですから。1800年頃、北京の人口が90万、ロンドンが86万、パリ54万人くらいです。江戸の長…
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