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32話 9歳 お布団と枕貰いに来ました、気に入ったのでもう一セット

 涼しげな秋の夕暮れ、いかがお過ごしでしょうか。どうも、ヘルマンです。最近になって冒険者がグッと増え始めた。教会前広場は15割程埋まっており、テントとテントが干渉しあう状態になっております。冬越しの冒険者多すぎだろ。も少しここを広く作ってくれれば良かったのに。…一緒か、どうせ広ければ他の冒険者がやってきて結局密度は変わらないパターンだろう。


 さて、採取の方は今日は行かないつもり。もう町に帰った方がいいという判断だな。もう麦の刈り取りも終わっているし、行商人も麦の買い付けが粗方終わった頃だろう。もう少しで冬がやってくるというのが帰る理由だ。いい宿も確保したいし、冒険者ギルドにお布団と枕を取りに行かないといけないしね。だから晩飯を食べてもう一回寝て明日の朝帰るっていうスケジュールだ。


 そして、テントの布も5枚から2枚になってしまっている。3回ほど火災で燃えたのだ。いや、火事自体はもっとたくさんあった。…レールの林は満月茸が採れる関係なのかなんだか知らないが、やたらと錬金術師の行商人がやってくるのだ。そのたびにテントは片付けて外周に避難していたのだが、2回に1回は火事を起こしているんだもんな。毎度毎度テントを片付けるのは面倒だったが、それでも燃えない方がいいので、結局のところ片付けるんだけど。それでも予期出来ない火事もあるのだ。その所為で3枚もやられてしまった。5枚でももしかしたら足らなかったんじゃないかと焦っていたところだ。


 まあ、明日には帰るから今日は晩御飯を食べて寝るだけ。しかし、今まで昼夜逆転生活を送って来たから寝れるかどうか。…いつもよりも夕飯を沢山作ったからお腹がくちくなったら寝られるだろう。今日は火事は起きないよな? いつも寝るときにはそれだけが心配なんだ。特に今回は夜に寝るからな。早々には眠れないにしても、早く寝てしまうと火事が怖い。…寝起きにも関わらず、眠くなってきたので寝るか。おやすみなさい。


 朝、何事もなく朝を迎えられた。早速井戸の水で顔を洗い、朝ご飯の準備をしてテントに帰って朝ご飯だ。…未だにこの火を着ける作業が怖い。周りのテントに火打石の火花が散らないか心配で堪らないのだ。まあ、スライム燃料は直ぐに燃えてくれるから有り難い反面、火事になると止められないからなあ。未だに消火活動をやった覚えがない。一応冒険者の心得には可能な限りの消火活動を行うこととあるが、井戸の周りが燃えていたら消火にならんのよな。燃えきるまで放置が冒険者の常識といってもいいと思う。


 朝ご飯を食べたら洗い物をして撤収準備。テントを片して指方魔石晶の首飾りを回収して終わり。実に楽ちんである。さて、半日程の駆け足か夕方頃までの徒歩の旅、どっちでもいいが、なんとなしに駆け足で行く。歩いても暇だし、体力づくりに丁度いいからね。そんな訳で、駆け足でネラ町に帰った。


 大体5,6時間ほど走っただろうか? 足はいつも通りパンパンに張っている。この疲労感は結構好きだったりする。まあ何度も歩いたけどさ。流石に走り続けることは無理だよ。時刻は昼過ぎ、とりあえず冒険者ギルドに行きましょう。お布団と枕を貰いに。とりあえず受付に行けばいいよな。…前回の受付さんとは違うけど、問題無いよな。


「すみません、お布団と枕を受け取りに来たんですが。あ、これ識別用に貰ったものです。」


「ああ、枕の人ね。わかったわ、ちょっと待っててね。」


 枕の人ってなんだよ。いやまあ別にいいんだけどさ。でも、枕の人かあ。前世の記憶からはいかがわしい記憶が出てきたが、大丈夫なんかこのあだ名。…男の枕営業なんてあるのか知らんけど。この世界には関係ないし、いいか。


「お待たせ。これお布団と枕。枕、これいいわね。試しに何個か作ったんだけど頭が丁度いい高さになって、寝やすかったわ。これから広めていくつもりだからいい感じに売れるといいんだけど。」


「前に言ったように僕にはお金は要りませんので。」


「ええ、そう聞いているから解っているわ。でも勿体ないわね。案を出したのは僕なのに。」


「まあ、この町に定住する予定もないので仕方ないです。あ、いい宿屋を知りませんか? 個室で朝晩の2食付きで。」


「そうねえ。この町の東のメイン通り南側の5件目の宿屋なんてどうかしら。ちょっと中心から遠いけど、個室だしご飯も付いてきたはずよ。ちょっとお高いけど、僕なら問題ないでしょ。」


「お高いくらいは問題無いです。ありがとうございます。行ってみます。」


 さてさて早速行ってみよう。ちょいとお高いくらいで丁度いいだろう。この町は多分だがお金を持っている冒険者が泊まるように価格を上げているだろうし。レールの林があるんだもんな。月光茸だけでもいい感じにおつりがくるんじゃないかな。大白金貨だからなあ。前世換算出来るか解らんけど、大白金貨は1兆円と同じくらい。鉄貨が1円と仮定した場合だけどね。物価も何もかもが違うから絶対に当てはまらないが。キノコ1つで2兆円とかふざけてるもんな。


 ここが受付さんが言ってた宿屋か。至って普通の宿屋ですよ。領都で泊まった宿屋と大差ないと思うの。まあ、寝れて食えれば問題なし。早速宿屋に入る。


「ごめんください。」


「はいはい、ちょっとまっとくれ。―――はい、いらっしゃい。」


「あの、個室で2食付きの宿で良かったですか?」


「ええ、うちは個室宿で、朝と晩に2食出してますよ。」


「じゃあ、一冬でおねがいします。」


「一冬でしたら小金貨2枚ですけど、よろしいですか?」


「はい大丈夫です。―――これでお願いします。」


「確かにいただきました。じゃあこれが206の札ね。鍵は内側からしか掛けられないから、大切なものはちゃんと『エクステンドスペース』に保管をお願いします。失くしたなどの苦情は一切受け付けておりませんので。」


「わかりました。」


「それから、食事は朝と晩に1階の食堂で食べられますので言ってくださいね。余り時間がずれ込むと食べられませんので気を付けてください。」


「はい。後井戸とトイレは何処にありますか?」


「共同井戸は裏口を出て東に少し行ったところにあります。共同トイレは1階のこの奥です。」


「ありがとうございます。判らないことがあったらまた聞きます。」


「はい、そうしてください。」


 2階に上がって突き当たりの部屋が206みたいだ。…3階もあるみたいだからまだ全部屋は埋まってないのか。個室は領都よりも少し広かった。特に窓が大きい。これなら昼間にお布団も干せそう。…干したお布団は盗まれる可能性があるって事だよな。あの言い方だと。南側だし、お布団を干した日は外出禁止だな。となってくると、お布団を干している間のお布団が欲しくなってくるな。…もう1セット買うか? 買っちゃうか。無駄にはならんでしょ。いやいやまずは寝心地を確認してからでしょ。ごわごわでしたとかなら王都でもお高いのが買えそうな気がするんだよね。


 とりあえず、麦藁の布団の上によっこいしょ。そしてダイブ。…んー前世の僕からしたらまだまだだと言っているが、チクチクしないし、生地も太い糸で編みこまれているからもふっとしてる。これならもう1つ作って貰ってもいいんじゃないかな。枕もいい感じの高さだし、気に入りました。偶には前世の知識も役に立つじゃん。…実際酒の時以来か? 前世の知識が生きたのは。


 さて、お宿も決まりましたし、冒険者ギルドに行きましょ。お布団をこの冬に作って貰うために。これは前世の時からの癖なんだけど、予備を持っていないと気になってしまう病の所為もあるかもしれないな。本当にお高いものは1つしか持つつもりはないが、今世だと使い切れないほどの金と『エクステンドスペース』の所為でとりあえず2つ買う癖が付きそうな感じがする。…実際要らないものも多いだろうが、心の安寧には変えられんのよ。無駄にはならないと思うので許してください。


 冒険者ギルドにはさっきの受付さんが座っている。立ってはいない。暇だし、立ってないといけない理由もないしね。


「すみません。お布団と枕をもう1セットずつください。」


「あら? さっき引き渡した僕よね? どうしたのもう1つ欲しいって。…ああ、そういうこと。気の利く男はいい男よ。中金貨5枚ね。」


「? わかりました。これでいいですよね。」


「ええ、問題ないわ。はいこれ、識別札ね。多分この冬の間に仕上がると思うから、春になってレールの林に行く前に声をかけてくれると恐らく出来ていると思うわ。」


 よし、これで予備も確保。…何か気付いたように納得してくれたけど、何でだ? まあ買えるんなら何でもいいか。一応冒険者ギルドの依頼表を確認する。…うん、ここにもネズミ捕りの依頼はあるな。体が鈍らない様に何日かに1度のペースで受けようかな。他は別にいい依頼もないし。さて、この冬こそゆっくりと過ごすか。冒険者ギルドを後に、宿屋の方向に帰っていった。

面白かった面白くなかったどちらでも構いません。

評価の方を入れていただけると幸いです。

出来れば感想なんかで指摘もいただけると、

素人読み専の私も文章に反映できると思います。

…多分。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良い寝具は何事にも代えがたいですね 特許に関しては、現状なんの後ろ盾も無いヘルマンくんが取得するにはリスクがあり過ぎるので妥当なんでしょうね
[気になる点] 主人公側から持ちかけるのではなく、宿側から一冬分の宿泊費を前払いで当然というスタイルは、こちらの社会に照らし合わせてもちょっと難しいと思いますね。 こちらの世界でのブルジュ・ハリファの…
[気になる点] 夜間の移動は危険なんでしたっけ? 日射しの無い気温の低い夜間の方が、視界の問題が無ければ、体力的には楽かと。
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