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【書籍化】転生少年の錬金術師道  作者: ルケア
少年編

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21/201

21話 8歳 雨の日、村の子供たちと交流

 夏の雨の中、テントの前からこんにちは、ヘルマンです。雨の日は強制休み。流石に雨の中採取する気にはなれないなあ。寒いし、水冷たいし、眼鏡の視界悪くなるし、寒いし。しかし、本を読むにも、読む本が無いんだよなあ。もう錬金術大辞典は読み込んだし、暇つぶしに本でもって感じにはいかないからな。本は貴重品だったりするわけで、娯楽用の本なぞ無い。だからこその吟遊詩人だし、芸者だったりする。


 吟遊詩人などの旅芸人は、基本村での収入なぞ当てにしていない。基本的には町での興行でお金を稼ぎ、村々を渡って小銭を稼ぐ。時には魔物を倒す冒険者としての側面もある。殆どの旅芸人は冒険者登録をしているため、戦えたりするわけだ。乗合馬車に乗っている時なんかも、積極的に魔物を倒している。サーガを謡う吟遊詩人も、自分の戦いの経験を交えて謡うものもいるくらいだ。その方が臨場感が出るし、いいんじゃないかとは思うけど。


 で、そういう旅芸人なんかが村に来るのは珍しいから子供たちが寄ってくる。寄ってきたら旅芸人も分かっている場合が多いので、一芸披露してくれたりする。決して金にならないが、場馴れをするには丁度いいお客だったりするわけだ。大した芸でも無いのに盛り上げてくれる子供というのは芸をする側の人間にとっても有り難い存在だったりする。そうして場数を熟し、大きな町での興行に備える。こういうサイクルで旅芸人というのは成立しているわけだ。


 そんな訳で、娯楽の無い村、来る冒険者の少ない村では訪問客というのが珍しいらしく、雨の中焚火をしながらあったか布に包まりながら暖まっていると、建物の陰からこちらを覗く子供たちの姿が。雨に濡れて寒くは無いのだろうかと心配するが、それ以上にこちらに興味があるんだろうな。冒険者に興味があるのだろうか。…だとすると次男次女以下かな。


 長男長女には農民としての教育がしっかりと施されるはずだし、雨空の中自由に歩き回らせてもらえないだろうからな。…跡継ぎが病気にでもなったら事だからな。その点次男次女以下は放っておかれる。いずれ家を出る身、悲しくても辛い冒険者業が待っているからな。町で定住できなくもないが、それにしたって何処かに婿入り嫁入りするか、冒険者ギルドに務めるかだな。…何の仕事をするにしたって最低限の文字の読み書きを要求されるが。空き家に住むにしたって現金がいるし、結局一度は冒険者をやらねばならないだろうな。そして、文字の読み書きの点で詰むと。


 世の中何かと物入りなのだ。村で農家をやれる方が幸せだったりするんだから。後は才能に期待するしかない。才能があれば、町での働き口も見つけられるだろうからな。…でも結局は文字の読み書きで詰む未来しか見えないな。町で働き口を見つけても、文字の読み書き、特に計算ができないと何もやれることが無い気がする。まあ、弟子入りしたりすれば強制的に覚えさせられるかな。


 しかし、何時までこっちを見ているんだろうな。そのうち飽きるだろうが、びしょ濡れだぞ。土砂降りじゃないにしても結構な雨量なんだし、直ぐに飽きてどっかに行くと思ってたんだがなあ。…暇だなあ。ま、雨が止むまでしょうがなしよなあ。ん? こっちに来たぞ。…めんどくさいことじゃないといいんだが。


「冒険者さん冒険者さん、お話聞かせて。」


「聞かせて聞かせて。」


 雨の中、こっちに来たと思えばお話か。まあ、暇つぶしにはいいか。…ここだとあれだし、教会の説教部屋を借りようか。流石にずぶ濡れはいかん。


「じゃあ教会に行こうか。濡れちゃうからね。」


「「「「はーい。」」」」


 こうして子供4人と教会に来た訳だが、最低限子供たちを拭いてやらねばいかんだろ。拭き布を貸してやりつつ、部屋の交渉にいかねばなるまい。奥のほうまで行って神父様にお願いをする。大銅貨1枚でいいかな寄付金は。こういうのは大抵気持ち程度で大丈夫って話だしな。


「すみません、子供たちに話を聞かせてあげたいので、部屋を貸して欲しいのですが、あ、これ寄付金です。」


「ええ、構いませんよ。こちらの説教室を使ってください。」


「ありがとうございます。」


 さて、部屋も確保したし、子供たちを呼びに行き、まだ拭いていない子供にはぐしゃぐしゃと拭いてやり、説教部屋へ。さて何の話をしたもんやら。


「さてさて、何の話を聞きたいのかな?」


「冒険の話!」


「戦いの話!」


「はいはい、お兄さんも戦いはそんなにしてないから簡単なお話になるけどいいかな?」


「「「「はーい。」」」」


 そんな訳で、初めてのゴブリン退治の話をしてやろう。後は、馬車で見学した時の冒険者の話でもしてやろうかな。それくらいしか戦いの話、冒険者っぽい話が無いもんな。基本採取メインですから。


 そんな訳で30分ほど、ゴブリン退治の話を面白おかしく話したりしていたが、話の種が無くなってしまった。創作でもいいんだが、生まれてこの方吟遊詩人なぞ見たこともなし、どうすればいいのやら。子供たちに聞いてみるか。


「次はどんなお話がいいかなー?」


「どうしたら冒険者になれるの?」


「僕も冒険者になりたい。」


「わたしもー。」


 次々に冒険者になりたいという子供たち。そうかー、冒険者になりたいのか。ならばすることは決まっているな。


「冒険者になりたいならば、まずは読み書き計算ができる様になることだ。これが一番大事だぞ。」


「文字の読み書きってどうするの?」


「計算って何?」


「それは教会で教えて貰えるぞ。ちょっと待ってなさい。」


 先ほどの神父様を捕まえると、子供たちに文字の読み書き計算を教えているかを聞かないと。


「すみません。ここの教会は文字の読み書き計算を教えていますか?」


「ええ、希望者が居れば教えておりますよ。お習いになられますか?」


「いえ、僕じゃなくてこの村の子供たちです。良ければ明日からでも教えてあげてください。」


「分かりました。子供たちの前まで行きましょうか。」


 そういうと、神父様は説教部屋へと入っていったので、それを僕は追いかけた。


「文字の読み書き計算を習いたいというのはあなたたちですか。」


「そう! 冒険者になるには大事なんだって!」


「僕も冒険者になりたい!」


「わたしもー!」


「では、明日の朝からこの教会に来てください。ここでお勉強をしましょう。」


「「「「はーい。」」」」


「良い返事です。お父様お母様に何処に行くかを言っておくのですよ。」


「「「「はーい。」」」」


 これで大丈夫っぽいな。とりあえず、文字の読み書き計算をできればいっぱしの冒険者にはなれる。これで冒険者広場に屯している冒険者行きは避けられるだろう。そうすると後はお祈りだな。冒険者になりたいと、それらの才能をくださいと祈らなければなるまいて。別に祈る必要は無いかもしれないが、祈りには実績があるからな。エドヴィン兄やマリー姉だって祈って自分の欲しい才能を得ていたんだ。祈りの力は偉大だろう。


「神父様、このまま礼拝堂に行ってもいいですか? 子供たちが欲しい才能を貰えるように祈らせたいので。」


「それは良いことです。一緒に行きましょう。」


「じゃあいくぞー。ついてこい。」


「「「「はーい。」」」」


 神父様に先導してもらい礼拝堂へ。ここで両膝をついてお祈りだ。


「僕が手本を見せるから、真似して祈るんだぞ。真剣に自分の欲しい才能を祈れ。」


 そう言って祈りの構えをとる。僕はもう才能を振られた身なので祈りはすまいが、お礼を言っておこうかな。錬金術師の才能ありがとうございました。祈りの構えを解いて周りを見ると、そこには真剣に才能を祈る4人がいた。うんうん、ちゃんと祈っているな。祈り終えたのか4人ともパッと立ち上がる。


「いいか? ここに読み書き計算を習いに来る時に毎日するんだ。終わっても星振りの儀が終わるまで毎日だ。今日の様に雨の日や、家族の用事があるときはそっちを優先していいからできるだけ多くの日にお祈りするんだ。それがいい冒険者となる第一歩だ。」


「「「「はい。」」」」


「よし、いい返事だ。…雨も上がったようだし、今日はここで解散だ。明日から真剣に学べよ。」


「「「「はーい。」」」」


 いつの間にか上がっていた雨。もう少し早く上がってくれていればわざわざ教会に来なかったかもしれないな。そう思うと、雨がこの子らをここへ導いたのかもな。この世界、神様がまじでいる世界だから、神様が何かしたんじゃないかと思ってしまうな。


面白かった面白くなかったどちらでも構いません。

評価の方を入れていただけると幸いです。

出来れば感想なんかで指摘もいただけると、

素人読み専の私も文章に反映できると思います。

…多分。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白くなかった!だから続きが楽しみだ!べ、べつにきたいなんてしないんだからっっ!|д゜)チラッ してないんだからっっ!wkwk
[良い点] 読み書き計算とお祈りの実績を考えると、子供たちにとってこの日の出会いは幸運以外の何物でもないですね! [気になる点] 学ばない冒険者たちを随分気にしているのが読んでいて不思議です。 確かに…
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