194話 30歳 ジュエルラットの爪切り、ジュエルラット増産命令
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もう流石に刈り取りも終わっただろうなあ。肌寒い季節になりましたね。11月の中旬ですよ。どうも、ヘルマンです。
魔通話は改善点が沢山見つかるといういい結果に終わりましたね。失敗では無かったと思いますね。2割くらい成功と言ってもいいと思います。
実験はまた来年、素材が足りませんからね。素材が無いのばかりは仕方ないですから。他の錬金術師の人たちも使いたいでしょうしね。
品種改良は中々上手くいきません。いや、手は抜いてないんですよ? 色々と試しているんですが、実を結びません。何が駄目なのかが全く分からないんですよね。傾向が掴めておりません。
どの素材を使えばいいのかすら解らんのですから何ともならないんですよ。便利な快命草ですら駄目だったんだからお手上げです。総当たりで頑張っている最中です。
花火の補充もしております。来年の祭りの為ですね。まあ、こっちはのんびりでいいんですが。気付いたら祭りでしたってことが無いようにちゃんと準備しておきましょう。
まあ、近況はそんなところでした。錬金術をしているのかと言われると微妙としか言えない。しょうがないとは思いますがね。
錬金術師らしいことをしたいとは思うけど、色々な開発物をポンポンと出せるかと言ったところ。考える時間をくれ。それくらいには難しいんですよ。何とかしたいが、何ともならない。もどかしいですね。
で、今日はやることがあるんですよ。そろそろ爪切りの時期だと思うんですよね。レティシアの。もう半年位経ってるからそろそろだと思ったんだけど。
「……レティシア、大きくなったね。暫く見てない内に普通のネズミくらいの大きさになったんじゃない?」
「うん。大きくなったよ。まだ小さくなることは出来ないんだけど」
「そうなんだね。でさ、そろそろ爪切りの時期かなあと思ってさ。伸びてきてる?」
「ちょっと待ってね。確認する。――あ、結構長いかも」
「……うーん、もうちょっと伸ばした方がいいんだろうけど、まずはこのくらいで切ってみようか。テイマーギルドの支部長にもどんな宝石になるのか見て貰わないといけないからね」
「……本当に切って大丈夫なの? 痛くない?」
「痛くは無いと思うよ。奥まで切り過ぎなければ。アリスが切ってみる?」
「やってみる。……何この鋏?」
「ジュエルラット用の爪切鋏。この半円に爪を入れて切るんだよ」
「こんなものまで作ってたの? じゃあ切るけど、レティシア、痛かったら言うんだよ?」
パチン、パチンと爪を切っていく。……まあ、人間の小指の爪の半分くらいの大きさなんだけどさ。切った爪を保存瓶に入れていって、こんだけか。まあ、小さい錬金生物の爪だからな。これでも大きい方じゃないかな。
「初めてにしては上手だったね。レティシアも大人しかったし」
「感覚共有で行動を縛ってたからね。痛くも無かったし。ちょっとパチンって音に驚いてたかな」
「ああ、感覚共有でそんな事も出来るんだ。アンデッドは抑えるとかそんなの無いからなあ」
「そうなんだ。レティシアー。終わったからね。怖くなかったでしょ」
「キュー」
「あ、レティシアってそんな鳴き声なんだ。初めて聞いたよ」
「レティシアは寡黙な方だよ。中々鳴かないから」
「そうなんだね。とりあえず、その爪を持っていって貰える? 支部長に見せれば何かしら沙汰があると思うんだよね。報告書は出したけど、止まっているだろうし」
「解った。支部長に見せればいいんだね」
「……流石にアリスが支部長って言うのは駄目なんじゃない? さん位付けないといけないんじゃない?」
「だって、支部長が付けるなって言ったんだもん。私だって最初はさんを付けてたよ」
「ああそうなんだ。それならいいか。じゃあよろしくね」
「うん」
そんな感じで、爪切りは無事に終わった。暴れることも無かったし。……ちょっと成長が早くて驚いたくらいかな。あれなら小さくする必要は無かったんじゃないかなあ。
まあ、小さくした方が動かなくて楽なんだが。多少動いたところでなんだよな。錬金生物はある程度賢いし、テイムされることも解っているような感じだしな。
ペフタンがいい例である。碌にテイム出来ていない状態でも、ペットとして飼えているんだから。まあ、沢山作れと言われたら、逃げられない様に工夫をするか、エイミーのいる4階で錬金術をすればいいんだから問題はない。
まあ、そのうち呼び出されるだろう。年明けくらいかなあ。今度は何匹作れって言われるのだろうか。期間はそれなりに貰うからな。アラクネよりは早く出来そうだけど。
年明けとか考えていた僕が阿呆でした。3日後だったよ。呼び出しを受けたのは。1日でテイマーギルドの支部長に話がいき、その流れで領主様まで話がいった。
2日目に細工師に依頼を頼み、装飾品か何かを作らせて、3日目に品評会をして、その勢いで呼び出しの通知を送った。そんな感じでしょうか。早いよ、事態が動くのが。
そんな訳で、今日呼び出されてやってきました代官屋敷。いつもの事です。毎年年金を取りに来てるからね。それ以外にもちょくちょく来てるんですよ。
主に駄弁りに。他のギルドにも行ってるし、なんなら代官屋敷は少ない方だな。何気ない日常会話に錬金術のヒントが隠されているかもしれないし。
まあ、今回は別件ですがね。呼び出しですよ。いつもの受付さんが領主様の部屋まで案内してくれました。いつも通りですね。
「入れ」
「失礼します」
「おう、戻っていいぞ」
「失礼いたします」
「――でだ、早速だが、こいつの件だ。ジュエルラットの報告書の件だ」
「ええ、まあ、解っていたことですが、動きが早かったですね?」
「読んで差し止めて置いてから結構な時間がかかったからな。そんで、こいつらを作らせたわけなんだが、家の女衆からも中々にいいとの評判だったからな。この領で独占することにした。悪くは思うなよ」
「いえ、別に悪いとは思ってませんよ。しかし、それ程でしたか?」
「ああ、それ程らしいぞ。何でも輝きに深みがあっていいらしいな。詳しくは俺も解らん。だが、確実に売れるもんらしい。なら独占したって文句は出ねえよ」
「はあ、僕も宝石は専門外なのでよく解りませんが。独占したいという事は分かりました」
「おう、そんな訳で早速こいつを作らせる事にした。アントニオ、どのくらい要る?」
「そうだな、半年であれだけだろ? 大きさはあれ以上になるんだよな?」
「多分、1年程置いておけば、倍ぐらいにはなるかと思いますが」
「食いもんも快命草でいいらしいし、5000は欲しいな。その位は飼える筈だ。食べ物も微妙にアラクネとハニードランとで被ってないからな」
「そうですね。ハニードランは蜜ですし、アラクネは葉っぱ、ジュエルラットは茎の部分を食べますからね。まあ、快命草が根絶やしになることなんてそうそう無いでしょうけど」
「そう言うこったな。食いもんがあるんだったら5000よりも欲しい所だが、希少価値も付けたいからな。なるべく最初の内に稼いでおきたい。だから5000だ」
「……2年貰いますよ? 多分3回目の新年祭位までには揃うと思いますが。速さを求めるなら他の錬金術師にも作って貰うのがいいと思うんですが。家はアラクネの件で結構探られてますよ?」
「アラクネの隠れ蓑には丁度いいだろ。お前さんのところで作ってるってバレても問題ないからな。……アラクネと違って、こっちは報酬次第で作ってやっても構わん」
「あれ? いいんですか? 独占したいんじゃ無いんですか?」
「ああ、アラクネの方が大事だからな。そっちが漏れる方が不味い。ジュエルラットは多少作られても宝石が大量に出回ることはあるまい。ブルーアンバーの事を思ったら秘匿に出来るが、そこまで秘匿に拘るもんじゃねえからな。宝石は流行り廃りが激しいからよ」
「ああ、そう言えば宝石は流行があるんでしたね。……スパイダーシルクにも流行は無いんですか?」
「そっちは代わりが無いからな。暫くは安泰だな。秘密もバレてない様だしな」
「まあ、探りを入れられても、テイマーギルドの裏で作ってる事を言いふらしてますからね。……錬金術ギルドの裏も大変なことになっていますが」
「あっちはスケルトンも動いてるからな。まあ、問題あるまい。という訳だ。5000の納品を頼む。納品はまた娘を使え。そうすれば楽だからな」
「独り立ちさせるんですが……、近い方が良さそうですね。分かりました。アリスにもそう伝えます」
「おう、多少仕事場にくるのに遅れてもいいからそっちを優先してくれ」
「そう言う訳だ。今回の件は他に作ってくれと頼まれれば、報酬次第で作って構わん。それだけは覚えておいてくれ」
「解りました。火属性と光属性の高級素材で手を打とうと思います」
「それは、誰にも作らんと言ってるのと一緒だぞ」
「いや、誰かしら持ってきてくれればいいと思ってるんですよ。大魔金貨4枚で宝石が永遠に取れるんですから安い買い物でしょう?」
「安いが、まあ、そんな素材を持ってくる奴がいるかどうかだがな。まあ作るのは構わんからな。アラクネだけは秘匿しろ、良いな?」
「解りました」
「よし、行っていいぞ」
そんな訳で、丸2年くらいはジュエルラット作りに専念することになりました。大型受注は嬉しいんだけど、大変なんだよなあ。
まあ、完全に秘匿するわけじゃ無いみたいですし、高級素材につき1匹作るようにしましょう。鉄迎派を雇えば簡単なんだから。解法は幾らでもありますよ。
しっかし、なんですね。5000ですよ。多分花火を作る暇もないですよ。……意地でも花火は作るからな。その位の余裕は貰ったはずだから。2年もかからないと思うんだ。普通にやれば。
魔通話の実験もやりたいし、花火も作りたい。色々とやりたいこともあるので、のんびり急いで作りますよ。大分矛盾したこと言ってるが、ニュアンスは解って欲しい。
1日8匹ずつ作れば間に合うでしょ。まあ、問題なし。素材だけ仕入れていかないとな。ああ、ネズミの仕入れも考えないといけないのか。冒険者ギルドにも寄らないとなあ。また忙しくなりそうですね。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人作家の私も文章に反映できると思います。
…多分。




