187話 29歳 花火の打ち上げ、申請したのに怒られた
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今年もまた暑い夏がやってきましたよ。レイドに行かないといけないですね。7月の上旬です。どうも、ヘルマンです。
すっかり夏ですね。錬金術の方も再開しておりまして、11個の星の川を増産しております。その合間に花火の研究をしております。魔通話? あれは素材に難があるから気軽に実験という訳には行きませんので。
花火は蒸発粉を使いながら打ち上げ機構を作りまして、無属性の魔水を風属性の爆弾を使って散布することで他属性の魔石に魔力を供給出来ることが解ってからは結構捗ってます。
詳しく話すと、まず風属性の爆弾で筒から打ち上げます。爆発の震動で、中にある風属性の爆弾の周りに薄い紙で覆った魔水袋を破裂させて魔力を供給。時間差で爆発させます。この時、時間差で爆発させる風属性の爆弾は、可能な限り威力を落とします。
そして、爆発で破れるような強度にしてある第2の魔水袋を破裂させるのと同時に、属性爆弾を散らして散った先で爆発させることで花火の様にするという工程を追っております。闇属性は映えなかったので使うのを止めました。
最近1か月位、夜の1時ごろに花火の試射を行って居りましたが、中々の出来になったんではないかと思います。
しかしなあ。音が若干残念なんですよねえ。前世の花火は体に震動が走るほどの音があったんですが、こっちの花火は静か。魅力が半減なんだよなあ。
そんな感じで打ち上げまくっていたんですが、今日は領主様から呼び出しをくらっております。十中八九花火の件でしょう。間違いは無いと思います。
闇夜にいきなり花火が打ちあがるんですから、何事かと思われているだろうなとは思っておりました。だから対策として、花火を打ち上げますと報告書を出していたはずなんだが。
祭りの報告書と一緒に出したんだがなあ。何で呼ばれるんだろう。ちゃんと申請をしたと思っていたんですが、何がいけなかったのか。
「御託はいいから、何をしているのか話せ」
「何って、花火ですよ? ちゃんと申請書を上げたじゃないですか」
「……あれが花火か? 夜に爆弾が空で爆発していると報告が来ているんだが。それがお前さんの家の近くから空に投げられていると報告が来ているんだが?」
「そうです。夜の空に咲く明るい火の花、花火です。……実物は爆弾の集合体ですが」
「……そうか、あれが花火か。んで? 申し開きは?」
「ちゃんと申請を出したはずです。呼び出される事態では無いはずですよね?」
「誰も爆弾を使うとは書いてないだろうが! 町中で危険な物をぶっ放すんじゃねえ!」
「今のバージョンは大丈夫です。爆弾への点火率は100%です。町中に爆弾の破片が落ちているという事は無いように作ってます」
「今のってことは前までは爆弾が地面に落ちてたって事じゃねえか! 少しは考えやがれ!」
「前のバージョンも爆弾の強度を下げて地面にぶつかったら壊れるようにしてありました。だから大丈夫です。爆弾で怪我をしたという報告は来てないはずですよ」
「確かに怪我をしたという報告は来ていない! 来てないが場所を考えろ! 町中でやるんじゃねえ! 魔境でやれ!」
「……それだと夜に魔境に行かないと駄目じゃないですか。面倒じゃないですか」
「……昼でいいだろ? 何で夜なんだ」
「だって映えないじゃないですか!」
「試験運用なら昼にやれ! 完成してから夜に打ち上げろ!」
「完成したので夜に上げてもいいですか?」
「お前は……ったく、本当に安全なんだな?」
「問題なしです。祭りをやる時の夜に打ち上げる予定だったので」
「祭りだあ? そう言えばそんな報告書も来てたな。あれもお前だったのか」
「そうです。やりましょう、祭り」
「っつってもなあ。何を祭り上げるんだよ。新年祭はまあ解るだろ? この時期に何を祭るんだ?」
「……そこは考えて無かったですが、ミズチやスティナラニアを祭りましょう。かなりの数を倒してますし、供養祭という事で」
「……まあ、時期的にはそれで問題ないか。言っとくが今年は無理だぞ。流石に他のギルドとの連携が追いつかんからな」
「ええ、それで大丈夫です。冒険者がお金を沢山落とす場さえ出来れば」
「……それは建前だろ? 本音は?」
「娯楽が少ないので祭りがしたいです」
「……言いたいことは分かった。要は暇なんだな?」
「そうです。劇場、芝居小屋とかも考えたんですが、人と才能が無いので諦めました」
「暇なのは分かった。錬金術で何かしたかったのも分かった。だから申請する際はもう少し詳しく書け。今回はそれだけだ」
「分かりました。出来る限り詳しく書きます。……で、もう戦争は無いんですよね?」
「ああ、向こうの新王が負け過ぎたからな。10年は静かになるだろうとの見方だ」
「あれだけやって10年なんですか?」
「ああ、戦ったのは殆ど戦う才能の持ってない奴らだっただろ? その位なら10年も経てばある程度は回復する。まだ出してない人員もいるだろうしな」
「そうですか……。今回のこっち側の被害ってどんな感じだったんですか?」
「こっちの被害も戦う才能のない奴らが1000人単位で死んだくらいだ。正規軍に被害はない。うちの騎士爵にも欠けはない」
「……まあ、向こうの被害を考えれば大戦果ですか。また10年後に出兵はある感じですか?」
「戦費をふんだくってやったんだ。流石に懲りただろ。もう無いと思ってもらっていい」
「分かりました。西に出るって話は無いんですよね?」
「西は今の所ないな。開拓も順調に行ってるって話だしな」
「分かりました。……ところで、騎士爵増加計画を他の領に教える事はしないんですか?」
「教える訳がないだろ……。隣の領と差を出しておきたいんだからよお」
「そうですか……。ところで、領主軍を遠征させる事は可能ですか?」
「……今度は何を考えてやがる?」
「いえ、借りられれば他領地の魔境に行ってもらって騎士爵級の魔物を討伐してきて、素材を持ってきて欲しいなと。火属性と光属性の高級素材が手に入らないんですよ」
「お前は馬鹿か? 他領の魔境に兵を出すのは侵攻と変わらんのだぞ?」
「ああ……。そんな協定があるんですか。知りませんでしたね。無理ですか……」
「無理だ。買いに行くならともかく、狩りに行くのは不味い。まあ、買いに行ったって売ってないだろうがな」
「そうなんですよねえ。手軽に高級素材を手に入れられないかと思ったんですが……騎士爵に依頼を出すのも駄目ですか?」
「お前はどうしてそう抜け穴を探そうとするんだ。答えは駄目だ。基本的にはな」
「……基本的には?」
「……出来なくは無いからな。推奨されてないから止めとけよ。騎士爵を転籍させて、それで討伐させて、もう一回転籍させるんだ。まあ、確実にバレるから止めとけ」
「うーん、駄目ですか。……僕が直接行くのも駄目なんですよね?」
「基本的にはな」
「……やっぱり手には入りませんか、高級素材」
「無理だろうな。流石に諦めろとしか言えんな」
「残念です」
「……他に用件はあるのか?」
「いえ、ないです。これで失礼します」
面会はこれで終わりました。……花火は上げても良いことになりましたよね? 注意はもちろんしておりますので、問題なしです。
しかし、遠征は駄目でしたか。やる前に聞いておいて良かったですね。普通に頼むつもりでしたから。となるとうーむ。手がないですねえ。
全く、他の領地持ちの貴族は何をやっているんでしょうかね。成功例があるんだから探りに来なさいよね。高級素材が欲しいなあ。
諦めるのも癪なので考えましょう。……高級素材を作れないかな。不純物を混ぜれば出来そうな気はするんだけどなあ。不純物を取り除くのが錬金術みたいな物だからな。
まあ、花火の申請が無理やりにでも通ったことを良しとしましょう。打ち上げる頻度は下げますが、今度は大きく作ってみましょう。新しいものを作るのは楽しいですね。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人作家の私も文章に反映できると思います。
…多分。