182話 28歳 ヘルマン戦場に行く
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レイドも順調に終わりました。僕が足を引っ張ってるよなあ。10月の終わり位、というか明日が11月になりますよ。どうも、ヘルマンです。
レイドはいつも通りですね。星の数が負けてますから、一番の足手まといは僕になります。訓練で星がひっくりかえせるのは最初だけです。なれて来ればこんなもんですよ。
足手まといは足手まといなりにやれることは有りますので、問題無いですがね。攻略の補助に回る方が多い最近のレイドですよ。
錬金術の方は進捗無しです。魔通話も構想が降りてきませんし、プロトタイプから進んでおりませんよ。何ともならないんですよ。何とかしたいんですが。
品種改良も今の所全滅です。半数以上がそもそも発芽しません。難しすぎんよ、品種改良。気軽に手を出しましたが、沼ですよ、これは。
セオリーがあるのかどうかは問い合わせ中ですからね。幾つかは育ったので間違ってはなさそうなんですよねえ。全滅と言った通り、既製品の劣化なんですよね。
品種改良は本当にどうにもならんですね。才能が反応しても、作物として反応しているのか、種として完結する為に反応しているのかが解らんのですよ。
錬金術はそんな感じ。まあ、両方とも簡単には行きませんよ。特に魔通話は素材が高価なだけにそもそも数が足りない。お金じゃないよ。素材そのものが足りない。実験も手軽に出来ないんですよ。
そして、来ましたよ。赤紙。いや、赤くは無いんですけどね。徴兵命令が来ましたよ。厳正な審査の結果、3000人の中に選ばれましたと書いてありました。……当たらんでもいいのに。
で、出兵式が明日なんですよ。冒険者広場で大々的にやるらしいですよ。今日この日のために宿に泊っている騎士爵さんもいるんだろうなあ。
日付を気にしない生活に馴染み過ぎたせいで、冒険者ギルドに何度か聞きに行ったからな。なんなら昨日も聞きに行った。ジュリオさんとはち合わせたけど。皆も確認するよな。
そんな訳で、……いつもと変わらぬ食卓ですよ。いや、最後の晩餐なんて止めて欲しいんだが。そうじゃないのは有難いことですよ。
「明日の出兵式だけど、皆で見に行くことになったわ」
「あら? そうなんだ。面白いことはあるかわからないよ?」
「一種の娯楽でしょ。どんなのか楽しみでもあるもの」
「領主様が演説して出発だと思うけどね。一応、領主様の弟が最高司令官みたいだけど」
「その辺はあんまり興味無いわね。出兵式ってのが初めてだから興味があるってだけで」
まあ、星振りの儀と同じ感じなのかなあ。子供たちの代わりに騎士爵魔導爵が主役なだけで。他にも色んな人が見に来るんだろうか。
「ねえパパ、戦争って何でやるの?」
「アリス、その質問は中々に難しいよ。パパも何でやるのか解らないからね」
「そうなの? なんか色々知ってそうだったから意外かも」
「流石に全部は知らないからなあ。でも一応考えてることは有るけどね。権威付けが今回の戦争の意味かなあ」
「権威って何?」
「うーん、僕は偉いんだぞって皆に解るようにすることかな? そんな事の為に戦争なんて起こさなくてもいいのにね」
「戦争をすることが偉い人のすることなの?」
「違うと思うよ。偉い人は国を豊かにすることが仕事だと思う。パパは戦争には反対かな」
「ふーん」
アリスも何を思っているんだろうね。戦争は不毛だと思うんだけどなあ。そう思わない人も一定数いるという事は、まあ解らんでもない。
強いことは偉いことだと、蛮族の理論だが無くはないと思うので。なんだかなあ。東の王国が蛮族だというつもりは無いんだけど、何で戦争をやるのかねえ。
戦争をする理由が無いもんなあ。そこまで人口が増えているんだったら、理由としては無くはない。住む場所が無くなったら、相手から取らないとと考えても不思議ではない。
食料にしてもそう。それだけの土地が無いから戦争をして奪う。解らんでもない。しかしなあ。そこまで人口が爆発してる国が弱いはず無いんだよなあ。
人口は才能の数と比例するからさあ。人が多ければ、いい才能の数も多いでしょ? 強いと思うんだよね。でもうちの王国よりも弱いって言うし。
だから才能の無い奴らをまとめて兵士にしているとしか思えないんだよね。それ以外で使い道が無いだろうからなあ。うちの王国も底辺の冒険者は沢山いるし。
相手の被害が甚大になりそうだよなあ。うちの方はどうだろう。……冒険者からも徴兵するんだろうか。してるよなあ。食い詰めの冒険者の徴兵。
人気の霊地で募集をかけたり、各町の冒険者広場で声をかければ来るものも多いだろう。戦争に参加しているだけで、ご飯が食えて金も貰えるんだから。
あっちもこっちも要らない人間の整理だとか思ってないよな。その発想も無くは無いとは思うんですよね。底辺冒険者も一定数でいいからな。そんなに数は要らん。
……しかし、今回の小競り合いは大規模になるはずなんですよねえ。小規模の戦闘には流石に無能王でも駆り出さないと思うんですよ。
しかも大将首もある可能性がある。狙えるならさっさと狙って終わらせたいところ。何日拘束されるか分かったもんじゃ無いからなあ。
移動も含めて100日で済むかなあ。一応特急馬車計算なら30日もあれば国境に着くはずなんですが、どうなんでしょう。特急馬車クラスがいいなあ。
色々と会話を楽しみながら食事は終わり、お風呂に入ってお布団に包まり寝ることに。明日遅刻とか流石に恰好が付かない。
一応、朝の4時に出兵式があって、そのまま出兵だからな。流石にそんな寝坊はしませんが、早く寝ましょうね。おやすみなさい。
とまあ、昨日も特に何もない1日でしたが、今日は違います。出兵式ですからねえ。ここの領都で何十年ぶりとかそんな感じだろう。
もしかしたら何百年ぶりとかもあり得るが。東部に駆り出されることなんて殆ど無いだろうからなあ。馬車もかなりの数新調してたし。
皆騎士爵だからな。この戦争では報奨金が出ます。税金は引かれずの大魔金貨50枚ですね。よくも守銭奴王からもぎ取ったよなあ。その所為で3000人という人数制限がかかったんだろうが。
多分、騎士爵も魔導爵も減りませんよ。……ほっとけば増えるだけだけどな。良いことだと思っておきなさいよね。王様なんだから。
そんな訳で冒険者広場……ではなく、領主館の前の通路位に皆集まっている。冒険者広場だと思ってきたんだけどな。違うのか。
でも、冒険者広場も出店がでて、お祭り状態なんだが。とりあえず、僕は騎士爵の多く集まっている領主館の前の方に移動している。
まあ、代官屋敷の裏だから、冒険者広場と大差ないんだけど、まあ、いいんじゃないでしょうか。エイミーたちは出店の方かな。出店が出るなんて思っても見なかったが。
……因みに何で、騎士爵が領主館前に集まっているのが分かったのか。服装ですね。刺繍入りの服を着ているのは騎士爵の人たち位だから。稼いでいる冒険者は無地の方が多い。直ぐに汚れるからな。
僕も今日は50%くらいの面積を刺繍している服で固めている。一応騎士爵ですし、多少はね。持ってないとこういう時に困るから持ってます。流石に魔境に着ていくのは無地ですが。
まあ、鎖帷子を着るので服なんて見えなくなりますがね。……インナーなんて無い世界。鎖帷子は服の上に着る。これがスタンダード。
まあ、前世ではどっちだったか知らないんですが。気にすることでもあるまいて。まあ、流石にまだ着てないけどさ。戦場に行ってからでも十分だし。移動は軽い方が良いしね。
さて、魔械時計を見るにそろそろ時間だぞ。何が始まるんでしょうか。……何か始まるんでしょうか? 聞いてないからな。知らんのだよなあ。
『集まってくれた騎士爵魔導爵の諸君。まずは礼を言わせてもらおう。この度の招集に応じてくれたこと、まことにありがとう。――――』
唐突に演説が始まったな。……前の方だと何か見えたんだろうか。東側に馬車が一杯停まっているのはまあ解るんだけど。僕らが乗るんだもん。必要だよな。
しかし、この声は何処まで届いてるんだろうか? 流石に何処までも響く訳ないよな。その辺は魔通話の作成で痛感している。
遠くに言葉を届ける難しさ。しかも僕は暗号化させようとしているからな。マジで難しい。構想が欲しい。切実に。
『――――この遠征は、王からの勅命である。この3000人の戦力をもって、戦況を変えてくれとの事だ。大任ではあるが、成し遂げられる戦力であると思っている。――――』
思っても無いことをよく言えるよなあ。勅命であることはその通りだろう。実情は増えすぎた騎士爵魔導爵を減らしたい無能王が画策した謀略である。
賭けてもいい。減らない。負ける未来が見えない。辺境伯のところで十分に勝てる相手に援軍で行くわけだからさ。まあ、負けんし減らんよ。
演説も娯楽なんだろうなあ。平民がお祭りをしてるんだから。……祭りか。定期的にやりたいよなあ。今度領主様に報告書上げとこう。流行れば御の字だ。言うのは只だし。
『――――この戦力をもって、敵の大軍を吹き飛ばす未来が私には見えている。諸君の奮闘を期待している。――――』
色々と言ってますが、要は派手に花火を上げてこいと言ったところでしょう。……花火か。爆発すればいいんだから作るのは簡単かな。
打ち上げる機構を作らんといかんか。それはちょっとめんどくさいなあ。暇があれば作ってみよう。蒸発粉を使えばお手軽に出来そうな気はしますね。……打ち上げる実験の許可を貰わないと何事かと思われそうだが。
『――――さあいけ、戦士たちよ。各馬車に10人ずつ乗り込み出発するのだ。目指すは国境、総員準備開始』
さて、演説も終わり、士気が上がったところで、馬車に乗り込んで行くわけですが、300位馬車があるからなあ。先に前の方から乗って貰わんと進まんですよ?
僕はまあ、遠慮がちに後の方の馬車に乗り込みましょうかね。別に最終的に現地に付けばいいんだからどれに乗っても一緒だよ。誰と乗り合わせるのかだよな。
……見事に知らない人ばかりですね。まあ、しょうがないですが。知り合いに当たる方が珍しいでしょう。そんな訳で、馬車旅のスタートです。
目指すは国境。30日程の旅になるんでしょうかね。乗合馬車とかだと100日はかかるだろうが、2頭立てだし、問題は無いはず。
まあ、戦場に遅れなければいいんですよ。……しかし、なんですね。テントで冬を過ごす羽目になるのは何気に久しぶりなんではなかろうか。
霊地に居たときは宿に泊まっていたし、……錬金学術院の時以来か。2年の冬に素材欲しさに霊地に篭ってたな。その時以来だから10年ぶり位のテント生活ですか。
懐かしいですね。錬金学術院。交流は続いていますが、卒業して10年以上経ってるんですもんね。セレナさんとかは「久しぶりねー」とか何事も無かったかのように接してくれそうだけど。
長寿種の寿命を考えると、10年ってあっという間なんだろうからね。人間にとっては長いですよ、10年は。感覚が違いすぎるからね。
そんな訳で、中々進まない馬車に乗りつつ、懐かしみつつ。これからの事を考えましょうね。とりあえず、野営はどうするんだろう。教会前広場は使えないと思うよ?
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人作家の私も文章に反映できると思います。
…多分。




