174話 27歳 図書館に納本、領主様に献上、アラクネ作り再来
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春が来たり帰ったりする季節、3月の上旬くらいですかね。どうも、ヘルマンです。
今年3歳になった子供たちは教会に行かせるようになりました。家にいる子供が僕とエイミーの子供だけになりました。少し寂しいですね。
でもまあ仕方ないですよね。自分たちで文字の読み書きを教えるのは大変ですから。教えて貰える所があるんだからそこでいいじゃんね。
教会といえば、図書館が教会に併設されました。……やはり教会になりましたか。文字の読み書きを覚えた子供たちが読むのにも丁度いいでしょう。
僕も図書館に本を納本に行きましたよ。……食い倒れ紀行を勝手に製本したものですが。僕が買ったものだから、大丈夫ですよ。全部楽しく読んだし。料理にも反映されたし。
フローラさんのレシピ集とクレアのレシピ集も納本しました。クレアは少し恥ずかしそうにしていましたが、価値あるものですから。残して行きましょう。
そして、町の料理人にも納本をさせました。……秘伝というか重要な事は書いていなかったりするからただ真似しても駄目なんだよね。そのまま作っても美味しい物は出来るけど。
流石に商売の種を全て教える訳がない。それはしょうがない。解っていたことだから。そのレシピを見て、自分流にして完成させるまでが料理ですから。才能の無い人は真似でも十分美味しいですよ。
あとは戦盤を献上しました。領主様に直接会って渡しました。……だって直ぐに会うって言うんだもん。待たせようよ。正式な作法だと思うんですが。
まあ、いいんですよ、僕は。直ぐに会えた方が楽だからさ。献上して遊び方だけ簡単に口頭で説明しつつ、ルールを書いた皮紙を置いてきた。
多分、将軍や軍師の人が得意だと思いますと伝えてきました。元々は戦場の動きを把握する為の物のはずだから軍で使うのは正しいと思うんですよ。
まあ、玩具なんですが。一応リバーシとジェンガについて聞いたらすでに持っているとのことなので、それは置いてこなかった。貴族も使っている玩具になりましたね。
今回の訪問はそれで終わりだったんだけど、まあ、報告書の件で引き止められましたがね。なんとなく解っておりました。あの報告書の事だろうなと。
人間のゾンビやスケルトンを作ったことがあるのか問い合わせましたからね。まあ、引っかかるでしょうね。一応あるとは思うんですよ。テイムも出来ないはず。
……そもそもアンデッドになるのかも知りたいわけでして。肺が磨り潰されるんでしょうかね? それともアンデッドにすらならんのかね? 多分スケルトンにする際肺が残ったはず。魔鉄の代わりに。
まあ、興味があったので聞いただけなので、特に理由は無かったりするんですよね。ヘルマン式精霊学があってるかどうか確かめたかっただけなので。
でもまあ、そこは一応引っかかったという事で、呼び止められた訳ですね。後は純粋に面白い報告書だったとの評価を頂きました。
テイムに関することだからテイマーギルドにも一応は知らせたしなあ。家のペフタンのせいでそうなったわけだが。支部長、頭を抱えてたらしいけど。
それで領主様に無事、献上して終わったわけだが、近いうちにまた呼ぶかもしれねえ。とのお言葉を頂きまして。……何の話だろうね? 心当たりが無いので解らないんですが。
まあ、そんな訳で今日。呼び出されて来たんですが、……またテイマーギルドの支部長もいるなあ。報告書の中身の話か? それなら前の時にしたもんな。うーん。
「おう、ヘルマン。端的に話を進めるぞ。アラクネをもう1500作ってくれ」
「げっ、マジですか」
「おう、マジだ、大マジだ。スパイダーシルクの布の売れ行きが凄まじくてな。早速だが増産したい。費用は一緒だけ出す」
「……そんなに売れ行きがいいんですか?」
「おう、新しい物好きが多い貴族だが、質のいい服は思った以上に価値のあるもんだった。希少価値を売りにしてもいいが、家の服飾関係の奴らも儲けさせたいからな。なら増産しようって話になってな」
「アラクネの生活スペースがまだ余ってるんだ。だから倍にしても問題ない。快命草の葉っぱも茎以外は要らないという特性もあいまって問題なく育つしな。それに葉っぱも、毟っても2,3日放っとけば生えることも分かったからな」
「はあ、という事は今年もがっつりと作れという訳ですね」
「おう、そう言うこった。時期は新年祭までだ。前よりは期間があるだろ?」
「まあ、出来るのは出来ますが。素材も前は錬金術ギルドに十分ありましたし」
「すでに追加分は仕入れて貰ってる。心配することはねえ」
「アラクネの世話の仕方も解ってきた事だしな。お前さんの娘も結構やるしな。50匹位持たせても大丈夫なくらいだ」
「ハニードランの方は生産しなくてもいいんですか?」
「そっちはギルドに依頼してすでに増産している。今は何匹だ?」
「そっちも2000匹までは増やした。とりあえず時期を見てそっちも増やしていく予定だ。……快命草畑に限りがあるからな。そっちは3000匹まで増やすかどうかは蜜の集まり次第だな。生きていく分の蜜も必要だからな」
「それにそっちは公開しただろう? 何もお前さんだけじゃ無くてもいいわけだ」
「それは確かに。蜜の売れ行きはどうなんですか?」
「飲食店を中心に平民にも売れているな。中銀貨2枚まで値段を下げたからな。甘味は砂糖しか無いからな。砂糖は最近になって公爵家で作られているようだが、こっちに回ってくるまでには時間がかかりすぎる」
「……成る程。作物を盗りに行ったりはしてないんですか?」
「蜜で十分だ。急ぐ必要はねえな。危ない橋は極力渡らねえ様にしてっからよ」
「アラクネの増産は決定だが、早ければ今年中に探りが入る。それだけは注意しておいてくれ」
「あの、注意って言っても作ってるんですが、その辺はどうしたらいいですか?」
「アラクネが錬金生物だって事と、テイマーギルドや錬金術ギルドの裏で飼っているって事は話していい。……後は今年中に探りが来た場合、お前さんの店を張り込むはずだからな。作り方は知っているが、秘密にしてくれと言われている。どうしても知りたければ領主に直接尋ねてくれと伝えろ。と言え。その位はこっちで対応する。レシピは公開していないの一点張りでいい」
「今年じゃ無いことを祈りたいですね。作り終えていたら来年の対応でいいですか?」
「おう、そうしてくれ。お前さんは金じゃあ動かんだろ?」
「まあ、金では動きませんが。……素材なら動くかもしれませんよ? 火属性の魔境の最高品質の素材と光属性の魔境の最高品質の素材はこの領では手に入りませんからね」
「無理だと解って言っているだろう? 此処みたいに騎士爵が異常に増えてる領なんて他にねえよ。もう真似したい貴族が探りを入れてきているんだ。まあ、そのうちバレる。別にこれはバレても問題ねえ事だからな。俺が動いた訳でもねえしな」
「そうですね。僕が勝手にやったことが、こんなことになってしまっただけですしね。……他の貴族家でも騎士爵は増えそうなんですか?」
「増えるとは思うぞ? 流石に此処と同じことをすればいいだけだからな。まあ、まずは最初の騎士爵をどうするかだが。錬金術師に星の川を作らせる命令も出さないといけないからな。……家は知らない内に全てが終わっていたんだがな」
「よく動いてくれましたよねえ。まあ、非協力的な錬金術師もいたようですけど。一応ギルドから情報は貰ってます。まあ、協力しなかったら収入が減るだけですし。デメリットって特に無いですからね」
「まあな。まあそんな訳でアラクネの増産を頼むわ」
「分かりました。支部長、また1000匹を越えたくらいからアリスにあと何匹か伝え始めてください」
「おう、任せろ。それくらいはお安い御用だ」
まーたデスマーチの始まりですか。……嫌だなあ。でも頼まれたことはやらねばなるまい。秘匿技術指定されてしまっているからなあ。仕方ないですね。
しかし、まーた1500ですよ。11月の中旬ですかねえ。終わるのは。……下旬かな。休みも欲しいし。年内に終わればそれでいいだろう。
アラクネが3000とハニードランが2000か。沢山増えたなあ。特にハニードラン。知らない内に増えていたんですねえ。あれも簡単だしなあ。素材は手に入れられたんだろうな。
他領のギルドでも霊地の素材は抱えているだろうし、仕入れはそんなに難しく無いのかもしれない。もしかしたら王都で仕入れているのかもしれないが。
錬金術ギルドで素材を仕入れる。……大量買いもいつもの事だから慣れたもんだよ。特定の素材を2年連続で買うのは珍しいだろうけど。
まあ、そんな訳で帰ってきました僕の店。まーた開店休業状態になってしまうなあ。髪洗液の在庫は足りるだろうか? 中級ポーションも欲しいよな。ピッタリ長靴は……いいか。
「おかえりなさいませ、旦那様」
「ヘザー、ただいま。エイミーは4階?」
「はい。奥様は4階にいらっしゃいます」
「分かった。そっちに行くよ。店番は引き続きよろしく」
「かしこまりました」
子供も3人だけになったからな。後の子たちは皆教会に行ったから。レイチェルとルーナとミーナしか残っていない。さてと。
「ただいま、帰って来たよ」
「おかえりなさい、貴方。どうだったの? 今回は心当たりが無いって言ってたでしょ?」
「うんまあね。アラクネを増産してくれだって」
「……また沢山作るの?」
「前回と同じ数かな。1500だよ。まあ素材は買ってきたから後は作るだけだね」
「そう。偶にはそっちに遊びに行くわ。子供の数も少なくなったし」
「そうだねえ。後の子たちは教会に勉強しに行っているからね。レイチェルー、パパだよー」
「パーパ?」
「そうだよー。パパだぞー」
「マーマー」
「はいはい、パパはいつもお仕事で忙しいからね。ほら拗ねないの」
「またパパと認知されるのが遅くなるよ。仕事だから仕方ないけどさあ」
「そのうち覚えるわよ。ドミニクだってちゃんと覚えたじゃない」
「まあ、そうなんだけどさ」
「小さい内はこんなもんよ。さあ、お昼寝の時間ですよ」
「ルーナとミーナは良く寝るね?」
「この子たち、夜泣きも無いからいいんだけど、毎日殆ど寝てるのよね。大丈夫かしら?」
「さあ、こんな子は初めてだよね?」
「そうね。まあ、そのうち活発になるでしょ。さあレイチェルも寝ましょうねー。トーントン」
平和だなあ。……戦争の足音が聞こえてきてるんだよねえ。本当に何時になることやらだよ。出来れば回避したいが、無理だろうなあ。そんなに運がいい訳がない。
しかし、アランは来ないだろうというのは良かったというべきか、久しぶりに会いたかったというべきか。会わない方がいいだろう。戦争なんて出ないでいいなら出ない方がいい。
まあ、今は平和を楽しみましょう。……僕は中級ポーションと髪洗液の補充を作りに行きましょうかね。がっつりと作っておきましょう。明日から忙しくなるからなあ。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人作家の私も文章に反映できると思います。
…多分。




