159話 25歳 ペットのお風呂事情、人間は不思議、戦争の話、ブルーアンバー
夏の真っ盛り、今年はスタンピードではなさそうですね。8月の中頃ですよ。どうも、ヘルマンです。去年とは違って夏が大人しいです。毎年このくらいで勘弁してくれませんかね?
僕が作った兎ですが、僕が起きたときにはすでに起きてました。…子供たちにもみくちゃにされてキーキー鳴いてましたが、エイミーは笑ってたので大丈夫でしょう。僕には駄目な悲鳴に聞こえたんですがね。
ああ、名前はペフタンになってました。僕が関与するまでもなかった。…まあ寝てましたし。今までもそうでしたからね。
撫でるとプープー鳴くんですよね。…兎って声出るんですね。知りませんでした。まあ前世とは確実に違う兎ですので。元は5m位あったからなあ。今は20㎝位ですが。床から背中までが20㎝です。
シャウトと同じように逃げることも多々あります。…そして僕の所にやってきます。シャウトがここは安全と教えた可能性がありますね。…まあ、僕は普通に撫でるくらいですから。
食べるのはオーク肉。…肉食なんだね。人参食ってるイメージしかなかったんだけど。焼いた方がいいみたいですね。生でも食べるんですが。
食べるのはシャウトと並んで大人しく食べてます。2匹ともそんなに早食いでは無い為、競うことも無く、自分の分を確保して食べております。…こいつらも肺が無いんだよなあ。
肺がないのは確認しております。…お風呂に入れたら沈んだんだよな。平気そうにしてたから平気なんだろう。呼吸という概念が無いのは便利そうだよな。息切れしないんだから。
シャウトもペフタンもお風呂は嫌いでは無いようです。デュークも好きだしなあ。デュークはお風呂に入れると縁に顔を乗せて寝るんだよ。溺れる心配が無いのはいいんだけどさ。
シャウトは小さい桶の中に丸まってお風呂を堪能してます。…狭いよ? 広い方を使おうよ。まあ、好きにしてくれればいいんだけど。
そしてペフタン、お前は浮いてきてくれ。心臓に悪い入浴方法ですよ。一番深い所に自分から沈みに行く。肺が無いのは解ってるけど、溺死が怖い入浴方法です。
…しかし、肺がないのに鳴き声があるのが不思議だよなあ。ゲップの様な物なんだろうか。…今一納得がいかない。この世界不思議が多すぎるんだよなあ。
まあ、人間も大概不思議なんですが。前世と全然違う生き物だよなあ。成長が早いような気がするし。…僕は異常だったのは解ってる。でも違和感があるほどに異常なのかというと…そこまで? って感じはする。うちの子たちも3歳で歩いて教会に行ってるもんな。…こんなもんなんだろうか。
まあ、7歳で家を出るとか明らかに前世より成長は早い。…解剖したりしたことないけど、違う臓器とかありそうよな。何処まで一致しているのか興味はあります。
ただ、死体を解剖しても解らんと思うんですよ。何処がどの臓器か解る人じゃあ無かったみたいだしね。前世の記憶がサラリーマンって職業みたいだから。…冒険者みたいなもんなんだろうか?
この世界、人間だけが特異な生物なんだよなあ。魔鉄の有無を教えて貰いたい。早く豊穣会から連絡が来ないだろうか。割と真剣に疑問に思ってますよ。
あったらヘルマン式精霊学を1から構築し直さないといけない事態になる。早く結果が知りたい。…多分永明派。幽明派の可能性もあるけど。
まあ、まだまだ考察してから書きますからね。まだまだ生きると思いますし。…寿命延長薬の効果がなければそもそもヘルマン式精霊学が間違っているだろうから早く死ぬ分には書かなくてもいいかなって思ってる。少なくとも100歳を越えてから書く予定だ。
幾つまで生きるかなあ。あの薬も2年に1回のペースで飲む予定なんだけど、それで間に合うのかどうか。その辺も要実験ですよね。
多分、寿命も長寿種の方が伸びが良いと予想できる。肺が聖属性を消費する速度が低いはずだから。人間で5年延長するなら、エルフだと50年近く延長すると思います。
どれくらいの効果があるかは実験次第。僕も何歳で死ぬか判らなくなったからなあ。…少なくともエイミーを置いていく事は無くなったと思います。
飲んでから何か変化があったかと言われても何もないので分かりません。年老いた人が飲めば何かあるのかもしれないが、まだまだ若いからなあ。変化って言われてもね。
まあ、寿命延長薬のことは今考えても何の意味もない。時に身を任せるままだ。結果はそのうち着いてくる。そう言う代物だし。
今は夏、レイドの夏です。スティナラニアのレイドも10日に1度のペースで行っていますが、冒険者が減らないんだよなあ。
いや、ピーク時よりは大分減ったよ? それでも5,60人着いてくるもんね。そいつらが星の川を買うんだろ? 製造機を辞められる日が来るのか?
いやまあ、5、60人なら製造機になる必要が無いんだよ。…レイドが何本か走ってるのよ? 毎日やってるのよ? 製造機、やめられないよね。
騎士爵もそれだけ出ているって証拠にもなるんだが。…年間2、300人増えてるんじゃない? 前に5000人の軍隊が出来ると言ったが、5000人で収まるか?
他の魔境でも同じことをやってるんだよ? 道場が無いから騎士爵に挑戦しようと思うやつは比較的少ないだろうと思うが。
20000人位の軍隊になりそうね。…馬車の注文もまた来るんだろうなあ。しかし、20000人の軍隊となると兵站が大変になりそうなんだけど…『エクステンドスペース』があるもんなあ。
『エクステンドスペース』は確実に戦争に向かう技術ですね。兵站の心配が無いとか普通あり得ないからな。食料にしたって水にしたって大変な量を用意しないといけないからなあ。
でも、戦争ってどの規模感なんだろう。伯爵領で20000人用意出来るんだよ? 辺境伯とかどんだけ兵を抱えてるんだろう。
100万人規模で抱えているんだろうか? 居てもおかしくないんだよなあ。毎年のように小競り合いをしているんだろう? 流石に100万人毎回動員するとは思わんけど。
まあ、僕らが参戦する戦争は比較的大きい戦争みたいですし、どれだけの規模感の戦争なんだろうなあ。…負けるとは思っていないからな。
そもそも、全員を連れていくかも解らんしね。領軍1500人と騎士爵3500人の5000人で十分だと思うんです。年老いてる騎士爵も居るからなあ。ロネ町の支部長を連れてってもなあ。
戦争はもう何年かしてからですけど、予定としては圧勝すると思うんですよね。…向こうに星の川が無いみたいですし。星の雫も無いだろう。
錬金術ではなく、魔法使い系統に力を入れている様ですし。まあ伯爵からの情報だから間違いは無いとは思いますが。
そもそもあっても、一兵卒まで準備している軍隊はここの伯爵軍だけだろう。シミュレーションゲームで1つの軍だけチート使っているような感じですし。
星の川も星の雫もチート案件ですよ。この質に勝てうる戦力と言えば何があるのか。…あの魔剣を持った人間には勝てる気がしないが。
あれは駄目だ。僕らのチートはシステムが許してくれてるチートに過ぎない。魔剣はシステム外の代物だ。あれには勝てる未来が見えない。
まあ、あんな代物他にもあって堪るかというものですし。問題は無いだろう。星10個は壊れているとしか言えないからな。
まあ、戦争はそこまで気張らないといけない事態にはならないでしょう。勝ちすぎて傲慢に呑まれない様に気を付けた方がいいと思います。
でも、心配なのは心配なんだよ。そこまで割り切れない。心が弱いんだよなあ。前世の僕も戦争とは無縁だったみたいだし。
そんな訳で、戦争の話もこれでお終い。…まあ、また何度も何度も葛藤するんですよ。解ってますって。自分の事ですから。
そう言えば、宝石にしたあれ、とりあえず細工師から3つ宝飾品として帰ってきましたよ。…あれじゃあ恰好が悪いのでブルーアンバーという事にしました。
というか報告書を書くときにブルーアンバーと書いちゃいましたし。あれとか宝石では解らんですからね。
1人はブレスレットにしてくれました。上手く埋め込んで、カットも僕の多面体からいじったようです。中々の物だと思います。エイミーにあげました。
1人はネックレスにしてくれました。まあこれが一番手頃でしょうね。針金を籠のようにしてあり、中にブルーアンバーを入れてあります。エイミーにあげたらアリスへと渡りました。エイミーはすでに僕の作ったネックレスしてるもんね。
1人は部屋に飾る小物にしてくれました。4階の棚に飾りました。色々と考えますねえ。僕はネックレス位しか思いつきませんでしたから。
そんな訳で、持ってきた人たちには大魔銀貨1枚でとりあえず購入しました。…他の騎士爵さんたちもお金の使い道に困ってるだろうから景気よく買ってくれるでしょう。
一応、青明蝋も研磨剤も沢山作ることにしました。…スティナラニアのレイドで一杯出るからさあ。花水晶の方が足りてないんだよなあ。
花水晶はレイドの人たちも採取するけど、星の雫のせいで消費の方が多くなっていたところに僕がブルーアンバーの作り方を出したから。
…ケルピーの水晶でも出来るとは思うんだけど、ブルーアンバーの方だけは。…星の雫は花水晶、もしくは水恋水晶を使わないといけないと思うんですよね。なんとなくだけど。
まあ、ブルーアンバーには花水晶、水恋水晶、ケルピーの水晶、淡血晶で作れると報告書には書きましたから。淡血晶なんかは手ごろだと思います。…多分10個でないと無理だとは思うけど。
花水晶、水恋水晶は20個出来る。…直径で判断しているだけだけど。水晶と淡血晶は割とデカいからなあ。10個が限界だと思うんだよ。
そんな訳で、淡血晶で作ってみましたが、中が紫色になりましたね。…ちょっと花水晶のより大きいですが。何に使えるんだろう。とりあえずで作ったんだけど。
まあ、いいでしょう。4階の棚に保存瓶に入れて飾っておきましょう。それでも十分に綺麗な置き物になるし。…10個丁度入る位ですか。つごうがいいなー。
そんな訳で、錬金術をやりつつのんびりしている訳ですね。…ペフタンの時はもう無理と思うような思いをしましたが、なついてくれて満足してます。
座って膝の上で撫でてるんだけど、気持ちいいねえ。プープー鳴いていますが、キーキー鳴いているより健全でしょう。気分よく撫でられてくれてます。
シャウトは畑の木陰で休んでいます。中の方が涼しいんだけど、結界の魔力流が苦手なんだってさ。闇属性のせいかなあ。
冬は寒いから家の中にいるけどね。…寒いのは苦手なんだそうだ。子供よりも苦手らしい。子供たちの相手もして欲しいんだけどね。ペフタンにも。
もうちょっと子供たちにも手加減してもらえないかとも思ったが、子供が手加減を覚える訳がない。諦めてもみくちゃにされててくださいとは言えないもんなあ。
「貴方ー。シャウト達いるー?」
「いるよー。」
「また逃げ出して。ちょっとは手伝ってよね。」
「プープー。」
「まあ、解らないでもないけどね。部屋の中で逃げるだけでも良いのよ?」
「プー。」
「棚に逃げればいいじゃない。ここに来なくても。教えたのはシャウトよね?」
「プーップー。」
「まったく。シャウトー。戻ってきなさーい。」
「エイミー。お腹が大きいんだからあんまり動き回らないで欲しいんだけど?」
「大きいったって。まだまだよ? 産まれるのは秋になってからよ。」
「いや、それでも心配なんだけど。」
「何人産んだと思ってるのよ。全然余裕よ。」
「…そうかなあ。」
「まあ、もう少しで止めるから。子供も10人まででいいわ。」
「あ、そうなんだ。…10人でも大概多いけどね。」
「いいじゃない。一杯欲しかったんだから。」
「まあ、そう言う約束だったし、いいけどね。好きなだけ産んでくれれば。」
「ええ。シャウトー。戻ってきなさーい。ご飯を抜くわよー。今日はヘルマンは持ってないわよー。」
「ニャーニャー。」
「プー。」
「持ってないのは本当だよ。今日は預かって無いからね。」
「プー。」
「ほら、ペフタンも行くわよ。子供たちは寝てるから、ゆっくり食べても問題無いわよ。」
エイミーがシャウトとペフタンを連れて帰って行った。さてと、僕も魔水作りを再開しますか。素材を錬金蒸留器に入れて、さてやりますか。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人作家の私も文章に反映できると思います。
…多分。




