145話 24歳 アラン才能に愛される、科学と精霊学、魔力とは何か、不老不死の可能性
まだまだ寒い時期が続きます。…空調の結界を張ってあるので家は丁度いい気候なんですが。2月の中頃ですよ。どうも、ヘルマンです。最近は蒸し料理ばかり食べております。蒸し料理も美味しいんだけど、研究熱心なのは分かったんだけど、普通のも食べたい。今日この頃です。
アランの訓練はまず第一段階を突破した感じですね。才能さんに愛してもらえたようです。存外早かったんじゃ無いでしょうか。1か月程で愛してもらえたんですもんね。冒険者の動向をみても大体2か月から3か月位で愛して貰えるようなので。
ハリー君も遅いと思っていたんですが、そうでも無さそうなんですよねえ。僕が焦り過ぎていただけの様です。…3か月は遅い方ですがね。朝晩2回やっての3か月ですからねえ。中々にひねくれさんだったと思うんですよ。
その分アランの才能は割と素直さん。…閃が見えないので何とも言えないんですがね。愛してもらえてからが苦労する才能もありそうな気がするので、早いことは決して悪いことではないが、良いことでも無いんだよねえ。
まあ、今のアランを見ているとそんな気難しい才能さんでは無さそう。3時間みっちりはまだ無理だが、2時間程度なら振れてるからなあ。…鞭の軌道ってどんなんだろう。剣閃しか見えないので、他の軌道に興味がありますよ。…聞いても解らなかったんだよねえ。口では説明が難しいようで。
現在は星の川を渡して、才能をブーストして振らせてるんですが、体がまだまだ付いて行くのでやっとって感じみたいですね。追いついて、追い越さないと技にはならんからねえ。まあまずは3時間みっちりと振れる様になってから。追いつけ追い越せは第三段階。
冒険者は第二段階で放り出しますからね。後は自分で何とかしてくださいよ。…第三段階は自分との戦いだからさ。実践で磨いた方がいいような気もするんですよ。振りたいところと才能が指してくれる場所が一致するためには経験が必要。そう思います。
僕の才能はその点も優しかったんだよなあ。割と自分の振りたいところと才能の指す場所が一致することが多かった。…ひねくれてなかったんだろうね。いい才能を貰ったとは思いますよ。…祈ってたのは錬金術の才能だけど。
しっかし、僕も凶悪な鞭を作ってしまったなあ。…アランの周りに誰も近寄れないんだよねえ。ただでさえリーチの長い鞭なのに、20~30㎝位の節を19個繋げたからなあ。周囲5mは近寄れない。痕も中々にえぐい痕が付いてるし、あれをさらに砥ぐんだよね。
首を削り落とすんでしょうか。…先だけ砥げばいいかなあとは思ってたんだけど、節全部を砥いだら凶悪な武器になりますね。…多分、持てなくなるので先だけでいいとは思います。中節も砥げるようにはしてるんだけど、アランはどうするだろうね?
…これをアリスにも渡すのか。合うかなあ? ビジュアル的に。見てくれは悪くは無いんだよね。…今こうして見ていると、凶悪だとは思いますが。短鞭だと戦うのに不向きだよなあ。テイマーでも戦えた方がいいだろうから、この鞭でいいか。
ラファエルは魔法使い志望なんだよなあ。武器は何を渡せばいいんだろう? 魔法使いっぽいといえば杖なんだけど、精霊樹の苗木の杖を作らせるか? …なんか違う気がするよなあ。まあ、魔術師学校に行かせる予定ですからね。そこで何かしら教えて貰うんじゃ無いでしょうか。
ギュンターはまだ決まってないようなんだよね。もう4歳になるんだから何か目標があってもいいとは思うんだけど、何に成りたいんだろうか。早く決めないと適当な才能に振られてしまうんだけどなあ。…世界に足りない才能に振られるから適当の意味が違ってくるが。
ミレーナはギュンターの1つ下なんだけど、もう何に成りたいか決まってるんですよね。…錬金術師に成りたいようです。後はテイマーにも成りたいそうです。…欲張りさんですね? 錬金術師とテイマーか。何をしたいか分かりますよねえ。
動物を沢山作りたいんですって。…造命派1択ですね。黎明派になれとは言いませんので。しかし、家の家系はテイマーに成りたい子が多いですね? エイミーのテイマーの才能に惹かれていっているんでしょうか。
いやまあ、子供たちの選択なので尊重はしますよ。…しかし、造命派かあ。金食い虫なんだよね、造命派。…7歳で放り出すことになりそうですね。各霊地を回りながら王都に向かっていく事になりそうです。僕と同じようになりそうですね。
支度金も考えてあげた方がいいんでしょうか。…1人だけ多いのもなあ。でも、錬金術って金食い虫なんだよねえ。特に金を食う造命派に成りたいみたいだし…。皆と同じにしましょうか。1人だけ贔屓するわけにもいかんだろうし。
後はシリルだが、…まあ、まだ1歳と数か月。一応2歳となってるが、まだその位だ。夢も何もまだまだですよ。アニーセは言わずもがな。何に成りたいと言い出すだろうなあ。選択肢は多い方がいいが才能は星が多い方が良いしな。何かと頑張ってくださいよ。
そんな訳で、アランの訓練を見つつ、他の冒険者を見つつ、才能さんのクールダウンを行っています。星の川製造機なんだよねえ。嫌だなあ。他の物も作りたいなあ。色々と作ってみたいものがあるんだよ。…昔は戦争になりそうとかで考え付いても作らないとか思ってたものも作っちゃうぞ。
だって、どうせ戦争に行くんですから。もう関係ない。通信だろうがなんだろうがやってやろうじゃないですか。…でもなあ、構想が降りてこないんだよなあ。いやまあ、送信機と受信機はなんとなくだけど、出来る気がするんですよ。…ちょっと高価になりますが、何とかなる気がします。
問題は個別の識別が出来そうに無い所。…じゃないと電話としては不便すぎる。通信混濁が起こって何が何だか解らない感じになると思います。番号で識別できるようにしようと構想中です。出来たら豊穣会に送って使ってもらう予定です。…距離の確認もしたいですから。
電話っぽいものが出来れば通信の革命が起こりますよ。…前世でいうところ、この世界は殆ど古代と変わらないみたいです。一部、現代と言われた時代より進化しているものもあるようですが、発展がかなり歪なようですし。
まあ、殆ど錬金術のせいなんですが。…一部は賢者、というよりその副産物の『エクステンドスペース』のせい。駄弁っていて分かったことがあるんですけど、錬金術師や賢者が出る前までは、トロッコの様な物があったらしいです。
錬金術師のせいで平らな道が引かれ、賢者のせいで『エクステンドスペース』とかいう物流の革命が起きたせいで、廃れてしまったようですが。まあ、解らんでもない。遠くまで大量の物を運ぶ工夫が吹っ飛んだ瞬間ですから。…動力は動物だったようですが。
才能という異物が入り込んだせいで、人類の進歩の仕方が幅跳びしたように進んだものから、こけて進まなくなったもの。吹き飛ばされて後退したものなんかがありますね。…これからも星10個の才能が出るたびに時代が飛んだり無かったことになったりするんでしょうね。
まあ、自分で考察したところに依ると、科学は当てになりません。精霊学の様なものが必要です。精霊とは何かを理解しない事にはこの世界を解明することは不可能だと前世の僕が言っています。…精霊ってなんなんだろうね?
…まあ、言ってしまえば、精霊とは意思のない微生物みたいなものではないかと前世の僕と僕が考察したところです。…意思はないと思うんですよ。根拠は無いですが、そんな気がしています。
精霊使いが使う魔法は精霊の機嫌に寄るというのは、実際のところその場にいる精霊の数によると考えたんですが、深く深く考えると精霊に意思がなく、特定の因子を持った微生物ではないかと行きついたわけです。
魔力の存在が体内に維持できる精霊の数が魔力の総量という考えに行きついて、精霊使いは魔力の消費無しに魔法を行使出来るのは体外の精霊が魔法を使っているんじゃないかと。魔法使いはその対応する属性の精霊が外に出て行っているのではないかと思ったわけです。
難しいことを言っている自信はありますが、人というのは魔力という微生物を体内に維持しているんじゃないかと思います。それが才能を介して、属性が与えられる。本来の属性とは違う属性を与えられたら体から出て行ってしまう。…そして、魔力が無くなったら死んでしまうんじゃないかと思うんですよ。
星の雫が魔力を増加させたように感じたのは、他の属性の魔力を使用したい属性に変換する効率が上がっただけなんじゃないかと考察したんです。でないと、普通の人でも魔力が増えないとおかしいですから。多分才能が、効率が上がったせいで魔力量が増えたと錯覚したのが正解なんではないかなと。
精霊使いについては外部魔力、自然界にある魔力を使っているから増えたとは思っても関係ないですし、魔術師も自然界の魔力を使っていれば関係ないですから。その辺は星の雫と才能の勘違いが起こす現象なのではないかと思ってます。
そうなると、自然界の魔力を使うこの2つの才能が威力が変わる原因が何かと考えたわけですね。魔術師は簡単ですね。魔法陣に使った素材、その属性魔力の量で威力が変わります。じゃあ精霊使いはどうなのか。
そうなると自然界の魔力を属性魔力に変換するのを精霊使いとするならば、精霊使いが魔法を発動できない状況があり得ないんですよ。精霊の機嫌が悪いと魔法が発動しないのが精霊使い。であれば、魔力も変換できない魔力があるんじゃないかと思ったんですよ。
それが魔力が微生物だと考察した理由です。原因は分かりませんが、特定の場所では特定の属性に変換できない魔力がいるのではないかと。例えば聖の属性です。この属性が6つの属性の何処かに紛れ込んでいるのではないかと思ったわけです。
…この事から解る様に、魔力とは6つの属性を持っているんだと思います。そして属性は実際には7属性あるわけですね。だから特定の場所に、1つの属性を持たないものばかりが集まっていれば、変換できないという事態に陥るわけです。
そして、6つの属性全てが使えない。つまりその6つの枠が全て聖の属性で満たされた空間では精霊使いが魔法を使えない理由が出来る訳です。だから体内に微生物を宿す魔法使いは魔法を使えて、精霊使いが魔法が使えないという事態がおこるんだと思います。
…じゃあ普通の魔石は何なのかと。どの属性にも属さないもの。これは6つ全ての因子がどの属性にも変換できる因子なのだと思います。だから、魔力の6因子にはこの無色の因子が一番多いんじゃないかと思っています。体内にあるのもこれが一番多いんじゃないかと。
…じゃあ不浄の魔石は何なのかと。それは6因子が聖属性の魔力を帯びた物なのではないかと思います。聖属性の魔法を使うと浄化されることから、聖属性の因子を引き出して、その魔力だけを消費することで、普通の魔石へと至る。これが正解なのではないかと。
じゃあ、不浄の魔石を使うとなぜ、アンデッドができたのか。それはこの聖属性が生きるために必要な魔力なんじゃないかと考えました。だから、不浄の魔石の聖属性が死体に足りない数が供給されて、不完全に復活、つまりアンデッド化を起こしたのではないかと思います。
…じゃあ死体を使った錬金術で、生きるものが出来上がるのは何故か。これが当たっているのかどうかは分かりませんが、聖以外の6つの属性が集まることで、疑似的に聖属性と同じ状態になるんじゃないかと思います。
だから錬金生物には寿命がない。体内に疑似聖属性が出来続ける様になっているから。無色の魔力が、各属性に振り分けられるという状態を続けるから。だから聖属性が無くならない。それが錬金生物なのではないかと思います。
…多分穴は沢山あるとは思いますが、僕が錬金術を通じて、魔法というものに触れて、魔力、精霊について考え付いたのはこんな感じです。多分ですが、錬金術では聖属性は扱えない。…恐らくですが、星振りの鐘とは、金を鐘の形にして、聖属性の魔力で満たされた属性金属だと思います。
…つまり、僕の考察では、星振りの鐘は生きているという事になります。多分、誰もやったことが無いとは思いますが、『エクステンドスペース』に入らないはずです。『エクステンドスペース』は賢者の産物。賢者でも聖属性は扱えない。
聖属性は『エクステンドスペース』に弾かれる理由はそれだと思うんです。…多少のは許容範囲なんだと思います。…死体にだって疑似聖属性があってもおかしくないですから。強い聖属性が駄目なんだと思います。
…こうなってくると、不老不死が出来てしまうんですよ。体内に聖属性、もしくは疑似聖属性を満たしてやれば、寿命が伸びると思います。恐らく、この人間の肉体というものは聖属性を消費し続けます。それは錬金生物も同じです。
錬金生物は餌さえあれば死なない。つまり、餌を疑似聖属性に変える力を持っているという訳ですね。…人間には聖属性に変換する機構はない。このことから考え付くに、一番不老不死に近いのは幻玄派だと思います。
幻獣は錬金生物と同じ特性を、摂取したものを疑似聖属性に出来る機構を持っていると思います。それを人間も獲得すれば、不老不死になると思います。…もしかしたら、不老は無理かもしれませんが、不死は獲得すると思います。
そして、一番遠いのが造命派ですね。自分を作るのは良いとしましょう。…しかし、それは自分とは違う錬金生物です。人間ですらない。…恐らく、星振りの鐘に人間と認知されないと思います。…認知されるなら、今回の星振りの儀で、ルクスに星が振られたはずだから。
幻獣と一緒、錬金生物と一緒の機構が何かと突き止めることが、僕の不老不死になるという答えです。…恐らくですが、長く生きるための薬は出来ると思います。疑似聖属性を摂取する薬を作れればいいだけですから。
錬金術でも聖属性は扱えない。それは不浄の魔石が生産できたことが証明とも言えます。失敗物の属性を抜いて無色に出来るものは6つ。7つ目である聖属性は抜けない。だから不浄の魔石になってしまう。ウーズ君の特性を分解すればこうだろうとは思います。
聖属性を取り込み続ければ、生き続けられる。この考察は間違っていないような気はしています。…しかし、これを公開して良いものなのか。戦争に行くから何でも作ってしまえと考える僕ですら、この考察を世に出していいものなのか分かりません。
しかし、実験はしないといけないでしょう。疑似聖属性を作れるかどうか。これの実験を。まずは、証明してみない事には話になりません。…恐らく、それが魔剣になると思います。生きた剣。生物としての剣。これを作ります。そのためには恐らくですが、刀身まで僕が作らないといけないと思います。
砥ぐのは鍛冶師でも出来るような気はします。でも、生きたまま形造るには全てを錬金術で作らないといけないような気がします。…そして、これは禁忌に触れる気がします。僕は魔剣を作っていいのだろうか。
…まあ、作るんですが。この世界がどうのとかいう心配はありません。全ては僕をこの世界に放り込んだ神様が悪い。もしこの考察が正解ならば、不老不死を体現してしまったならば、神様が修正するさ。僕は知らん。
どうせ、錬金生物なんてものも沢山作られているんだ。魔剣を作ったところで今さらだ。しかし、時間が無いんだよなあ。星の川製造機なんだよなあ。これを脱しないことにはどうしようもない。さて、才能のクールタイムがそろそろ終わりますね。今度は魔水を作らないと。
魔剣は作りますよ。…一体いつになることやらだが。金は無理だ。多分あれは聖属性と無属性しか付与できない。やるなら銀だ。さてさて、どうなることやらだ。…そして、魔剣を作り出したら、テイムできるんだろうか? …理論上は出来ると思うんだよなあ。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人作家の私も文章に反映できると思います。
…多分。