140話 23歳 アレル町は普通、第六感の導き
真夏、魔境が熱い季節。7月の4日です。どうも、ヘルマンです。昨日とりあえずスティナラニアのレイドを熟して来て今日は休みですね。星の川を作りましょうね。
ここの冒険者たちは良くも悪くも普通だ。燻っている人たちがいる訳でもなく、かといって質が極端に低い訳でもなく。種族は人間が一番多いのは他の所と変わることもない。他人種が多いという訳でもない。本当に普通だ。
スティナラニアのレイドに参加する人も100人前後、昨日は少し越えていたが、まあ居て欲しい数はいるって感じ。おかしな強さの人もいなかったし、連携が見張る物があるわけでもなく。丁度領都の規模が少し小さくなったかなって感じだ。
ルター町と同じような感じと言った方があってるかもしれないな。レイド慣れもそこそこだし。ルイジ町とロネ町はちょっと特殊だったのかなと思う感じだ。特殊な方がやってる方としては楽しいからいいんだけどね。
いやまあ、普通だとさ、話すことが無いんだよねえ。特に特出することはありませんでした。はいそうですか。とはいかんでしょ。いや別にいいんだけど、特殊なことに慣れてくるとさあ、何か特殊な事はないかと探してしまう訳でさあ。
普段はしない錬金術師のお店を回ったりしましたとも。時間があるし。…特出することは特になかったんだよなあ。いたって普通の錬金術師。いや、いいんだけどさ。呑まれてる人がいるとは思っていないし。
多かったのが黎明派だった位か。…いやだからなんなんだという話よな。そりゃまあそうでしょうよと言いたくなるよな。永明派がいるのはまあおかしくは無い。何処でも快命草は手に入るし。鉄迎派も居てもおかしくないじゃんね。
魔境の側なんだしさ。ソロで騎士爵取れるけどそれがって言っていた人が1人いただけだ。…興味が無いと要らないよね、騎士爵。ミズチもソロでやっているようだけど、申請はしていないんだってさ。お金に執着しなきゃそんなもんかな。多分平民。
幻玄派? いないよ? 造命派もいない。まあ、行商人に多いんだよね、造命派。だから錬金術ギルド所属が多い。後は東の辺境伯の所とかかな。酪農用の動物を作っているでしょ。魔境にいるよりも解る理由。
幽明派はなあ。ドラガリア平原の方に行っているだろう? 闇属性の魔境だよ? いかない訳ないよね。基本闇属性のあるところにいるのが幽明派。因みにセレロールス子爵領領都セロニアにいた錬金術師、マリアンネさん。彼女は幽明派。ヨルクの林が近くにあったし、だろうねって感じ。
黎明派はね。そもそも数が多いしね。…一番数が多いのは鉄迎派だけど。次に多いのは黎明派。そして一番少ないのが永明派。…意外かもしれないが、永明派が一番少ない。ただし、極まってる人が一番多いのも永明派。あそこは魔窟なんだ。
因みに派閥が多い順に鉄迎派、黎明派、造命派、幽明派、幻玄派、永明派だったりする。造命派と幽明派は殆どイコール。幻玄派は王都には少ないが、各霊地に散らばっているからなあ。村にいる率が高いのは幻玄派だな。
まあ、数が多くてもなんだって話だがな。しかし、鉄迎派で店をやってるのは珍しいな。大抵は騎士爵を取って冒険者ギルド務めとかが多いと聞いていたんだが。そして騎士爵に興味の無い鉄迎派も珍しいんじゃないかと思います。いやまあ、知らんのだけど。
そんな訳で、話すことが無くなってしまったぞ。…今何してるかって? 自由市をふらついていますよ。宿屋厳選ももう終わってるし、星の川も作ったし、クールタイムですよ。よく出来ても4回なんだから時間は有効に使わないと。
まあ、恒例のお土産探しですよ。…まあ、殆ど見つくしたとは思うんですが。だって暇なんだもん。殆ど毎日来ているよ? 入り口付近のおばちゃんと仲良くなっちゃったよ。入り口付近は食料品売りが多い。おばちゃんは野菜売りだった。
そんなおばちゃん情報を当てにしながら食料品売り場を歩いています。なんでも食料品以外を売る食料品屋があるというので、そっちに向かってる。食料品売り場の端っこですね。そこにいるらしい。…回ってくるんだって。情報が。
伝言ゲームのように回ってきた情報を頼りに歩いて行っているわけだが、食料品の所に何を売っているんだと思うんだが。まあ、珍しいものかもしれないし、行ってみていっているんですが。何かな何かな。
…本か? 皮紙が積んであるな。…品質は最低限の物だな。オークの皮紙か。まあいい問題は中身だ。
「失礼、この皮紙は読んでも良いものですか?」
「え? あ、はい。買ってくださると有り難いですけど。」
「とりあえず、読ませてもらっても?」
「どうぞ。」
ふむ、…ふむ。創作の歌か? 吟じれそうな感じだが。題材は霊地の冒険者のようだが…、歌には向かんな。掴みも無ければ盛り上がりの場所もない。…題材が悪いな。文章は上手いとは思うが。
「因みに才能は?」
「才能ですか? 歩きの才能に星2つと遠見の才能に星2つ、文章の才能に星2つ、第六感の才能に星2つ、料理の才能に星1つ、裁縫の才能に星1つです。」
「…因みになんでこれを書き始めたのかな?」
「第六感の才能が書けと言ったので…。3年ちょっと前から書き始めました。…売れないので、もうやめようかなとは思っていたんですが、続けた方がいいと第六感の才能が言うので。」
ふむ、これも運命でしょう。第六感の才能が僕と会うのに導いてくれたのかな。3年前と言えば僕が魔境を回り始めた頃ですから、多分僕に導いたんだろう。…勝手にそう解釈する。そうとしか思えないならそれでいいじゃん。
「因みに結婚はしていますか?」
「いえ、してません。家も一応持ってはいますが、殆ど帰ってません。野菜売りですし、代官屋敷に村の様子や変化を書き届けないといけないので。」
「分かりました。貴方の才能を僕が買いましょう。やって欲しいことがあるんです。野菜売りをしながらでもいいのでお願いできませんか?」
「はあ。何をすればいいんですか?」
「各町にある料理屋に立ち寄って、そこの名物と呼ばれている物を食べて、文章に書いてください。作り方や味、どんな調味料を使っているとか何の肉を使っているのかなんかをとにかく詳しく。」
「? はあ、まあ、別にいいですが、僕あんまりお金はありませんよ?」
「いえ、お金は僕が出します。小魔銀貨5枚を渡します。それでさっきの内容をとにかく詳しくお願いします。」
「小魔銀貨⁉ あのー、それ程期待は出来ないと思うんですけど。」
「価値はこちらで決めますので大丈夫です。ともかく、色んな町を巡って食べて、文章に残してくれればいいんです。それを領都の代官屋敷にヘルマン宛てで届けてください。」
「ヘルマンさん宛てでいいんですね? …分かりました。なんだか第六感の才能がやれと言っているので、やった方がいいんだと思います。」
「それは重畳。では頼みましたよ。…冬に領都に寄るようでしたら直接僕の店に来てください。場所は代官屋敷か錬金術ギルドで聞けば解りますので。」
「分かりました。とりあえず、話は引き受けます。…期待はあんまりしないで頂けると。」
「ええ、期待しないで待っていますので。それでは。」
「はい。また今度。」
とりあえず、第六感の才能が導いてくれた人に会いまして、食い倒れ紀行を書かせることに。…知らない料理があればいいなあ。フローラさんが知らない料理があればいいなあ。どんな文章を書いてくるでしょうか。今から楽しみですね。
「あら、いつもの人じゃない。どう? 会えた?」
「はい、会えました。とてもいい出会いでした。」
「そう? おばちゃんの第六感の才能があんたと知り合っておけって言ってたからね。上手く行ったんなら良いのさ。」
「そうですか。ありがとうございました。」
「いいよいいよ。第六感の才能には従っておいた方がいいんだから。良いことがあったんならそれでいいんだよ。」
…ところどころに第六感の才能さんがいるんですね。まあ、いいでしょう。とてもいい出会いでした。多分、冬にまた彼に会うでしょ。多分第六感の才能がそうするような気がする。…名前も聞いてないけれど、次会ったときに聞こう。
彼とはまた会うと思います。…僕には第六感の才能がありませんが、そう言う気がします。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。




