129話 21歳 ルイジ町の冒険者優秀ね、帰って来た我が家、ルクス小さくなるを覚える
涼しげな馬車旅を満喫しながらこんにちは。12月になりましたので帰っている真っ最中です。どうも、ヘルマンです。ルイジ町のレイドではお金をばら撒けて良かったですね。あの後もスティナラニアのレイドに120から130人くらいの人が集まって常に赤字という状態でした。
結構結構。赤字でいいんですよ。黒字の日が無いくらいには冒険者が積極的で、協力的でした。レイドの嗜み方としては領都よりも上だったんじゃないかな。それ程に、連携が取れていていいレイドだったと思います。
…それにしてもやはり、燻っていただけだったようですね。僕らが帰る時にはすでに騎士爵が15人程居ましたからね。7月にお金を溜めて星の川を買い、8月のレイドで慣らし運転をして9月にパーティーでミズチに挑む。そんな感じの組が3組あったってことですから。
いやあ、こんなに上手くいく町があるとは思ってもみませんでした。あの町は発展するな。領都程とまではいかないにしても、ルター町よりは大きくなる町だと思います。冒険者が協力的ってのがいいですよね。あの町のプラス要因です。
冒険者たちの空気が良いのか、冒険者ギルドが良いのか分かりませんが、伸びしろのある町ではあったでしょうね。これからはその伸びしろに色を塗る時間です。今回誕生した15人が上手いこと引っ張って行ってくれるでしょう。
今思えば、ケルピーのレイドでも死んでいるものは少なかったのかもしれません。相当数ボロボロでしたが、仲間内でかばい合い、生き残ったのかもしれませんね。最初からこの町のポテンシャルを甘く見積もっていた感じがあります。
そして何より、今回騎士爵になった者たちがケルピーのレイドを真似たのが一番の驚きでもありました。もうそこまで何をしに来たのか読まれてしまったのでしょうかね。僕らの予定に合わせる形にレイドを組んでいた辺り、解っている冒険者が多い。
僕らも今回の町は楽をさせて貰いました。…早く帰っても良かったんだが、一応最後まで居ようという訳で、最後まで居た感じです。まあ、今回誕生した騎士爵たちは解っているようでよしですね。…本当になんで騎士爵を取れなかったんだろうか。一組位居てもよいと思うほどにはいい町でしたから。
まあ、僕らの次にレイドをしに来るリュックさんたちも驚くでしょうね。もうケルピーのレイドが始まっているのかと。…もしかしたらあそこの町だと、スティナラニアのレイドも来年で起こすかもしれませんね。
錬金術師の店で11個の星の川の存在も聞いたことでしょうし、解っているあの冒険者たちなら間違いなく年明けに買うでしょうから。一度に4つのレイドが動くことになるかもしれませんね。もう領都なみのレイドがすぐそこにありそうですね。
領都はどうなっているんでしょうね。もう2年も領都の冒険者ギルドの募集掲示板を見てませんからね。…日々の仕事の張り紙と一緒の所だからさあ。底辺冒険者にとっては外れの依頼票が増えることになるんですから、邪魔ですわなあ。
これを機に文字の読み書きを覚えるといいんですよ。そうすれば仕事が見つけやすくなるし、そもそも霊地で稼げるようになるんですから。…一定数よりかは減らないんだろうな。冒険者広場にいる冒険者たちも。
今は魔境も霊地も熱いので稼ぎ時なんですがねえ。素材の価値が落ちなくなるのは上がるのと同義ですからねえ。一昔前は、僕が錬金蒸留器を作るまでは、落ちる危険性があったんですよね。今は絶対に落ちない。鉄迎派と造命派が解散しない限り落ちることはない。
まあ、元々闇属性の素材だけは落ちなかったのと、ポーションの材料となる素材だけはどんな事があろうとも暴落はしない。ポーションの材料が暴落するはずがない。王都で嫌という程消費してくれるんですから。
満月茸だって湯水のごとく溶かす人たちがいるんですよ? 暴落のしようが無いじゃないですか。闇属性も召喚を行うスパンが短くなるだけです。それか被害の規模が大きくなるか。…成功は勘定に入れてません。あれは成功する類の物ではないと思います。
そこに割って入ったのが造命派。魔石の質が、作り出す錬金生物の質になるんだから、まあ、素材が暴落するなんて事はあり得なくなったわけですね。ルクスを作って分かりましたけど、あの規模の錬金術を日頃行っていることでしょう。魔石を溜めては錬金生物を作り出しを繰り返しているでしょう。
…最悪、幻玄派も巻き込みませんかね。一部の幻獣は作り出せる様な気がするんですよ。タルタランドランの事です。カータンがどんどん大きくなって行くんですよね。タルタランドランは50㎝程、カータンは最初から30㎝程ありましたし、そんなに高い素材は使ってないんですよ。
なのにあの似方。タルタランドランが作れるんじゃないかと思っても不思議は無いと思うんですよね。ほぼ色違いですよ。素材を突き詰めれば行ける気がするんですよね。…でも作らないのが造命派。まず間違いなく、自分を作りに行くのが造命派。
自分を作って何になるのか。多分才能が振られていない自分が出来上がるだけだと思うんですよね。…それでいいなら出来る可能性があるとは思います。しかも錬金生物って寿命が確認されていないんですよね。人間種に似た何かが出来上がるわけですか。
多分、6歳になっても才能は振られないと思うんですよね。…他の動物が才能を振られてなければですが。人間種だけだと思うんですよね。才能が振られるのは。…『エクステンドスペース』は覚えさせれば人間種以外でも行ける気がしますが。
記憶なんかもリセットされてると思いますよ。幾ら自分に似た錬金生物が出来上がったとしても、それは他人であって、別の生物だと思います。種族も違うでしょうし、何というのがいいんでしょうかね。…まあ、間違っても僕は自分を作りませんが。
そんな訳で、冒険者広場を占拠している人たちもこれを機会に心を改めて、良き冒険者に成ればいいと思うんですよ。依頼票を取り合う冒険者ではなく、素材を取り合う冒険者になって欲しいんですよ。錬金術師としては是非とも更生して欲しい所です。
素材は幾らあっても困りません。たとえ錬金術ギルドに死蔵されていくだけであっても、価値は保存瓶のおかげで落ちないんですから。…いやまあ、厳密には落ちるんだったか? まあ、魔水にしてしまえば一緒のことです。魔石にしてしまえば一緒のことです。
一応そろそろ村から出てくる冒険者は祈りの力を受けて才能が振られた冒険者たちが出てくる頃合いなんですよね。町の冒険者も早い所はそろそろですよ。ちゃんと文字の読み書きを教えろと言っているはずですからね。
まあ、村長次第ではありますが、一応領都は問題なく祈りに来ているとのことだし。喜捨に行ったときに聞いたんだよね。子供たちが祈りに来ているかと。結果は上々で、かなりの数の子供たちが祈りに来ているようです。
祈りに来ない子供もいるでしょうよ。まだ何に成りたいかも決まってない子供が多いでしょうから。とりあえず祈るだけ祈る子供もいるでしょうし、何処まで効果があるのかは分かりません。僕の家ではアランとアリスがテイマーに成りたいそうなので祈るようには言ってます。
しかし、2人ともテイマーか。ルクスやカータンが身近に居たからかなあ。そのうち錬金術師に成りたいって子供も産まれてくれるといいんだけど。お店も継がせたいし。王都に行ったら帰ってくるか解らんけどね。僕みたいに違うところに行くかもしれないし。
それに今回も子供が増えてるような気がするんだよねえ。…いやまあ、そう言うことするんだから増えるのは仕方ないけどさ。順当にいっていれば生まれていることでしょうよ。もしかしたらまだ生まれてない可能性もあるけど、8か月の出張だからね。
さて、冒険者ギルドの前で3人と別れて自分の家へ。西通りも大分発展したよなあ。自由市の反対側ってあんまりお店が入ってなかったんだけど、結構食事処になってるし、宿もある様になった。宿暮らしの冒険者が増えたって事だろう? 良いことだよ。
1時間ちょい歩いて帰宅。店番は今日はサラか。
「ただいま。」
「おかえりなさいませ、旦那様。奥様がお待ちですよ。お子様も産まれておいでです。」
「判った。4階にいるよね? 直ぐに行くよ。」
やっぱり子供が増えてましたか。子沢山なのは悪いことではないですし、別にいいんですが。…家を長いこと空けてるからさあ。ラファエルとギュンターにパパと認識してもらっているかどうかって所じゃないかな。
「エイミーただいま。」
「おかえりなさい、貴方。今回も無事に産まれたわよ。女の子でミレーナって名前にしたわ。」
「ミレーナね。抱かせて抱かせて。―――…泣かないね。アランだけだったよね、泣いたの。」
「そうね。アランは泣いたわよね。…何でかしら?」
「さあ? それよりもさあ、ラファエルとギュンターにパパとして認識されてるか心配でさ。」
「ギュンターはまだ無理でしょ。ラファエルはどうかしらね。パパは? って聞かれることもあるけどね。お仕事よって伝えてあるわ。」
「ラファエルは今日は何処にいるの?」
「最近はヘザーの所が子供たちを集めてる部屋よ。ヘザーにも子供が産まれたからね。後はクレアの所よ。ミレーナも合わせて3人ね。皆女の子よ。」
「あら、他にも子供が産まれたんだね。…本格的に託児所だなあ。」
「託児所?」
「子供を預けるところ。家には一杯子供がいるでしょ?」
「半分は教会に行っているけどね。アランも読み書き計算は出来るけど、友達と遊びに毎日通っているわよ。」
「ちゃんと祈りなさいって言ってる?」
「アランにもアリスにも言ってるわ。2人ともテイマーに成りたいんでしょ? 錬金術師じゃなくて寂しくない?」
「…ちょっと寂しい。でも、そのうち成りたいって子も出てくるでしょ。」
「まあ、まだまだ子供が欲しいから、そのうち成りたい子も出てくるでしょ。」
「…まだまだ子供が欲しいんだね。」
「ええ、まだまだよ。何人産もうかしらね? 私3人兄弟だったからもっと欲しいのよね。」
「僕は5人だったよ。末っ子だったからなあ。弟や妹も欲しいとは思わなかったけど。」
その後もやいのやいのとエイミーと話をして、ラファエルとギュンターに会いに行った。…ラファエルにはちゃんとパパと認識されてました。良かった。本当に良かった。ギュンターはまだ1歳だからね。…ママとは言っていたが。パパだぞー。ちゃんと覚えるんだぞー。
まあ、暫くは時間もあるし、覚えて貰うぞ。ちゃんと積み石で遊んでいるようで何より。知育玩具は本当はもっとあった方がいいんだろうけど、思いつかないからな。布のボールなんかはあるだろ、これも作って貰ったんだよなあ。
子供の玩具ってびっくりするほど無いのね。自由市にも売ってないし。家にあるのは積み石が沢山だろ? ボールが沢山だろ? ガラガラや鈴みたいに音が鳴る物が少々と色々と作りましたとも。タンバリンもどきも頑張って作った。薄い皮を張ってさ。タンタンと音が鳴る様に頑張りましたとも。
タンバリンはエイミーに受けた。子供よりもハマった時期がありました。打楽器でタンバリンは見たこと無いんだって。そうなの? 似たようなものがありそうだけどね。まあ、僕の趣味みたいな感じで作ったからさ。玩具もいろいろあるんですよ。
暫くしてるとアラン、アリスとその一行が帰って来た。ルクスも一緒に。…あれ? ルクスちょっと小さくなってない?
「ルクス、ちょっと小さくなった?」
「ええ、小さくなることを覚えたわ。あれくらいが丁度いいのよ。あれより小さいと子供たちが乗ろうとするから。」
「…ああ、解る。乗りたい気持ちはよく解る。」
「でしょ? だからルクスもあれ以上小さくなろうとしないのよ。面倒見はいいんだけど、乗られるのは面倒だから嫌なんだって。」
「去年、乗せて新年祭に行かなかった?」
「ちょっと我慢してもらったわ。今年もちょっと我慢してもらうわよ。…アランはもう乗らないでしょうけど。一緒に行く条件でテイマーの才能を振られて、もう乗らない事って言われちゃったからね。」
「あらら、そうなんだ。…アランがルクスをテイムし直したらもう1匹作る?」
「いいわね。ルクスの弟か妹が出来る訳ね。…貴方次第だけど。2日徹夜しないといけないでしょ?」
「まあ、頑張るよ。その位ならさ。別の動物もいいけどね。誰かに取ってきて貰いたいところだね。自分で行くのはちょっとなあ。」
「あらそうなの? なら冒険者に依頼しなさいね。どんな魔物か知らないけど。」
「まあ、そのうちね。再来年辺りかなあ。」
「そう、楽しみに待ってるわ。ルクスと一緒で始めからお肉でいいなら楽だけど。」
「その辺は作ってみてからかなあ。まあ、何か考えておくよ。」
まあ、生き物を作るのは割と簡単な部類ですから。…繁殖可能にしないといけないとか、乳が取れる様にしないといけないとか、美味しいお肉になる様にしないといけないとか、条件さえ付けなければそれなりに出来るんだよね。
才能は反応しないけど、なんとなく、これを入れた方がいいような気がするってのはあるからさ。…しかし、ルクスを作った時は報告書を書かなかったからな。何と何を混ぜたっけな。まあ、うっすらと覚えているし、そのうち思い出せばいいから大丈夫大丈夫。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。