125話 20歳 出張からただいま、アラン、アリス、テイマーを目指す
ケルピーが出なくなりまして、魔境が落ち着きましたね。どうも、ヘルマンです。もう12月ですねえ。今日にも帰るんですが、冒険者ギルドからはまた散々と言われましたねえ。もう少し手加減しろと。加減を覚えろと。
まあ、毎回1000体以上の死体を持ち込めばまあ、文句の10や20も言いたいでしょう。甘んじて受け付けますが、加減はしませんでした。まあ、来年の人たちがどうするかまでは知らないですが、基本的に同じことをすると思いますよ。
後はテイマーギルドから応援が来ていましたね。ヒュージスライム、作ったみたいです。馬車にギリギリ乗るだろうかという程のスライムがいました。デカすぎるな。…まあ、それ程の処理能力を要求するだけ狩ったんですが。
いやー沢山狩りましたね。ケルピーのレイドは領都では飽和してましたからね。久しぶりに大暴れしましたよ。来年はまた別の町で行います。すでに夏の間に手紙は出しております。魔境の周りの町の冒険者ギルドに。後、テイマーギルドに。仕事が増えるよ。頑張ってくださいね。
さて、馬車で半日もしないままに帰ってきました。襲撃? 特筆することはありませんでしたよ。3回ほどありましたが、騎士爵ですよ? 余裕ですって。冒険者ギルドに報告だけして終了です。まあ、ゴブリンですし、魔境の側ですし、このくらいは常識の範囲内。何も問題ありませんでしたとも。そうして昼過ぎに漸くと自分の家に帰ってきました。
「ただいま。」
「おかえりなさいませ、旦那様。奥様がお待ちですよ。お子様も産まれておいでです。」
「あー、やっぱりか。4階だよね? そっちに行くよ。星の川は後で回収するから。」
「かしこまりました。」
4階に行ってエイミーに会いに行く。子供もそこにいるだろうし。
「ただいま。」
「ヘルマン、おかえり。子供が産まれたわよ。男の子でギュンターって名前にしたわ。」
「ギュンターね。今抱いてる子だよね。」
「そうよ。ほらギュンター、パパよ。」
「パパだぞー。」
特に反応は無いがとりあえず、抱かしてもらった。…泣かないな。良かった。今まで泣いたのはアランだけだったな。むしろ何でアランだけ泣いたんだ? まあいいか。
「無事に産まれたみたいで良かったよ。多分子供がいるんだろうなって心配してたから。」
「もう4人目よ? 慣れてるわよ。それよりも他にも子供が産まれてるからね。」
「他にも?」
ダイアナさんやメイド3人衆、フローラ料理長に子供が産まれたようだ。本当に保育園になって来たぞ。また沢山産まれたなあ。
「ああ、後クレアが結婚したわ。確か鍛冶見習いだったかしら。」
「クレア? 料理見習いのだね。結婚したんだ。」
「ええ、猛アタックされていたもの。何度目かでクレアが折れたみたいよ。」
「おお、その鍛冶見習いも頑張ったんだ。」
「ええ、しつこいぐらいに来ていたもの。…10回は来てたわよ?」
「なんでまたそんなにアタックしに来たんだろ? 普通は1回で諦めるんじゃないの? 僕はそうだったんだけど。」
「普通は何度か会うんじゃないの? 私もそろそろ決めないとなあって感じだったから1度で決めたけど、少なくとも2,3回は会うんじゃない? 私も詳しくは知らないけれど。」
へー、普通は何度か会うんだね。…門前払いが多すぎて再度会おうとは思わなかったんだよね。あの時はぼろを着てたからなあ。まあ、エイミーで良かったとは思います。それは本心で。
「貴方がいない間はそんな所かしらね。ああ、後冒険者ギルドとテイマーギルドから苦情が来てたわよ。何で早いとこ言っておかなかったんだって。特にテイマーギルドからは文句を言っといてくれって頼まれているわ。」
「あー、また後日謝りにいかないとなあ。後3年は少なくとも迷惑をかけるだろうからね。」
「ちゃんと方々に謝っておきなさいね。リチャードが対応してたから問題無いと思うけど。」
「リチャードならちゃんと説明してくれてるでしょ。…後3年かかることも。」
「まあ、テイマーギルドの職員からは仕事が多すぎますとの言葉を頂いたわ。他にも何か仕事を任せているの?」
「うーん、ハニードランの蜜の生産と、酪農くらいじゃない? あ、魚の養殖の監査と酒屋の監査もあったか。後はー、馬車用の動物の飼育に投資したくらいかな?」
「結構頼んでるじゃない。忙しそうにしているわよ。私もルクスの成長を報告に行くからテイマーギルドには偶に行くけど、前よりも忙しそうにしているもの。昔は結構暇してたのよ? テイマーギルドって。スライムを飼い始めたときからの付き合いの職員さんも酪農の方に駆り出されてるみたいだし。」
テイマーギルドもなあ。割と重要な仕事をしてるんだもんな。僕が知らなかっただけで。そういや魚の養殖もどうなっただろう。子供が産まれたのは確認したけど、その後の成長とかは知らんのよなあ。
それもまた今度確認だな。それよりも他の子供たちはどうしたんだろう。ギュンターしかいないんだけど?
「他の子たちはどうしてるの?」
「アランはルクスと一緒に教会に行ってるわよ。後、アリスは畑にいなかった? あの子はカータンがお気に入りだから一日中眺めているわよ? ラファエルは今日はサラの部屋ね。アリスはそこから出て多分畑にいると思うけど、今日はサラの部屋に子供たちを集めて面倒を見ているはずよ? 行く?」
「うん、行く。それにしてもサラの所に集まってるんだ?」
「毎日交代で面倒を見てるわよ。今日はサラの日。子供が多いから大変なのよねえ。」
「本当にね。来年からは文字を習いに教会に出す子供が増えるだろうけどさ。アランに頑張ってお兄ちゃんしてもらわないとね。」
「アランも最近はルクスと一緒にいる時間が減ってきているわよ。むしろ最近はルクスの方がアランと一緒に居たいみたいね。アランの事が心配なんだって。…ルクスはびっくりするくらい大きくなってるわよ。背中まで1mを越えてると思うから。」
「ラグーンウルフを素にしたからなあ。5m位まで大きくなるんじゃ無いかな。」
「ルクスも色々と悩んでるのよね。大きくなりたくないみたいだし、何かしらできる様になるでしょ。」
「…何かしらって何?」
「高位の従魔には大きさを変えれるのも居たんだって。昔の事だし、よく知らないんだけど、そう言う記録が残ってるって話だから。ルクスもそのうち小さくなることを覚えるんじゃない?」
「…そんなことが出来るんだ。不思議だね、従魔って。」
「ルクスは貴方が作ったんでしょ? 貴方が知らなくてどうするのよ。」
「いやー、錬金術師ってさ、作った物が何かわからないってことがたびたびあるからさ。」
「何でそんな才能なんだろうね? 作った物くらい分かればいいのに。」
「星10個なら解るかもしれないけどね。僕には無理なんだよ。」
そうなんだよね。作った物が何かよく解らない事が多いんだよね。結構不便してるんだよ。解析用の錬金アイテム出来ないかなあ。…難しそうな感じだよなあ。出来る気がしない。
それはともかくとして、サラの部屋にやってきた。…やってきたが、こんなに居たっけ? アリスはいないけど、ラファエルがいるだろ? 後はダイアナさん所が2人、ヘザーの所が2人、サラの所が2人、レベッカの所が2人、フローラさん所が2人か。11人か。ギュンターを入れて12人。
託児所だなあ。まあ、1歳と2歳の子たちはそれぞれに遊んでいるから問題は0歳児よな。1人泣くと皆泣くんだろうなあ。ベッドに皆横に並べて寝かされている。…違いは髪の毛の色くらいか? その位しか判別できない。
「ちょっとアリスの所に行ってくるよ。…こんな状態になってるなんて思っても見なかったけど。」
「もう慣れたわよ。アリスなら2階の畑だと思うから。」
「はーい。」
さて、アリスを探しにいこうかな。2階の畑にいるんだろ? …おーいたいた。僕がよく構想を練る椅子に座って畑を眺めてるな。…外に出してあるけど、誰かが出したんだろう。そしてよじ登ったのか乗せて貰ったのか知らんけど、大人しく座ってるな。
「あ、パパ!」
「パパだぞー。アリスは何を見てたのかな?」
「カータン! ドラン!」
「そうかそうか、カータンやドランを見てたか。」
「あのね、あのね。アリスね。大きくなったらね。テイマーなるの。」
「おーそうかそうか。テイマーか。いいじゃないの。ちゃんと教会で祈らないとね。テイマーになるんだもんね。」
「うん! テイマーなる!」
そうかそうか、アリスも僕と同じように目標を見つけたか。目標さえ見つかれば後は簡単だ。文字の読み書き計算を覚えるのと同時に毎日祈ればいいんだから。しかし、テイマーか。星の川も準備しておいてあげないとなあ。11個の奴でいいよな。…親ばかでもいいの。子供はかわいいんだから。
その後、アリスと一緒にカータンに遊んで貰って1日を過ごした。夕方になる頃にはアランも帰ってきましたよ。アランも僕を怖がらなくなったからなあ。良い傾向良い傾向。
…それよりもルクスよな。大きいなあ。そのうち小さくなることを覚えるようだが、本当か? まあ、出来なくても何かしら考えましょうね。何かしら…何が出来るだろうか。
アランも文字の読み書き計算はどのくらいできる様になったんだろうね? 僕は1か月で出来てしまったからな。…前世の知識ブーストがあったから僕はノーカン。まあエドヴィン兄辺りが1年位だったからそろそろじゃないかな。
お祈りはさせているんだけど、アランは何に成りたいんだろうか? 何の才能が欲しいんだろうか。
「パパ、僕はテイマーの才能が欲しいです。ルクスと一緒に魔境に行くんです。」
「そうかそうか。ルクスと一緒にね。ママにも言っておきなよ? ルクスはママの従魔だからね。」
「うん! わかった。ママにも言う。」
アランもテイマーか。…星の川1つ追加っと。将来は騎士爵かなあ。しかし、鞭か。鞭でいいのを作ってやらないといかんのか。…本格的に魔剣計画を練らないと不味いか? 鞭って基本皮なんだよね。
マウロさんは、スティナラニアの髭に鱗状の物、土属性の属性魔銀を縫いつけてあったんだよなあ。鱗鞭って言ってたか。縫い付けるのも属性魔銀を使うんだよ? 糸じゃなくて針金ね。流体金属みたいなものを作ればいい訳ね、了解了解。…出来るかなあ、そんなの。
鞭に使える金属。しなる金属か。短鞭で許して貰えませんかねえ。無難なのはスティナラニアの髭を使った鞭だよなあ。あー、鎖鞭がいけるか。才能が反応するかなあ。先を短剣の様にしてもらいましょうね。
いい鍛冶師を探してやらないと。鎖部分は作るけど、先だけは砥いで貰わないといけないもんね。…いや、まあ、僕がいつも頼んでいる鍛冶師でいいか。腕は確かだし、砥ぐだけだし。まあ、まだまだ先の話。しかし、2人ともテイマーか。…造命派じゃ無いんだけどなあ。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。




