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【書籍化】転生少年の錬金術師道  作者: ルケア
オーモンド伯爵領領都オルソン編
123/201

123話 20歳 スティナラニアのレイド、冒険者ギルドに文句を言われる

 スティナラニアが出現したルター町の夏、ケルピーのレイドが出来なくなりますね。どうも、ヘルマンです。ケルピーのレイドはかなりの堅調でした。人も200人程集まり、割と大きな規模で出来たと思います。始めこそ50人も集まらなかった。珍しいことをやっているなあくらいの感覚で参加してたやつらも居ただろう。しかし、羽振りのよくなった奴らがいることは確かなのだ。そんな羽振りの良い姿を見せられて冒険者が我慢できるか。出来ないよなあ。酒で軽くなった口からレイド内容を聞かされ、黙っていられるなら冒険者という職業をやっていない。割の良い話、死ななければ確実に儲かる話。普段のケルピーを狩るレイドでは無い、大儲けの話。そんな話を前にして、参加しないなんて選択肢は冒険者にはない。中には実力不足だと解りつつも、危険であると解りつつも、参加する星2つ以下の冒険者も居ただろう。僕らはそんな冒険者を排除したりはしない。死ぬのは自己責任。それは冒険者である以上変わらない。星3つ以上でも死ぬときは死ぬのである。負ければ死、それは魔境に潜っている限り同じなのだ。


 そんな訳で、多少の死人も出しながらのケルピーのレイドは無事に終了。そろそろ終わりの時期だというときには次はスティナラニアのレイドをすると触れ回りながらレイドを熟してきた。スティナラニアのレイドにはどれ程の数が集まるだろう。ケルピーと戦うことは周知した。後はどれだけの勇気あるものが残るかだけだ。蛮勇でも勇気は勇気だ。ケルピーと戦うことを選択した戦士だ。僕はそんな冒険者の勇気は尊重したい。たとえ負けて屍を晒そうとも、挑戦することには大きな選択の葛藤があったはずなのだ。ポーションの類は準備した。死ななければ治してやるくらいの意気込みで作ってきた。最上級ポーションも使う予定でいる。至高のポーションが必要になるような状況は殆ど無いと思っている。…多分死んでいると思うから。間に合えば使うつもりでいるが、間に合わんとは思います。


 さて、そんな勇気を見せてくれた勇士はおよそ100人。今回のレイドの参加者だ。星4つで募集したが、どれだけの奴らが守っていることか。今回のレイドは僕らの助けが無いからな。覚悟しておくように。さて、それではスティナラニアのレイドを開始しよう。


「さて、本日集まってくれた勇士たちにまずはお礼を。今日はレイドの要請を受けてくれてありがとう。ここからは真の実力のある者たちの戦いだ。ケルピーと戦うことに尻込みするやつはついてこなくていい。」


「さっさと話を進めろ!」


「覚悟は出来てるぞ!」


「逃げた奴らの事なんて心配してんじゃねえよ!」


「ここに居る者たちは覚悟ある者と認識しました。それでは、スティナラニアのレイドの簡単な説明をします。やることは簡単です。僕たち4人がスティナラニアと戦っている最中に参戦してきそうなケルピーやラグーンウルフを倒してもらいます。各パーティーで当たるもよし、このままの100人規模のレイドで当たるもよし。その辺りの判断は各々に任せます。とにかく僕らをスティナラニアとの戦闘に集中させてください。討伐したケルピーやラグーンウルフはこちらで回収します。その小銭に執着するような小さき者もついてこなくていい。僕たちはここの勇士に、スティナラニア1体に付き小魔金貨1枚を用意しています。小銭稼ぎがしたい奴は申し出ろ。置いていくから。」


 誰も何も言わない。小銭稼ぎがしたい冒険者は居ないと見ましょう。良き良き。ここには大望を胸に秘めた冒険者が多くいるという事ですね。では、出発しましょう。


「抜けるものは無し。これから全員で行くぞ! ついて来いよ。勝手に死ぬんじゃないぞ。お前らの大望は日の先にある。死地を越えろ。大金を掴むぞ! 全員出撃!」


「「「「「「おお!」」」」」」


 さてさて、気合の入った、士気の高い冒険者の集団が魔境をかけていく。先頭を走るのはマウロさん。ドワーフの彼の足に合わす感じだな。そして、その辺の雑魚を斬り飛ばすのは僕とルカさんの仕事。一応『エクステンドスペース』に回収はします。ゾンビになられても困りますので。ジュリオさんはまだ待機だ。彼には大仕事が残ってるからなあ。温存温存。


 そんな訳で、2時間走り続け、目的のスティナラニアが目の前に。何度も相手をしてきている相手ですから。油断は毛頭しませんが、余裕が無いという訳でもない。後の冒険者諸君には多少の動揺が走ったのが解るが、君らが戦うのはスティナラニアではないので安心してくれ。君らではまだ勝てない。…2年後には戦ってもらう予定ですがね。騎士爵となって。僕らの真似をして。さあ、戦闘が始まるぞ。


「各員戦闘準備。近くにいるケルピーやラグーンウルフを殲滅しろ。」


「「「「「「おお!」」」」」」


 もう慣れた、しかし緊張はする戦闘が開始された。まだ勝手が解っていないであろう冒険者たちだ。乱入がゼロという訳には行くまいて。さてさて、スティナラニアさんや、今年もよろしくお願いしますね。


 日暮れ、何人か欠けた冒険者たちと共に町に帰って来た。報酬はすでに支払い終えた。人数にして97人。スティナラニアの討伐数は4体。結構なばら撒きになったんではなかろうか。金はまだ使うなと釘を刺しております。10枚貯まったら錬金術師の所に行けとそう伝えています。そこで買うものがあるからと。今以上の力を手に入れることができる物があると。まあ、どれだけの冒険者が守るのかは知りませんが、このペースなら直ぐに買えるようになるでしょう。4体とは運が良かった。ミズチも7体程倒しているが、スティナラニアの前では小銭も同然だからな。さて、僕らは冒険者ギルドに行きましょうね。換金しないといけないですから。


 そんな訳で冒険者ギルドにやってきました。…忙しそうだなあ。まあ僕らが悪いんですが。多分解体が追いついていない。ケルピーは簡単なんだけど、ラグーンウルフは皮を剥ぐからな。解体の才能持ちでも多少の時間はかかる。…解体持ちがいないとこうなる。ここには居なかったんだろうなあ。…一日1000匹近くのラグーンウルフは処理しきれなかったか。…ゴミ捨て場もパンクしてないかなあ。まあそれはテイマーギルドの仕事だし。人員募集しないといけない事態になってそう。領都の冒険者ギルドもよくパンクしてるし、一緒一緒。冬にも仕事があるよ。やったね、職員さん。しかし、今からまた素材を追加するんだよなあ。僕らは冒険者ギルドの人たちからはどう思われてるんだろう。小部屋に行ってベルを鳴らす。


「買取お願いします。」


「またお前らか! 一度にいるのは丁度いい。いいか、頻度を落とせ。もう冒険者ギルドは仕事で一杯だ。これ以上、あの数を処理するのは無理だ。職員も大量に募集しているが、あの数を処理させるには経験が追いつかん。」


「あ、大丈夫です。10月になるまでは頻度が落ちますので。今回も数はそんなにいってないです。50あればいい感じです。」


「50! それでも多いが、今までと比べれば十分に常識的な数だ。…んで、ケルピーか? ラグーンウルフか?」


「メインはスティナラニアとミズチです。これから3日に一度はレイドをするのでよろしくお願いします。」


「ミズチ! スティナラニア! お前らは限度を覚えろ! 冒険者ギルドが破裂するぞ。」


「あー、そこは悪いんですが人を雇って何とかして欲しいです。領都はもっと酷いことになってますので。まだ常識的な数のはずです。」


「十分に非常識だ! 解体の才能持ちを探してるがいい奴が見つからねえし、職員の解体経験も無いしでめいっぱいなんだ。少しは手加減ってものを覚えてくれ。…領都に応援を要請したが、領都はこれよりも酷い有様なのか?」


「この5倍は処理してると思います。解体の才能を持っている人はいると思いますが。」


「マジかよ。それでお前らは追い出されてきた感じなのか?」


「いえ、広めに来ました。各町の騎士爵を増やしに来た感じです。」


「広めるんなら準備期間をくれ! …それで、どのくらいで騎士爵が増えそうなんだ?」


「…早くて2年後じゃないですかね?」


「2年後⁉ 早すぎるわ! なんで連絡を寄こさなかった!」


「いやー、錬金術師やなんかには連絡したんですが、冒険者ギルドにも連絡が必要だとは思ってみませんでしたので。」


「寄こせよ…。錬金術師に話が行ってるんならこっちにも寄こせよ。…過ぎたことだがよ。」


「諦めて新人を沢山雇って育ててください。まだ成人前の人たちが残っているでしょう?」


「増やすしかないか…。まあいい。裏に行くぞ。通路を通ってきてくれ。」


 冒険者ギルドにも通達が必要でしたか。…他の冒険者ギルドにも通達を出してもらった方が良さそうですね。少なくとも解体の才能持ちや肉の才能持ちを増やして貰っておかないと。…肉の才能って酷い才能だとは思わんか? ネーミングセンスが悪いよなあ。もうちょっと何とかなっただろ。…今出せと言われても出せないが。でも肉の才能、焼いたり肉料理にも働く才能だから割と便利なんだよ、武器も使える戦える才能だし。剣や斧を使えます。…肉の才能に関係あるのか知りませんが。一応星の川もあるんだよなあ。冒険者にも割といる。


 これさあ、冒険者ギルドがこれならテイマーギルドにも話を通した方がいいよなあ。ビッグスライムの数をそろえて貰わないと、今後もパンクするだろうし。テイマーギルドも忙しくなりそうですね。…領都のテイマーギルド、そのうちヒュージスライムを管理し始めるんじゃ無いかなあ。それとも家に来なかっただけで、他の所に作成依頼出したのかなあ。テイマーギルドにも大概迷惑をかけてますが、今後も迷惑をかけそうです。ごめんなさい。反省はしませんので。


 冒険者ギルドの裏で買取を終えて宿屋に帰る。…黒字かあ。赤字の予定だったんだがなあ。あんまり冒険者の数がいないのか? 予定していたよりも少なかったんだよね。まあ、1回目ですから様子見の冒険者もいるんでしょうけど。…毎度来て欲しいんだよね。早く星の川を買って欲しいんだよね。それでさっさと騎士爵になって欲しいんだよね。計画の内なんだから。…冒険者ギルドとテイマーギルドへの連絡はとちってましたが、まあ、順調の滑り出しなんじゃないですか? 3日に1回は変えないよ? ちゃんとやります。冒険者ギルドは本当に忙しいかもしれませんが、今が頑張り時だと思って頑張って欲しい。他の町には今日ここで連絡を書きますので。…南回りの方も書かないとね。あっちもパンクしてそうだなあ。


 ああ、宿はあれから転々としまして、他の宿に泊まっています。…料理が一番マシだった所ですね。…もうちょっと頑張りましょうね。これからは冒険者も金を持つから食にうるさい奴らも出てくると思うんですよ。僕みたいに静かなのは珍しいかもしれませんよ? まあ、その辺も何とかしたいなあ。食事だって、生きるには必要なんだから、必要あるところが楽しい方がいいよね。野菜も肉もたっぷりあるんだから研究しようよ。料理人も今が頑張りどころですよ。

面白かった面白くなかったどちらでも構いません。

評価の方を入れていただけると幸いです。

出来れば感想なんかで指摘もいただけると、

素人読み専の私も文章に反映できると思います。

…多分。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 無意識に良いことしてやってるんだから、後の処理はやっておけよ的な考えになっててある意味順調ですねヘルマンくん 事後報告でこんなことされたら管理する側としてはたまったものではないですよね […
[良い点] 更新をいつも楽しみにしています。 [気になる点] 肉の才能、『魚肉』も当てはまるのであれば魚料理にも対応するかが気になりますね。
[一言] きっと大罪に飲まれている存在に主人公の名をあげる酷い人が出てくるはず。
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