116話 19歳 冒険者道場始めました、マルク君帰還
ケルピーが魔境に出始めました。レイドを始めないといけないですね。どうも、ヘルマンです。道場計画は無事に進行しています。まだ孤児院の子供たちだけですが、バドランの木の下で訓練を受ける子供たちが沢山います。…すでに才能に愛された子供たちも出てきております。今預かっている冒険者志望の子供たちは25人なんですが、すでに3人才能に愛してもらえたようです。気絶する子たちばかりですが、それは仕方ないんで気にしておりません。むしろ才能に愛されて、さらに3時間みっちり振れる子供が居たら化物ですよ。体力お化けです。そんな子供が居なくて良かったのか。いれば確実に騎士爵を狙えるようになりますからね。多分星1つでもそんな化物は星4つの星の川を持ってミズチ戦に臨めるでしょう。まあ、そんな戦いに愛された、月に惹かれた子はいなかったですね。
冒険者にはレイドの始めに告知する予定です。…ケルピーレイドは星3つで募集してますからね。その冒険者は対象…でもありますが、それ以上に来て欲しいのは星3つの人のパーティーメンバーです。多分星1つか2つの人が多いでしょうからね。パーティー全員が星3つ以上というのは珍しいはずです。そんな訳で、星の低い者たちに訓練に来てもらう予定です。そして、ケルピーレイドにゆくゆくはスティナラニアのレイドに来て欲しいですね。ちゃんと才能に愛されていれば星5つが5人でも勝てなくは無いんですよね。まあ、星6つや7つも混じるでしょうからそのいつものパーティーで騎士爵になってくれればいいですよね。そうすればいつものパーティーでスティナラニアのレイドを起こせるようになるんですから。冒険者諸君にはどんどんと道場に参加してほしいですね。
僕がレイドでお休みの時も広場は使ってもいいと孤児たちに言ってあるので、他の冒険者も監督者なしに使うでしょう。…8区画分しか無いからあんまり人が入らないけど、しょうがないよね。まあ、才能に愛して貰えて、3時間振れる体力が付けばどんどん追い出していくのでまあ、間に合うんじゃないでしょうか。冒険者諸君、頑張って才能に愛されましょうね。そうすればケルピーくらいなら狩れるようになりますからね。まあ、道場の現状はそんな感じ。
魚の養殖は無事にテイマーギルドの監査が入ったようです。そして、テイマーの方からちゃんと卵を産むとの確認が取れました。どんどん増えてくれるといいなあ。魚料理も流行らせたいよね。特に鍋とかは合うと思うんだ。身は白身で、結構油が乗ってるんだよね。子供がどうなるかは解らんけれど、多分大丈夫でしょう。無事に増えるといいなあ。ついでに酒屋にも監査が入ったが、まあ、何も悪いことはしていないからね。むしろお墨付きを貰えたんだから良しとしましょうね。…風呂屋にはネバネバは使っていないから問題無いよな。
そしてその時に蝶蜜が乳児にも問題なく食べられるという事を聞いた。…なんでそんなことが判ったのかだが、孤児で実験したんだってさ。下手をしたら死者が出るかもしれんことをよくやったなと思ったよ。教会側にお願いして実験に協力してもらったそうだ。それでないとハニードランを増やそうとはしないと言われてしまった。毒になる物を販売できないってさ。…まあ、そう言われたらその通りなんだが。まあ、そう言う汚れ仕事も細々としたギルドの仕事だからだってさ。責任とかを被ってくれるんだもん。有り難いよね。うちの子には蝶蜜はまだ食べさせませんが。甘味なんてまだ早い。子供の内から食べさせるのはあんまりなあ。
後は子供たちでしょうか。ハイハイを始めた子供がお互いにぶつかって泣いたり、元気にはい回っております。アリスは少し産まれるのが遅かったんだが、ハイハイしてるんだよなあ。そろそろ離乳食の時期かなあ。まあ、その辺は料理の才能持ちの料理人たちにお任せなんだが。アランは好き嫌いはしなかったんだけど、アリスはどうだろうか。美味しく調理されるから食べるとは思うけどね。メイドさんの子供たちも兄弟のように育ててますが、大きくなったらどうなるんでしょうか。…そもそも子育てはエイミーに完全に投げてるからなあ。僕は遊び相手をするくらい。前世の僕もそうだったみたいで、何をしていいか解らんのよね。
子供の面倒を見て居るといえばルクスなんだが、…急激に大きくなって来ていないか? 作った時の倍ほどになってる気がするんだよね。気のせいな訳ないよなあ。30㎝くらいの子犬が60㎝程になってるんだから、気付かなかったわけじゃないんだよ。でも日々大きくなっていっているから、大きくなっていっている実感が無かっただけで。この成長が正常なのかどうかが分かりません。でも、ハイハイで遠くに行こうとする子供らを咥えて一か所に集めてくれるのは大変有り難いです。エイミーたちもお茶を飲みながらメイド組とお話しながら子供たちを見て居るし、問題は起きていないのでよし。ルクスはどんどんと賢くなって行っている気がするが、何処まで成長するんだろうね? ルクスの成長もテイマーギルドに報告に行っているんだろうか? エイミーも偶にお出かけしているから、多分その時に報告してくれているんだろう。
後はリチャードの嫁さん、ダイアナさんが妊娠してた。エイミーは結構前に知っていたんだって。僕は知りませんでした。この夏ごろに産まれるだろうとのことです。…同居人の話なんだがなあ。まったく気づきませんでした。お腹が大きくなって来ないと解らないって。そもそも、まだ仕事に行ってるんだもん。そろそろ止めない? お腹が大きいんだから休みにしようよ。代官屋敷まで結構歩くんだよ? 本当に大丈夫なんだろうか。…エイミーももう妊娠してるんじゃないかなあ。黙ってるけど、そんな気がします。まあ、それもそのうち解るでしょ。3人目なんだから大丈夫、大丈夫。子供って平均どのくらい産むんだろうね? ダイアナさんは4人目だけど、どうなんだろう。農家の僕は5人兄弟だったんだけど、それが多かったのか少なかったのか平均なのか知らないんだよねえ。子だくさんが良いというエイミーは何人欲しいんだろうね? まあ、貯えはあるので何人でも構いませんが。
そんな訳で、午前中の稽古が終わって、錬金術の時間ですよ。…もっぱら星の川のストックを作っているんですが。レイドの頻度は落とすよ。10日に1回もすれば十分。他の騎士爵もレイドするからね。1日に2レイド行く時もあるくらいだからさ。張り紙で日程が被ってる奴もあったからね。半分に別れるだろうさ。冒険者もガンガンと稼いでくれたまえよ。
そんな訳で、星の川作り。スティナラニアの水晶鱗を魔石に替えて星の川に加工する。30分と2,3時間錬金術が出来なくなるが、ある程度のストックを抱えているから店が止まることは無い。…そもそもそんなに客が来るわけでも無いし。来ても大抵中級ポーションを買いに来る客だ。ストックは各メイド、執事組に200本は渡してあるからさ。足りなくなることなんて滅多にない。買うと言っても10本くらいが多いからね。そんな訳で、星の川作りをやっております。とりあえず、30分は店に出れないが問題あるまい。
そんな訳で30分後、畑を眺めております。星の川は無事に作り終えました。もう少ししたら午後の戦闘訓練を始めるかあ。本当に鉄迎派みたいな生活をしているなあ。黎明派なんだがなあ。
「旦那様、お客様です。」
「はいはーい。今行くよ。」
珍しく呼ばれましたね、誰でしょうか。…おお、マルク君か久しぶりだなあ。…誰か覚えがないとな? 腕を千切られた少年ですよ。ゲシュケ高原に満月茸を20本採取に行かせたあの少年です。
「久しぶりだね、マルク君。さて、満月茸は20本用意出来ましたか?」
「はい、これで間違いないと思うんですけど…。」
「どれどれ…―――うん、問題無いよ。ちゃんと綺麗な水の中に入っているし。問題なしだよ。…他にも採取したと思うけど、売ってみた?」
「はい、他の素材は行商人の方に売りまして、生活費にしていました。…採取って儲かるんですね。知りませんでした。」
「そうだよ? 文字の読み書きが出来る冒険者は魔境で稼ぐ人たちもいるけど、戦えない人たちは採取で食っていけるんだよ。月光茸の採取だけでも普通に生活できるくらいには、稼げるからね。さてと、満月茸の採取の報酬としては中魔金貨9枚だよ。ちょっと治療や稽古やで多めに代金を引いたけど、まあ、これからの事を考えたら誤差だから。」
「中魔金貨9枚も貰えるんですか⁉ 満月茸ってそんなに高いんですか⁉」
「行商人に売って小魔金貨5枚。錬金術ギルドに売って小魔金貨8枚って所かな。他の錬金術師に売っても小魔金貨5枚で買い取ってくれるよ。冒険者でも大抵の町の税金も払えるくらいの収入だよ。」
「はえー。文字の読み書きが出来るだけでこんなに世界が変わるなんて思っても見ませんでした。」
「そうでしょうそうでしょう。文字の読み書きは必須技能なんですよ。そしてところで、まだ魔境で戦う気持ちは残ってますか?」
「え? …はい、やっぱり吟遊詩人の冒険者に憧れがありまして。採取でも十分だと思うんですけど、やっぱり魔境で活躍したいです。」
「そんなマルク君にこれを売ろうと思うんだ。中魔金貨7枚もするんだけど、必ず役に立つものだから。騎士爵だって狙えるよ。嘘だと思って買ってみるかい?」
「そんな都合のいいものがあるんですか?」
「あるんだよ。剣士の才能だったでしょ? 剣士の才能のはこれだから、まずは代金を出す前に持ってみればいいさ。」
「? ――!? 何ですかこれ!? 星が振られたときと同じ感覚がありましたよ!? しかも11個振られた感じがしました!」
「そう、それが錬金アイテム、星の川だよ。高いけど、持っていれば吟遊詩人に謳われるような冒険者になれるアイテムだ。それを買わせるために満月茸を20本集めて貰ったんだから。ポーションの値段だけなら1本もあれば十分だったからね。買うかい?」
「買います! これは凄いものですね。」
「毎度あり。そうなんだよ。凄いものなんだよ。…この夏に騎士爵を狙うパーティーが幾つか募集していたはずだよ。冒険者ギルドか魔術師ギルドに行ってごらんよ。パーティーでミズチに挑む人たちが今年は沢山居るからね。星が9つと4つなら十分に受け入れて貰えるよ。でも注意としては、ケルピーのレイドに参加しておくこと。才能の慣らしが必要だろうからね。ラグーンウルフやケルピーから逃げるだけだけど、才能の差を感じると思うからまずは才能に慣れないとね。」
「分かりました。」
「後は冒険者ギルドでここの魔境の本を読んでおくといいよ。採取物なんかもあるし、採取もちゃんとしてほしいからね。」
「そうなんですか。分かりました。」
「それじゃあ、マルク君のお使いはこれで終了だよ。後は騎士爵になって、貴族の義務を全うしてくれ。レイドを起こすことも、貴族の義務みたいなもんだから。」
「? 騎士爵にはそんな義務があるんですか?」
「いや? 明文化はされてないよ。でも、毎年大魔金貨5枚を貰うからね。それを使ってお金を冒険者に撒くのが仕事みたいなもんかな。ケルピーのレイドを受けて相場を確認しておくことと、スティナラニアのレイドにも参加してみると良いよ。何をしているかが解ると思うから。解らなかったら何回も参加してみれば良いよ。そのうちそういう事かなって解るから。」
「分かりました。…とりあえず先にパーティー探しをしてみます。騎士爵に、貴族になれるんですよね?」
「1代限りだけどね。詳しいことは代官屋敷で聞いてみるといいよ。」
「はい、ありがとうございました。」
「まあ、ここに連れてこられた縁ってものだよ。…元のパーティーメンバーはどうしてるか知らないけどね。」
「ありがとうございました。後揃えた方が良いものはありますか?」
「後? そうだな…ピッタリ長靴は必要かな。これを履いた方がいい。値段はさっきまでに余分に貰っているからこれは只で良いよ。よっぽど足が小さいと駄目だけど、大丈夫そうだし、持って行きなよ。他はポーションとかだけど、それは冒険者ギルドでも揃うから。」
「じゃあ、有り難く貰います。ありがとうございました。」
「はいはい、またね。」
マルク君のお使いの旅は無事終了。基本助けた冒険者にはこうするつもりでいる。…まあ、あんなのが何度もあっても堪ったもんじゃ無いんだけど。再起不能になる冒険者って偶にいるからなあ。まあ生きていれば治るから。そう言う薬もあるからさ。満月茸20本採取してもらえれば僕だってお礼を言いたいくらいだし。不謹慎だけど、数年に1組くらいなら来てもらっても良いですよ。皆まとめてゲシュケ高原に送り出しますから。…パーティーメンバーの方もなあ。何でもするから助けてくれとか言われてたら、一緒に面倒を見るつもりだったんだけどねえ。まさか置いていくとは思わんじゃんね。あれは衝撃的でしたね。まあ、騎士爵候補を1人確保ですよ。…他の魔境にやった方が良かったのか? ここの領都だけ騎士爵が増えすぎるのもなあ。今度からはそうするか。コックス大湖の周りには後7つも町があるんだし、そっちに送ろう。
さて、良い時間だし、午前中の訓練の疲労も少しは抜けただろう。訓練を再開しましょうね。午前中よりは早く倒れるだろうけど、まあしょうがなし。そう言う訓練だし。ささ、とっとと訓練を始めましょうか。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。




