115話 19歳 テイマーギルドにお邪魔します、テイマーギルドって何やってるの?
雪がチラつき畑が白くなりましたよ。2月の中頃くらいですかね。どうも、ヘルマンです。騎士爵諸君もちゃんと解っているようで、11個の星の川を買いに来ていました。うむうむ、君らもスティナラニアのレイドを起こすんだよ。年に5回くらいは起こしてください。1人1回大赤字を出すぐらいの頻度でいいので。星4つ以上でもいいですし。何でもいいのでどんどんレイドをしてくださいね。…僕らが騎士爵になる前にいた騎士爵の人たちは来ないんですよねえ。歳なんだろうか? それとも他の錬金術師のところで買ったんだろうか。まあ解らんけど、今後は後輩が一杯増えるのでどうぞよろしくお願いしますね。
魚の養殖もまだ進展なしです。錬金生物ですし、気長に行きましょう。…そういやハニードランを作った時にはテイマーギルドに行ったけど、魚の時はテイマーギルドに行ってないな。名前も魚で統一しちゃってたから魚って呼んでるけど、名前を付けないかんのか? その辺はよく解っていない。造命派の領分だしなあ。種族登録みたいなのはあるんだろうか? 豊穣会に報告書も出してないし、…報告書は卵を産んで、子供が出来てからでも遅くは無いですね。忘れそうですが。まあ、その辺は臨機応変に行きましょう。
テイマーギルドで思ったんだけどさ。テイマーって基本何やってんの? 純粋な疑問なんだけど。畜産関係の方に何かしらあるんだろうか。ゴミ用スライムの管理だけが仕事な訳無いだろう? 行商人として各地を回ってゴミの管理をやってるのかもしれんけど、それ以外の仕事が思いつかない。そもそも、テイマーギルドって必要なのかって話になってくるんですよ。ハニードランの時に一応届け出に行ったけどさ、何をやっているギルドなんだろう。ついでに聞いてくるか。
そんな訳でやってきましたテイマーギルド。あんまり縁の無かった場所ですが。何回かは来たことがあるんですよねえ。でも駄弁りに来たことはない。殆ど暇だろう冒険者ギルドに行っていたからな。この際、テイマーの事についても勉強しましょうね。
「こんにちは。」
「はい、いらっしゃいませ。テイマーギルドにどのようなご用件でしょうか?」
「魚の飼育を始めて産業にしようと思っているので、一応報告に来たんですが、報告要りますよね?」
「畜産みたいにするって事ですよね? それだと報告があった方がいいですね。…ヘルマンさんですよね?」
「…ええ、そうですが?」
「支部長にお話ししてもらってもいいですか? 流石に下っ端の私では荷が重すぎるので。」
「解りました。このまま行けばいいんですか?」
「ええ、案内しますので。」
何でか知りませんが支部長の所に通されるようです。何でだ? 何かした覚えは無いんだが。…ハニードランの件か? それ以外に心当たりが無いんだが?
「支部長、ヘルマンさんが何か新しい事をするようでしたので、連れてきました。」
「ご苦労さん。ヘルマン、座ってくれ。」
「では、失礼しまして。」
「一応このテイマーギルドの支部長をやっているアントニオ=オーモンドだ。ここの領主とお前さんがよく知るケビン兄の弟だ。よろしく頼むわ。…んで、新しいことってなんだ?」
「いえまあ、魚の養殖を始めまして、その報告に来た感じです。あ、魚は錬金生物です。」
「あー、お前さんは色んなところに色んな変化を持ってくるって言っていたが、こっちにまで手を出してきたか。魚の養殖ってのは畜産なんかと同じと考えていいんだな?」
「ええ、大体その認識で大丈夫です。…子供が産まれれば成功なんですが、まだわからないんですよ。」
「…もうある程度、事業を動かしてんのか?」
「人も雇って動かしてます。」
「…先に報告が欲しかったところだがなあ。ハニードランの様に先に話が欲しかったところだな。んで、この町の何処でそんなもんをやってるんだ?」
「町の北西の所ですね。住宅地の中に精霊樹が立ってるので解りやすいと思いますよ。」
「…町の中でやってんのか。規模はどのくらいになりそうなんだ?」
「規模は解らないですね。どのくらいで子供が産まれてどのくらいで大きく育つのか解りませんし。とりあえず、6区画分の生簀に入れて育ててます。」
「まだ手探りって所か。…一応、ギルドから監査を入れるからな。これはどの畜産農家も行っている調査だ。受けてくれるな?」
「それはもちろんです。やましい所も無い訳ですし。」
「解った、近々監査の職員を送る。まあ、それで問題無ければいい。」
「テイマーの方には子供が出来るとか分かりますか?」
「お前、嫁がテイマーだろうが。まあ、出来る奴と出来ない奴がいる。出来る奴、星の多い奴だな、そいつを送るから後で確認しといてくれ。雇っている奴に報告しておくように言っておく。」
「分かりました。…それで、ちょっと聞きたいことがありまして。」
「なんだ?」
「テイマーギルドって基本何をしているところなんですか?」
「お前、嫁がテイマーだろうが…。…まあいい。基本はゴミの処理の管理だ。これは流石に知っているだろう? スライムの管理をやっているのがテイマーギルドの仕事の1つだ。後は各村々のゴミ処理状況の監督だな。ゴミが溢れそうならテイマーを寄こしてゴミを処理させる。大抵はビッグスライムを5日ほど動かせれば村のゴミくらいなら処理してくれる。…しすぎても他のスライムの食事が無くなるから加減はさせる。これもテイマーの立派な仕事だ。後は乗合馬車の動物の管理だ。あれらも錬金生物だったりまちまちだがなあ。その体調管理なんかをやっている。…それに6割くらいの乗合馬車がテイマーギルドの職員だ。動物の声が聞こえるんだからまあ、妥当な線だろ? それに畜産や酪農なんかの動物を扱う仕事の管理だ。お前さんの魚の養殖もここに入るからな。何か悪いことをしてない限りは問題ない。餌に盗難物なんかを使っているとかそんなんが無ければ特に問題はない。ハニードランの採取物の件もここに入る。その内産業化させたいんだがなあ…。後は普通にテイマーのテイム魔物の管理だ。スライムだけの奴が多いが、お前さんとこの様にハニードランや小狼を飼うやつも居るからな。冒険者のテイマーのようにその場でテイムして戦闘させるような奴は放置だが、町に連れてくる分には管理している。ここの魔境だと、少ないが冒険者でウォーターウルフのテイマーがいるぞ? まあ、あと細々とした事もあるが、メインはそんなところだ。」
「色々知らないことが聞けて良かったです。…家のルクスはエイミーが報告に来ていたんですか?」
「ああ? 知らなかったのか? 2徹しないといけないくらいに危険な魔物かもしれんのだぞ? 流石に管理するに決まっている。その辺はお前の嫁さんに詳しく聞いたから安心しろ。長男を連れてここに来てたぞ。」
「知りませんでした…。…何か生物を作った場合は報告しないといけないんですね。…あ、ネバネバは大丈夫ですか? 結構な量いるんですが。」
「ネバネバも一応管理対象だが、トイレに使っているくらいだろう? それなら問題ねえよ。」
「いえ、今動かしてる酒屋にもネバネバがいます。あそこで作っている酒はネバネバで作ってますから。」
「あの酒屋の異常な量の酒の供給元はお前のせいか! あそこの酒屋の様に似たような事を始めようとして頓挫している奴が結構いるんだぞ?」
「…知りませんでした。とりあえず、酒屋に結構な量のネバネバがいます。…数は僕が管理していないので知りませんが、店長は把握してるはずです。」
「…まあいい。そっちにも監査を行かせる。…他にはないな?」
「…無かったと思います。」
「…なんで自信がなさそうなんだ?」
「町に来てから色々しましたから、記憶漏れがないか心配で。」
「…お前、まだ町に来てから5年も経ってないだろ? 何で記憶が危ういぐらいに色々してんだよ。まあ、酒屋には世話になってるからよお、文句はねえが。」
「多分問題ないはずですよ。…酪農にも力を入れたいんですが、土地の確保と牛の確保は可能ですか?」
「まだ何かすんのか? まあ、酪農に出資するってんなら出来ないこともない。領主にも話は通さにゃならんが、出来んことは無いぞ。金さえあればだがな。」
「お金は出すので、酪農をもっとすすめてくれませんかね? 牛乳が欲しいんですよ。…錬金生物ですか?」
「…金を出すってんならいいけどよ。昔の錬金生物だぞ? 錬金術師が作ったもんだから心配すんな。仕入れから何から金さえあれば何とかなるんだ。その辺はテイマーギルドに任せて貰っていい。」
「幾らくらい必要ですか? 大魔金貨500枚くらい出せますが。」
「お前は戦争でもするつもりか? 10枚もあれば十分の十分だ。それくらいで請け負ってやる。だが、安定供給まで3年から5年はかかるからな。まずは増やさねえとならんのだからな。」
「その辺は仕方ないと思ってますので大丈夫です。」
「それに出資するんならハニードランの方にも出資してくれ。後280匹くらい作ってくれれば産業になるからよお。中金貨1枚じゃあ高いんだよ。大銀貨2枚くらいまで下げたい。だから出資するならそっちも頼むわ。」
「利益度外視ですね。…まあ、いいですよ。レシピは錬金術ギルドにも渡すので、ギルドで作って貰ってください。…利益は回収しないんですね。」
「利益を気にしないための貴族の出資だからな。そっちも10枚もあれば十分だ。場所は錬金術ギルドの裏の快命草畑でいいんだからな。」
「300匹も飛ぶようになるんですね。…1人でどのくらいテイム出来るんですか?」
「事実上上限は無いと研究結果が出ている。ただし、最大魔力量が削られてくみたいだな。テイマーの魔法使いがそう報告していたはずだ。」
「魔力量ががっつりと減るんですか?」
「いや、殆ど削れないらしい。実験では10万匹のスライムをテイムして3割程削られたと報告があった。…50万は無理じゃないかと思って一応テイムしてみたが出来たそうだ。最大で9割削られたらしいがそれ以上は削られなかった。ただし、感覚共有なんかに制限がかかったそうだ。まあ、そんだけテイムして大丈夫なら上限は無いんだろうって話になったみたいだな。多分あるんだろうが、限界まで行くやつの方が珍しいだろう。無いのと同じだよ。こんな研究に100年も掛けたらしいぜ。バカみたいだよな。」
「人間なら死んでるんですが…」
「やったのはエルフだったからな。というか錬金術師の研究だぞ? 造命派だったか。そこの研究だ。」
「スライムの時点ででしょうねって感じです。50万匹も作るなんて狂気の沙汰ですが。」
「呑まれてる奴らの研究は狂気の沙汰なもんだよ。まあ、お前も大概だとは思うがな。」
「まあ、生き急いでるとは言われましたからね。多分これからも変わりませんけど。」
「忙しい奴だな。これからもたびたび来るのか?」
「さあ、その辺は構想が降りてき次第ですかね。」
「まあ、テイマーギルドとしても仕事が増える方がいいからよお。仕事を増やしてくれるなら大歓迎だ。出資もどんどんとしてくれ。」
「分かりました。何かありましたらまたよろしくお願いします。」
「おう、期待せずに待ってるぜ。」
そんな訳で、テイマーギルドの見学会兼報告は終了。色々と知らないことも聞けたなあ。エイミーがちょくちょく来ていたのにはちょっと驚いたけど、そんなこともしてたんだね。知りませんでした。まあ、全て話せとは言いませんのでいいんですが。僕も話せることしか話していませんし。…前世の記憶のこととかね。まあ、秘密はそれぞれありますよ。さて、帰って何をしましょうかね。ああ、錬金術ギルドに出すハニードランの報告書を書かないといけませんね。帰って書きますか。構想を考えながらゆっくりと帰りましょ。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。




