103話 18歳 新年祭、エイミーとアランと一緒にお出かけ、ハリー君は冒険者志望
冒険者広場からおはようございます。今日は新年祭ですよ。どうも、ヘルマンです。今日はお店も屋敷もお休み、皆に給金を払って自由行動にしています。ああ、あれから孤児院にも行きましてね、執事見習いとメイド見習いを合計で3人雇いました。彼らも頑張ってくれると思いますが、適度に抜いてくださいね。孤児院組もエイミーの友達3人衆によって大分休むようになってくれました。畑を偶に散歩している光景を見かける様になりました。そうそう、働きづめも良くないからね。
という訳で今日はお休みだからさ、エイミーとアランと3人で新年祭に来ているが、アランはこの人混みが苦手な模様。エイミーに顔を埋めて周りを見ようとしません。…まだ人混みはちょっと怖いのかな、それとも寒いのかな。あったか布で包んでいるんだけどね。アランはかわいいなあ。
今日の僕たちはガヤじゃなくてリチャード家族の星振りの儀を見守る要員です。リチャードの長男のハリー君が今日で7歳ですからね。教会の中でスタンバイしています。…これ町のを見るたびに思うんだけどさ、よく子供たちは親を見つけるよね。一応円形に空いているとはいえ、全員が見える位置にいる訳でもないのに。村なら解るよ? そんなに人は居ないからさ。でもこの領都だと2000人くらい子供がいるんだよ? なんでわかるんだろう。親が見つけて寄っていくのもあるんだろうか。家に帰って会う子供もいそうだよなあ。その辺は不思議な所なんだよなあ。
まあ、正午まではまだ時間はあるし、早速屋台周りに行きましょうね。今年も沢山屋台があるなあ。主力は肉串だけどね。後酒ね。酒屋も今年作ったばっかりなのにちゃっかりと3店も確保してまあ。店長本当に敏腕ね。屋台も盛況で何よりです。エイミーもお酒を飲みながらアランを抱いている。…落とさないでよ? 後はおつまみの屋台が多いな。甘味も欲しいんだけどなあ。高いんだよなあ。
冒険者もお酒を飲んでいるな。…よくレイドで見る顔なんだよ。名前も知らない知り合いが沢山増えましたよ。2年もやっているからね。よく見る顔はなんとなくだけど覚えている。髪の毛に特徴があったり、顔に特徴があったりしている奴らだけだけど。流石に普通の顔の奴らは見分けが付かない。見たことあるような気がするだけで、あってないことも多そう。まあ今年もレイドするから参加してね。人が多い方が良いからね。金をばら撒くという意味で。今日みたいにガンガンとお金を消費してください。
さて、色々と回ったけど、そろそろかな。…アランは結局エイミーから離れなかったな。特に興味を示したものも無かった。大人しい子になるんだろうか? 子供は解らんからな。僕の時はどうだったんだろうね? 活動し始めたのが2歳くらいだったけど、早かった自信はある。なんせ前世の記憶持ちだからな。役に立ったかは微妙なところだけど。まあ、アランはこれからだろうな。まだまだ赤ん坊だから。…平民基準だと今日で1歳なんだよなあ。まだハイハイすらしていないのに。6歳で才能が振られて、その時から7歳って感覚だからな。誕生日があれば祝うんだけど、正確な日付は確認していないし、別に良いんだけどさ。
さて、歩いていたら鐘がゴーンゴーンとなり始めた。…10回鳴り終わり、教会から子供たちが出てくる。この中にハリー君もいるんだろうけど、リチャードたちはちゃんと合流できたんだろうか。まあ僕は振られた才能を聞いてみましょう。この広場にいるガヤの人たちはそれを肴に酒を飲む人たちだからな。
2時間程聞いていたが、アランがぐずって来たので帰ってきました。何か良い才能を貰った子供のパトロンに成ろうかなとは思っていたんだけど、これといった声が聞こえてこなかったからなあ。リチャードたちも見つからなかったし、後は帰ってきてから聞けばいいよね。
夕方になると他の遊びに行っていた見習いたちも帰って来た。楽しんできたかな? 元孤児院組が心配なんだよなあ。ちゃんと遊んだか? お金を使ってきたか? …まあ、あんまり心配してもしょうがないか。リチャードは…帰って来たようだな。
「ヘルマン様、ただいま帰りました。」
「おかえり、リチャード。ハリー君は良い才能を貰ったかい?」
「剣使いに星を7つと算術に星を2つ、裁縫に星を1つ貰ったようです。本人は冒険者になりたいと申しております。」
「そっか。この家を出すのはいつになる?」
「本人からは13歳になるときに出ていきたいとのことです。それまでは鍛錬に当てる様に言い渡しました。」
「鍛錬ね。剣は買ってあげるの?」
「はい。鉄の剣を明日にでも買いに行こうと思っております。」
「解った。明日はサイモンに任せて休んでいいからしっかりと選ばせるように。…才能に選んでもらうのが一番だけど、それは本人次第かな。」
「何でも両手剣を使いたいとの事でしたので、ヘルマン様とはスタイルが違いますね。」
「僕は片手剣でも細剣を使うからね。両手剣か、まあ稽古はつけるから心配しなくてもいいよ。」
「ありがとうございます。…どのような武器でも教えられるんですか?」
「まあ、基礎だけはね。鉄迎派で散々やったことだから。それ以上は無理だよ。技の領域には本人がたどり着かないといけないし、その辺はハリー君の努力次第かな。」
「ハリーには伝えておきます。」
「うん。下がっていいよ。」
そうか、剣使いの才能か。星7つなら騎士爵も狙えるな。その辺もしっかりと教えないといけないけれど、まずはパーティーを見つけないとね。何回も組んで別れてするだろうし、僕のレイドにも参加するだろうから直ぐに騎士爵を取りそうだけどね。中々に良い才能を貰ったんじゃないかな。…算術は生きるかもしれないけれど、裁縫は死に才能だな。まあこんなもんだよね。明日は僕も用事があるし、お店の方も任せることになるけれど、この時期に来る客は少ないからね。来ても中級ポーションくらいだろうし、ピッタリ長靴も在庫は用意してある。金額も伝えているし、問題なしなし。
そんな訳で次の日、代官屋敷の方にやってきました。貴族年金を貰いに来ましたよ。…あれ? 金額が多い。なんでなんだ? 貴族年金は大魔金貨5枚だろ? 20枚近くあるんだけれど?
「ヘルマン様、手紙も届いております。」
「ありがとうございます。」
手紙か。どれどれ、…ああ、そういう事か。造命派から礼金が出たのか。大魔金貨50枚出たから25枚が追加で入っているのか。30枚もあったのか。内容はー…えー小魔銀貨でも安いの? 元とるのに大分時間がかかると思うから適正価格だと思ったんだけどな。…ルクスは一体幾らになるんだろうか。怖すぎて報告書が書けないな。出すつもりは無いけど。ルクスは公開するつもりはない。…結界の件は書いていないな。まだ手紙が届いていないんだろうな。届いてたら何か書いてあるだろうし。また何かあったら報告書を書いてくれとあるし、何かあればまた報告書を出しましょうね。ケリーさんが喜んでいたと書いてある。…ケリーさんは極度の甘党なんだろうか。それともテイマーの才能でも持っていたのか。どうなんだろうね。
さてと、代官屋敷の用事はこれでお終い。次は錬金術ギルドに行きましょうね。今年のノルマを提出しないとね。…初級ポーションは2000本で変わりなかったけれど、上級ポーションは200本にノルマが増えてました。これは僕のせいだな。自分のしたことの結果が自分に降りかかって来ただけだが。まあ、いいけどね。上級ポーションも一杯作ってあるからそれくらい余裕余裕。他の錬金術師の方々にはごめんなさい。今年も沢山消費する予定です。錬金術ギルドの職員さんにもごめんなさい。一杯作ってください。
さてと、明日は料理人の為にまた代官屋敷に来ないといけないな。今日にまとめようかとも思ったんだけど、時間がかかりそうだったからさ、明日で良いかなってね。場所を下見して来いと料理人たちには現地を見せに行ってるし、今日1日潰れると思うんだ。店の場所選びは重要だからね。宿の近くにするか。あえて他の店屋の隣にするか。色々とあるだろう。何処に決めるかはその料理人次第だ。料理店は相場は大体区画4つ分。空いているかどうかや形をどうするかも決めないといけないからね。…場所代は僕が払いますから別に広くても良いんですが、どう判断するでしょうか。楽しみですね。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。