102話 17歳 道場計画…頓挫するよなあ、今年を振り返りましょう
新年祭が近づいてきましたね。12月の中頃だと思います。どうも、ヘルマンです。空調の結界を張っておいて良かったですよ。冬なのに寒くありませんからね。精霊樹を使うことを思いついた僕、グッジョブですね。まあ冬でもやることに変わりは無いんですが。…いや、魔境にいかないから大分違うな。今の時期は夏場に宿泊レイドに参加している人たちが活発に動く時期です。コッコドリッロまでしか出ませんからね。…採取を主にする冒険者も今が稼ぎ時です。奥まで行っても危ないのはコッコドリッロまでですから。僕としては採取をする冒険者には増えて欲しいものです。何気に錬金蒸留器を作ったせいで? おかげで? 素材をどんだけ採っても暴落するような事は起こり得ない様になりましたからね。品質の良い魔石はそれだけでも価値あるものですが、錬金術師にとってもとても価値あるものですからね。…主に鉄迎派にと注釈が付きますが。後造命派にもですね。他の派閥は…あんまりですかねえ。黎明派は魔石は数という派閥ですからね。最低品質でも良いんです。数さえあれば。質が良いことに越したことはありませんが、建物を固めるのに最高品質の魔石を使うのも勿体ないですし。結界の核にしても維持費がかかることには変わりませんからね。魔石は数。質より量。
しかし、ルクスのような2徹もするような魔物を作るには魔石の質も上げないといけないので、造命派もそれはそれは活性化しているでしょうね。自分を作る人たちが出るでしょうからね。…腕を切り飛ばす狂気の錬金術師が大量発生していないと良いですけどね。ショック死したりしないだろうな。僕は切り飛ばす想像をするだけでもぞっとするので絶対にやりませんが。…それに自分を作っても無意味な気がするんだよなあ。記憶がそのまま行ってもさ、才能が移らなければそれまでじゃん? 要は才能の有無な気がするんだよ。才能までは移らない気はしますよ。才能が移らないなら自分を作るというサイクルが狂うだけですので、意味がないと思っています。
そうなると不老不死に一番近いのはと聞かれると鉄迎派なんだよなあ。カール=ヴィレックさんが凄すぎるんだがね。人間で142歳だっけ? そんなに生きるのかよって思うもんな。…それに鉄迎派の人間は総じて長生きなのがまた拍車をかけているんだよね。100歳間近の人が多いこと。流石にもう戦えない人や腰が曲がっている人も沢山いるよ? でも一部の人たちは元気なんだよね。レイドに参加している人間には98歳という年齢の人もいるって話だしなあ。僕の居たときの話だから、もう100歳か。まだ生きているのかな、そして戦っているのかな。疑問は尽きないが、不老不死に一番近いのは、本当に鉄迎派なんだよ。…錬金術師ってなんなんだとは思うけどさ。
永明派は薬の目途も立っていないし、幻玄派は自由だし、黎明派のは健康寿命だし、幽明派はそもそも不死であって不老不死ではない。なんで錬金術師なのか解らない派閥が一番不老不死に近いんなら不老不死はそもそも錬金術師が目指すものでは無いんでないか? そう思う訳なんだが、魔法使いや魔術師が不老不死を目指しているなんて話は聞かない訳で。他には学校が無いので解らないが、王城には研究者たちが集まっているんだろう? そこでも不老不死の事について話し合っているんだろうか? どっちかって言えば彼らは才能の方に考察を伸ばしている気がするんだよね。そのうち他にも学校が立ってもいいと思うんだ。…具体的に言えと言われても難しいが。
しかし、才能を伸ばすというのは有りな気がしないでもない。鉄迎派が戦闘訓練を付けていたじゃん? あれをさ冒険者でもやれないかな? 道場とか作ってさ。やれる気はするんだけど、誰に任せようって話になるんだよね。道場の師範って仕事は成り立つのか? 収入が大分限られるよなあ。普通の平民以下の給料にしかならんと思うんですよ。まあほぼほぼボランティアでしょうね。自分は魔境に潜りながら戦闘訓練をつける…鉄迎派のやってることそのままですが、そうすれば冒険者の底上げも出来るとは思うんですよ。…師範をする物好きが居ないだけで。それに通わないと思うんだよね、冒険者が。文字の読み書きが出来る奴は魔境に見切りをつけているだろうし、魔境で文字の読み書きできる奴らはそれなりに食っていけてる。問題になるのが文字の読み書きができない、かつ弱い冒険者なんだよなあ。そんなターゲットマーケティングが上手くいくはずがない。只でも来ない。そんな気がしますね。
道場計画は頓挫する未来しか見えないので諦めましょうね。僕も師範なんてやりたくないし。ていうか出来ない。出来るのは英雄の才能を持つ人たちだと思うんですよ。英雄の才能はどんな武器にも適性があるんですよね。何でも装備できます。まさしく英雄って感じですよね。経験があれば英雄の才能でなくても良いんでしょうが、如何せん経験が足りない。…英雄の才能の時点で鉄迎派に入るのを間違えている、というよりも何で錬金術師を選んだってなるんだけどさ。でも割と優秀な冒険者になりたければ鉄迎派が一番合っているような不思議。錬金術師は何処に行った。
むう、今回も考察が霧散していきましたね。道場計画は考え始めは悪くないと思ったんだがなあ。客足のことを考えると絶対に成り立たないと思う訳で。…一定数来るとは思うんだよ、食っていける奴がだけど。食っていけないような下っ端をどうにかしたいのにね、底上げじゃなくて底からさらに幅を広げて何になるんだって話よな。…騎士爵は増えるかもしれないが、それなら才能がある奴を待った方が現実味がある。もう一回考えても駄目か。道場案は破棄しましょうね。
あー、子供たちが冒険者になりたいって言った場合は稽古をつけましょうか。まあ、それも才能を貰ってからですね。子供たちには餞別として星の川をあげても良いですし。どうせ騎士爵になるだろうけど。…家も引き継ぎたいから錬金術師で戦闘の才能を貰う子が出ませんかね? まあ、出てから考えましょう。直近でいうとリチャードの子供が今年星振りの儀なんですよね。教会に日参させてますが、何になりたいんでしょうか。錬金術師ならどうしましょうね? 餞別をあげた方が良いんでしょうか。…餞別って何になるんだろう? 素材か? それなら自分で取れば良いんだし。何をあげた方が良いんだろう。…鉄の短剣にするか。採取には必要だし、僕もジュディさんから貰ったものだし。うん、採取の必要がある職業なら鉄の短剣をあげましょう。それがいい。他は思いつきません。潰しが利くし、皆鉄の短剣で良いんじゃないかな。
そろそろ星振りの儀、新年祭ですね。もうそんな時期なんですよね。早いなあ。もう少し前に前の新年祭だったような気がしますね。今年は何をやりましたか? 去年末にリチャードを雇ったんでしたよね。他の執事、メイドたちも一緒に。そしてハニードランを作ったんでしたか。その時辺りに今の料理長、フローラさんを雇ったんでしたっけ? 後はレイドをしてましたか。冒険者にピッタリ長靴を広め始めたのもこの頃くらいでしたっけ? もう少し後だったかな? 今年はついにスティナラニアを討伐しましたね。何体ほど倒したんでしょうか? 一杯狩りました。ミズチもついでに一杯狩りました。ケルピーとラグーンウルフはもっと狩りましたね。それでルクスを作った次の日にアランが産まれたと。そんで結界の維持に精霊樹が使えるんじゃないかと実験して今に至ると言った感じでしょうか。少々抜けがあったり前後してたりするでしょうがこんな所でしょう。ああ、髪洗液の宣伝にもいきましたね。…広めて良かったのだろうか、未だに知らないけど。計画では平民にも広げるって言ってたし、大丈夫大丈夫。…言ったのは僕だけでしたっけ? まあ良いじゃないですか。ある程度流行ってしまいましたし。元は取れる取れる。
…こう振り返るとあんまりイベントが無かったんですね。忙しくしていたのはそうですが、思ったよりも色々してないんだなあ。あ、酒屋も作ったな。…でもそんだけだもんな。人によっては多いとも思うかもしれないが、錬金学術院の時と比べればまだまだ何か出来たんじゃないかとは思う訳で。あの時は月に1回は何か発表していたもんな。実験をやるのも仕事みたいな感じだったし。料理も作っていたしね。料理は前世の僕が食べたいものはあるんだけど、作り方が解らないものが多すぎて作れないんだよなあ。まあ、その分料理長に研究してもらっているけれど。美味しいものもあれば、若干微妙なものも作ってくるからな。微妙って言っても美味いのは美味いんだ。才能さんが仕事してるからさ。でもこれじゃない感がするものもあるわけで。
後はこの新年祭後から4人の料理人に店をさせるんだったな。中々に個性が尖ったと思うんですよね。一芸を伸ばせと言った関係か本当に一芸に秀でた人材になった。1人は鍋料理特化になった。この寒い時期には鍋にはお世話になるからな。それに夏場に辛い鍋なんてのもいい。なんで鍋に特化したのかは不明だが、一芸特化型を作るのには成功した。また1人は丼もの特化になった。丼もの良いよね。オークかつ丼が一番だったかな。…ソースも形は出来たんじゃないかな。手間と時間がかかることと、僕の作るネバネバが必須なだけで。まあ、店に必要だってなら作って渡しますが。米もなあ、炊くってことは余りしてなかったんだよね。粥にしていることが多かったからこれから炊いたものが流行ってくれると良いなと思う。また1人は揚げ物特化になった。お酒が進みそうだなと思います。唐揚げなんかは2度揚げという事を教えたりした。食い専だって知っていることはあるからな。色々と揚げることを覚えて貰ったよ。野菜だって揚げると美味しくなるものだってあるんだよ。最後の1人は麺特化になった。こいつが一番色々作る。前世にも無いようなソースを作ったりしていたからな。前世に無い野菜も沢山あるからその分ソースも増えるってもんだ。…でも青いソースは美味しくなさそうな色だったんだよ。何を使ったのか知らんけど、真っ青なんだ。…意外と酸味があって美味しかったんだが、青は食欲が失せる。
まあ、僕も落ち着いたんじゃないかな。激流を起こしていた時期はもう過ぎて凪の領域に入ったんではなかろうか? …今年の活動が凪なのかどうかは評価する人に因るんだろうが。とりあえず、結界のことに関しては報告書はしっかりと書いて豊穣会に送ってある。…多分新たな発見では無いとは思うんだが一応ね? 維持費を払っているわけが無いと思うからな。他の方法なのか僕と同じ方法かは解らないからとりあえず報告書は書いた。そのうちお手紙が来るだろう。ハニードランの方はもう届いているだろうけど、どうだっただろうね。この前王都から手紙が来ていないか代官屋敷に尋ねたんだよね。報告書を提出するついでに。まだ来ていないとのことだったので、この新年祭が終わったら年金を取りに行くからその時にまた聞いてみよう。
今年はぼちぼちでした。…これがぼちぼちなのかは議論の余地はあるとは思いますが、僕はぼちぼちだと思いました。来年もしっかりと活動したいです。主に錬金術の方向で。構想が降りてきてくれないかなあ。何でもいいんだ。何でもいいから構想をください。神様よろしくお願いします。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。




