ヒーローにならないと
「ガアアアアッ!!」
レクスが傷を負いながら戦うが…良い状況ではない。
(痛い……怖い……もう嫌だ……)
――暴力を振るわれるのは辛い。なのに、どうしてこの世から暴力はなくならないのだろう?――
――それは暴力を振るうことが楽しいからだ。生物には暴力を楽しむコードがある――
――他の生物を殺し壊し、食らう。空腹を満たし、生存を勝ち取る。原始的な自己肯定の快楽がある――
――それを否定するというのは、人間性の否定だよ――
(それじゃあ、獣と変わらない!)
――でも、ほら、目の前にいるのは――
「ジャアアアアア!!」
――獣以上の獣だ――
「グゥ……」
レクスはまだ踏み出せない。
――まだ素直になる気はないのか?無駄に頑固だね――
(お前はいったいなんなんだ!?)
――僕は僕だよ。僕が押し殺してきた僕。このまま押し殺し続けたら、自分で自分を殺しちゃうよ?――
(お前は僕じゃない……僕は……)
「カーレ・ザングリア!!」
「ジャアアア!!」
「くっ!この程度で!!負けたり!!しないんだから!!」
「ソウル充填!!術式展開!!いっけええええ!!」
「ジャアアア!!」
リアが危ない…この魔物に人が立ち向かうのは…リアが優秀だとしても危険すぎる。
(リア!どうして、体が動かないんだよ!!)
――その傷で動こうってのが無理な話だよ――
「きゃあっ!」
――僕には不可能を可能にする力がある――
(このままじゃあ……リネアが……)
――だって僕はヒーローだからね――
「ジャアアアア!!!」
「ガッ!!」
レクスが赤いセルタントの腹を爪で貫いた。
「グルアアアアア!!ジャアアアア!!」
「レクス……?」
「グルアアアアアア!!」
「……倒したの?レクス……が?」
「ジャアアアアアアアアア!!」




