記者として
いろいろあって、今、レクスは冒険家をしながらバルト島で記者の真似事なんかをしている。
「それで、その……インタビュー記事を、作ってきたんですが……」
「老舗の菓子屋で、その、こだわりの多い人で……内容、どうでしょうか?」
「……私は嫌いじゃないわよ。ただ、まあ、ちょっとインパクトがね……こんなこと言いたくないけど、フリーでやってくなら、特ダネと鮮度が命よ」
「……がんばります」
(もう何度もボツばかり。取材した菓子屋のおじさんにも記事にならないって謝らないといけない)
(どうしたら、ー端のジャーナリストになれるんだろう……)
「おい、ソイマ!」
「ソギ、なんですか?」
「帰らずの島の噂、知ってるか?」
「なんですか、それ」
「帝国領にナハト島って小さな島があるんだ」
「その島に入った人間が、帰ってその島に入った人間が、帰ってこない。そんな話がある」
「オカルトなら雑誌でやってくださいよ」
「それがオカルトじゃない。足を踏み入れた人間は、その島の住人になっちまう」
「そいつを連れ戻しに行った奴まで、気づけば、その島に住みついてる」
「…たしかに変な話ですね」
「取材に行った記者まで、仕事ほっぽって、ナハト島民になっちまった」
「なあ、暇な記者いねーか?」
「みんな忙しいですよ。それに、噂どおり住みつかれたら困るじゃないですか」
「ソギが自分でやってください」
「俺だって忙し……おい、レクスじゃないか!」
「はい」
「お前さん、暇なら行ってくんねーか?お前さん、暇なら行ってくんねーか?旅費はこっちで出すからよ」
「レクス、断ってもいいわよ」
「……いえ、やらせてください」
「おお、行ってくれるか!いい記事待ってるぞ!!」
「はい!」
(これは、きっと冴えない僕の人生に訪れた大チャンスだ。記者として、ー線を越えてみせる!)
レクスは取材するためにナハト島に行くことになった。




