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変身
とある少年が街で歩いている。どうやら何か酷いことをされた後のようだ。
(はあ、ひどい目にあった……ゴミ箱に閉じ込めるだけじゃなく、虫までいれてくるなんてね。おや?ずいぶん高そうな本が落ちてるけど……)
ギャングが少年に絡んできた。
「なるほど、てめえの仕業か……俺たちの獲物を横取りとは、いい度胸じゃねえか」
「いや、拾ったんですけど……?」
「ゴミみたいな言い訳だな。じゃあ、くたばりやがれ!」
「うわぁー!!」
少年の姿が人型のカブトムシの魔物へと変わっていった。
「な――何だっ!?」
「仕方ないなぁ…ええっと気をつけますから。……痛くないように」
「ジャアアアア!」
「な、なんだ……こいつは……くはっ」
「ジャアアア!!」
(はあ……この力も、たまには役にたつ……かな、できたら一生、頼りたくはないんだけれど……あ、人が来そうだ……さっさと退散しなきゃね)
少年は変身を解き走って去っていった。