クロスロードの譲歩
(魔術銃で最大限の火力を叩き込んだ。普通なら跡形もなく消えるはずだが……)
「ジャア……」
レクスはあの攻撃を受けながら生き生きとしている。
(セルタント化の術式さえ、維持されたままか……変身以外、赤いセルタントに有効な打撃は与えられないのか?)
「レクス、そのまま聞け、お前にはソフィの面倒をみてもらった借りがある」
「この場でお前が逃げることには目をつむる。勝手な言い分だと思うだろうが、これで貸し借りはなしだ、引き続き、俺はお前を追う。次は殺す」
「…………」
「お前が犯人ではないのなら、その証拠を俺に見せろ。それまで俺に捕まるな、この提案が、最大限の譲歩だ」
「……上司を騙す必要がある。俺を殴れ」
レクスは躊躇ったが…
「やれ。時間がない」
「ジャッ!」
レクスは加減しながらクロスロードを殴った。
(……加減したんだろうが、魔術障壁を全部抜いていったな……肋骨を二本、やられた……しかし、ダメだな……あの姿を見ると、自分を抑えるのが大変だ。赤いセルタント……ああ、会いたいよ……お前に……)
「おい、なにがあったクロスロード!」
「すまない……奇襲をうけて逃げられた。治癒術式を頼む」
「逃げられただと?」
パンッ
ネロはクロスロードの頬を叩く。
「…………」
「気を抜きすぎじゃないのか?お前がミスをするたび、大事な小娘の寿命が縮むと思え」
「……ああ、わかっている。同じミスはしない。次は殺す」




