わたしを殺せ
社会的地位はあると思う。仕事はしているし年収は全国所得比較からしても一割以内の枠に入るほど年齢に比べて多い方だ。
だから金はあるのだろう。
今の時勢、高額納税者のランキングにこそ入らないが、控除されている税金だけでも大卒初任給分はゆうに超える。
それはわたしが今までの人生で努力し、苦労して手に入れた結果だ。
もちろんそれには周囲のサポートが欠かせない。
人伝てで仕事を紹介してくれた先輩、共に困難を乗り越えた仲間たち。
そしてなにより、貧乏生活をしていた頃から支えてくれた夫。
わたしが女性ながらも仕事に集中でき、没頭できたのは夫の存在が欠かせない。
それには感謝してもしきれないのだ。
わたしは自分の思い通りに世界が回らない事を自分の経験から知っている。理解している。
それでもどうにかしたいと思っている。
だかそれができない。
金では解決できなき事が、この世界には多すぎる。
わたしは搾取される。
吸い取られ、吸い取られ、それでもまだ吸い取られる。
自分で立つ事はできると思っている。
ならば。
この先に未来はあるのか。幸福は望めるのか。
そしてこの吐露はわたしに何をもたらすのか。
答えを知りたい。救われたい。
それができぬのなら。
わたしを殺せ。
公開百作目がこんな。誰に刺さるかな。
ただ吐き出したいだけだったのかも。
それもまた、いいよね?
読んでくれてありがとう。
この作品はフィクションです。




