表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い恋〜ボクラ、コイシタ〜  作者: 一奏懸命
第1章 君を好きになった
19/61

17 改めて、好きです

 インターフォンの音が響く。

「……出ないね」

「なぁ」

 三宅くんが突然呟いた。

「どうしたの?」

「俺、隠れてていい?」

「え? なんで。せっかく来たのに」

「俺がいるとアイツ、柳原も入れない気がするんだ」

「でも……」

「今ならまだバレてないから、頼むよ」

「……わかった」

 入れてもらえなかったら元も子もない。私は三宅くんの提案に乗ることにし、私ひとりで来たかのように見せることにした。

 もう一回インターフォンを鳴らす。

「……はい」

 やっと出てくれた。

「あ、あの……柳原です」

「どしたの!? いま、授業中だろ?」

「くだんないから、抜け出してきた」

 しばし沈黙。ヤバかったかな。

「フヘッ」

「へ?」

「柳原って、おもしろいな。待ってて。いま、玄関開けるから」

「うん!」

 私は思わず笑顔になった。それから、三宅くんが出てくる。

「だ、大丈夫かな?」

「俺がそうしてって言ったんだ。俺が、説得するよ」

 ガチャッとドアの開く音。そして、顔を出した大澤くんは凍りついたような表情になった。

「オッス」

「なんで……リョウがいるんだ?」

「ゴメン……。俺、本当はついてきてたんだ」

「……。」

 大澤くんは何も答えない。

「ゴメンな」

「謝るなよ」

 大澤くんがやっと笑顔になった。

「謝らないといけないのは……俺……なのに……」

 そのまましゃがみ込んで、大澤くんは動かなくなってしまった。

「泣くなよ、賢斗」

「ゴッ……ゴメン。泣かれても困るって話だよな」

 グスグス言いながら、大澤くんは立ち上がった。

「入って」

 

 相変わらず綺麗な部屋だ。女の子でもここまで部屋を綺麗にしているかどうか、怪しいところがあるかもしれないな。少なくとも、私はマズい。

「……。」

「……。」

 でも、それ以上にマズいのがこの会話のなさ。どうしたんだろう。二人、親友なんだよね? なんでそんなに喋らないのかな……。

 あ、それもそうか。もう親友っていう枠組みを越えちゃったんだね。そりゃあ……微妙であり複雑だよね。

「あのさ」

 三宅くんから口を開いた。

「単刀直入に聞いていい?」

「あぁ」

 何を聞くんだろう。

「賢斗ってさ」

「うん」

 私が一番ドキドキしてる気がする……。何を言うんだろう。

「俺のこと、いつから好きだったの?」

 うわぁぁぁ〜……。それ、単刀直入すぎる! ズバッと切り裂く感じ……。スゴいな、三宅くん。

「それってさ」

 うわ。大澤くん、答えるよ。

「いつからって、明確にしなきゃダメ?」

「え?」

 どういうこと?

「どういうことだよ」

「何年何月何日に、三宅亮平を好きになりましたって、言えなきゃダメ?」

「そ、そういう必要ないけど……」

「だろ?」

 間が空いた。それから、しっかりと大澤くんは言った。

「俺は、気づいたら、リョウが、特別な存在だった」

 三宅くんの顔が真っ赤になってる。照れてるんだろうな。

「改めていいます。好きだよ、亮平」


「……参ったよ」

 三宅くんは私の自転車を押しながら言った。

「あんなにハッキリ言われると、男なのにドキドキしちゃってさ」

「……そうだね」

 私もドキドキした。しっかり自分を持ってるなぁ、大澤くんは……。

「でも……答えてやれないのが辛いな」

「そうだよね」

 私は個人的な意見を言ったつもりだった。

「だって、三宅くんは……女の子が好きなんだもんね」

「……うん」

 冗談も混じってたつもりだった。

「いま、好きな人とかいるの?」

「……あぁ」

 え? 即答?

「えぇ!? それ、誰!?」

「アイツに言っちゃったんだけど……」

 三宅くんは照れながらもこう言った。

「同じ吹奏楽部の先輩で、宮部さんっていう人」

 私の頭の中で、思考回路が停止したような感覚に陥るのがわかった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ