プロローグ
入学式。吹奏楽部の演奏に合わせて入場するとき、君のことが気になった。
クラス発表。同じクラスだった。小学校からずっと一緒だったけど、今までで一番嬉しかった。
初めての学校行事、野外活動。部屋は別々だったけど、一緒に出かけていると感じられているだけで幸せだった。
夏休み。幼なじみという関係があるからこそ、休みでも会うことができた。メールをして、呼び出しても君は僕の本音なんか知らずに、駆けつけてくれた。
2学期。体育祭。君のカッコいい姿を目に焼き付けた。文化部なのに、俺を差し置いてリレーの選手になる君に嫉妬しつつ、走る姿を見れて嬉しかった。
文化祭。合唱コンクールで歌う君の姿は綺麗だった。
3学期。いつから抱いていたかなんて説明できない気持ち。それを、初めてその気持ちを伝えた。君は驚いた顔をしたね。
そして今は……。
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入学式。遅刻しました。
あなたは、私に声を掛けてくれました。戸惑う私をよそに、式場へと連れて行ってくれました。
1年上だと知ったとき、ちょっとショックでした。
でも、私にはそんなこと、関係ないように思えます。
1学期。美術部に入った私。美術室の前を、後輩と同級生と親しげに練習に向かうあなた。私は、その後輩と入れ替わることができたら、どんなに嬉しいかと何度も考えました。
2学期。やっとお礼が言えました。
相談もしました。あなたは笑顔でこう言いました。
「勇気を出しなよ」
ありがとうございます。
いま、勇気を出すときが来ました。
私、頑張りますね。
ありがとう。