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Caffe & Bar 〜 secret booth〜  作者: 兎 潤
・・・水曜日・・・
4/9

水曜日〜新郎の心の中に秘めた想い〜

水曜日。

今日はある一人の男性が決まった時間に来店してくる。

「こんばんわ。今日も相変わらず繁盛してるかい?」

「・・・いらっしゃいませ。それは、私に対しての嫌味ですか?」

「そんな嫌そうな顔しないでよ。そういう訳じゃなくて、社交辞令みたいな感じかな。」

「そうだとしても、嫌味にしか聞こえませんけど・・・。」

「ゴメン、ゴメン。本当にそんなつもりじゃないんだ。」

男性は申し訳なさそうに謝ってきた。

「まあ、あまり気にしてないのでいいですけど。今日は何にしますか?」

「とりあえずビールで。」

「かしこまりました。少々、お待ちください。」

この男性はお店の常連客の橋本 雅也。毎週水曜日の21時ごろに決まって来店する。歳は38歳、身長はそこまで高くないが容姿が良いため、私のお店に来店してくる女性客には人気が高い。中には彼に会いたいがためにわざわざ水曜日に来る女性達もなんぼかいたりする。

私としては売上になって嬉しいのだが、どうもしっくりこない。

「いらっしゃいませ、雅也さん。相変わらず、カッコイイですね。」

冬真が雅也さんに声をかけた。

「・・・キャー、イケメンのツーショットよ、ステキね・・・。」

店内のどこかの席から女性のかん高い声が聞こえた。

「お待たせしました。ビールでーす。」

私は少し気の抜けた声で雅也さんの前にビールを置いた。

「ありがとう、いただくよ。」

彼はビールに口をつけた。

「あーうまいな。純ちゃんの入れてくれたビールは本当に美味しいよ。」

彼は満足そうに私に言ってきた。

「どうもありがとうございます。」

私は雅也さんに軽く頭を下げた。

相手が誰であろうと、褒められるとやはり嬉しいものだ。

「奥様は大丈夫なんですか?確か結婚したばかりですよね?」

「うん、毎週の事だからその辺りは大丈夫。」

「心の広い奥様ですね。夫が外で女性と一緒にお酒を飲んでいるというのに。まあ、今日はまだ女性の姿はお見えではないみたいですけど。」

「・・・それは言わない約束だろ?」

そういう彼の顔は鋭く光っていた。

「大変失礼しました・・・。」

私は彼の顔を読み深々と頭を下げた。

さすがにさっきの言葉は言ってはいけなかった・・・。

「わかってくれればいいよ。」

雅也さんはいつものような軽い笑顔を向けてくれた。

「(なんで、結婚してステキな奥さんもいるのに違う女性と一緒にお酒飲んでるんだろう。)」

私の頭にはそんな疑問が浮かんだ。

『カランカラ~ン』

その時お店のドアが開いた。

「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」

「あ、いえ・・・待ち合わせを・・・。」

店内に入ってきたのは長い黒髪の綺麗な大人の女性だった。歳は三十代半ばくらいだろうか。

「こっち、こっち。」

その女性に声をかけたのはカウンターの一番奥に座っている雅也さんだった。

その女性は雅也さんの連れだったらしい。

彼女は雅也さんの隣のイスに腰かけた。

「いらっしゃいませ。まずは何をお飲みになりますか?」

私は女性に飲み物を聞いた。

「シャンパンをお願いします。」

「かしこまりました。少々、お待ちください。」

私はお酒を用意するために女性の前から離れた。

「(今日の女性、見たことあったかな?前は違う女性だった気がするけど・・・。)」

私はそんな事を思いながらグラスにシャンパンを注いだ。

「お待たせしました。シャンパンでございます。」

「どうもありがとう。」

女性はグラスを持ち、雅也さんの方へ向けた。

『カチン・・・』

二人のグラスが小さな音を立てた。

「ごゆっくり、どうぞ・・・。」

私はそう二人に声をかけ、その場から離れた。



今の時刻、21時56分。そろそろ、恒例の時間になる。

「冬真、そろそろ時間になるけど大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ。」

私が冬真にそう言うと、彼はいつものようにピアノの場所に向かった。

「これから何が始まるの?」

そんな私と冬真のやりとりを見ていた黒髪の女性は雅也さんに尋ねていた。

「あぁ、これからピアノの生演奏が始まるんだよ。で、その時間が夜の10時。」

「へぇー、そうなんだ。珍しいお店ね。」

「そうなんだよ。それが良くて俺もよく、ここのお店に足を運ぶんだ。」

「ふ~ん、雅也がこう言うお店に行っていたなんて、ちょっと意外ね。長い付き合いになるけど初めて聞いたわ。」

黒髪の女性は伏せ目がちな表情をした。

「そうだった?昔からこういうお店好きだったけど言ったことなかったかな?」

雅也さんはなんだか嬉しそうな表情をしている。

「私達、まだまだお互いに知らないことがたくさんありそうね。」

「まあな。言ってしまえば他人には変わりないからな。相手が誰だろうとわからないんじゃないか?」

「そうかもしれないわね・・・。」

「・・・・・・・・・。」

二人の話に耳を傾けていると、この二人の関係はただの飲み仲間ではないような気がした。

「あっ・・・始まった。」

二人の会話が終わったと同時に店内にはピアノの音が響いた。

今から30分間、店内はピアノの音だけが流れる・・・。



「・・・こんなに近くでピアノの生演奏が聴けるなんてとても贅沢ね。」

「本当だよな・・・。」

ピアノの演奏が終わり、雅也さんと黒髪の女性は未だに酔いしれていた。

「あ、そういえば今何時かしら・・・!」

黒髪の女性は慌てたような声を出した。

「もうすぐ11時になるよ。」

その問いに答えたのは雅也さんだった。

「もうそんな時間なのね、そろそろ帰らなきゃ・・・。」

女性は急いで帰り仕度を始めた。

薄めのコートを羽織り、首にストールを巻く。そして、ストールの下にある長くて綺麗な黒髪を外に出す。その動作は全てか様になっていた。

「雅也・・・、ごめんね。帰るわね、また連絡するから・・・。」

女性は雅也さんにしか聞こえないような声で呟いた。

「あぁ、気をつけて。」

雅也さんのその声はとても寂しそうに聞こえる。

「ご馳走様でした。ウェイターの男性にもそう伝えてください。」

「はい、かしこまりました。ご来店ありがとうございました。またお越しください。」

黒髪の女性は私に声をかけお店を後にした。

その後ろ姿はどこか名残りおしそうな雰囲気が漂っていた。

それは一体、どういうことなのだろう。

私は女性を見送り、雅也さんの方に視線を移した。

「(雅也さんの方も女性と同じような雰囲気が漂っている。

それに、彼の方はそれとは何か別の感情が入り混じっているように見えるな。一体、この二人の関係って・・・。)」

私は彼を見るなりそんなことを思った。

「・・・・・・・・・。」

雅也さんは何も言わずビールを口に含んだ。

その表情は相変わらず、さっき同じだ。

「・・・雅也さん、彼女のこと送らなくてよかったんですか?」

私は彼のもとに行き、そう問いかけた。

「うん・・・、送りたくても送れなくてね。」

笑顔で言う彼だがその笑顔には喜びを感じられない。

「そうですか・・・。」

私は雅也さんにそんな言葉しかかけれなかった。

「・・・純ちゃん。」

「・・・!はい、なんでしょう・・・?」

私は急に雅也さんに声をかけられ驚いてしまった。

「そんな驚かなくても。」

「すみません、いきなりだったのでつい・・・。」

「そっか、ごめんな。俺が悪かったよ。」

「いえ、大丈夫です。お気になさらずに。で、なんでしょう?」

「えっ、あっ、うん・・・。やっぱりいいや。」

彼は結局、何も言わずビールを口にした。

「雅也さん・・・。」

私は彼のことを呼んだ。

今の雅也さんはいつもの彼ではないことは見るからにわかる。彼は心の中にどんな思いを抱えているのだろう。

「なに?」

「・・・楽になりませんか?このお店はそういうところです。絶対、外には漏れません。そんな辛そうな表情は雅也さんには似合いませんよ。」

「純ちゃん・・・。」

彼は驚いた顔をした。

「冬真、今日はもう終わりにしよう。お客様も雅也さんしかいないし。」

「あぁ、わかった。じゃあ、俺、外片付けてくるから。」

「うん、お願いします。」

そう言って冬真は外に出た。

そして、お店のドアには『close』という看板がかけられた。

「そこまでするんだね。」

「はい、さっきも言いましたよ。絶対外には漏れないって。」

「フッ・・・。やっぱり、いいね、ここのマスターは。」

雅也さんは今日の中でも一番彼らしい笑顔を見せてくれた。

「こんなんですけど一応ここの主人ですから。」

私も笑顔で彼に答えた。

「全く、純には勝てないね。」

「お褒めの言葉ありがとうございます。」

私は彼に頭を下げた。

「ふー。実は、今日一緒にいた女性は俺の幼馴染なんだ・・・。

雅也さんは一息着いてから話し始めた。



「・・・冬真。」

「なんだ?」

「・・・幼馴染は普通の男と女にはなれないのかな?」

「そんなことはないだろう?幼馴染だろうとお互いそういう気持ちがあったら、成立するんじゃないか。」

「そっかー・・・。」

私はいつものようにカウンターのイスに腰掛けていた。

雅也さんの話を聞き終えた私は何度も思い返していた。

彼の心の中には後悔というものが渦巻いているようだった。



「今日、一緒にいた女性、海堂 亜姫奈って言って俺の幼馴染なんだ。俺よりも二つ年下で親同士が仲良くて、小さい頃からいつも一緒に遊んでた。まあ、俺は亜姫奈の子守役みたいな感じだったんだけど・・・。もちろん、小学校も中学校も一緒だから、時間が会う時はいつも二人で登下校してたんだ。俺にしてみれば妹同然だったから周りの目とかそんなに気にしてなかったし。」

「それがずっと続いて、俺が高校に進学するとき、亜姫奈に言われた言葉があって・・・。」

「彼女に何を言われたんですか?」

『私も雅也くんと同じ高校に行くからその時はちゃんと私のこと女としてみてね。』

「って言われたんだ。」

「そうですか、それで雅也さんはなんて返事を?」

「俺は・・・。」

『本当に一緒の高校に行けたらな。』

「って言ったんだ。自分で言うのもどうかと思うけど、俺が通ってた高校ってそれなりに偏差値が高いところで、あの時の亜姫奈の学力じゃなかなか厳しかったんだ。」

彼はその時の記憶を思い出しながらはっきりと言葉にしていく。

「それから二年の月日が過ぎた。その間は連絡なんてほとんど取ってなかったんだけど、俺が高校三年に上がる前、亜姫奈から急に連絡が来たんだ。話したいことがあるって。」

「・・・もしかして。」

「そう、亜姫奈は俺と同じ高校に受かったんだ。それを伝えたくて俺に連絡をよこした。まさか、本当に同じ高校に通うことになるなんて思ってなかったから、本当に驚いた。」

「それはそうですよね、そのあとは?」

「うん、そして彼女が入学してきて久しぶりに再会すると、彼女には昔の面影がほとんどなくて、俺の知らない女性になってたんだ・・・。」

「女性はきっかけさえあればいくらでも変わりますからね。」

「本当にそうなんだな、って亜姫奈を見て思ったよ。」

彼は苦笑いをした。

「なぜ苦笑いを?」

「いや、なんか可笑しくてね。純には全く関係ない話なのにしっかり聞いてくれてるなーって思って。」

「そうですか。きっとまだ続きの話があるんですよね?私でよければ聞きますよ。」

「うん、あるね・・・。」

彼は再び話し始めた。

「それからは、いつの間にか亜姫奈のファンクラブみたいなのが出来て、学校一の美少女だなんて言われるよになったんだ。俺はそんな彼女が俺の幼馴染だなんて誰にも言えなくて、校内では一言も話すことはなかった。もしかしたら亜姫奈の方は話したかったかもしれないけど・・・。」

彼は切ない表情を浮かべた。

「じゃあ、高校時代は亜姫奈さんとは一言も話さなかったんですか?」

「うん、話さなかった。その時の俺はどうも粋がっていたみたいでね。」

「高校生ですからね、そういう時期だったんじゃないですか。」

「うん、そうだと思う。それで、そんな日がずっと続いて、俺はとうとう卒業式を迎えた。それでも俺は彼女と話すことは一度もなかった。」

「なんか、寂しいですね。」

「本当にそう。でもね、そんな思いを吹き飛ばすかような出来事がその日に起こったんだ。」

彼の顔が少しだけ明るくなる。

「卒業式当日、俺が家に帰ると、俺の家の前に亜姫奈が立っていたんだ。俺はものすごく驚いて、なんて言ったらいいのかわからなくて、ただ呆然と立ち尽くしてた。そんな俺の姿を見た彼女は走って俺のところに来てくれて、万遍の笑みで一言いったきたんだ。」

『お帰りなさい、卒業おめでとうございます。これからも頑張ってください。』

「ってさ。俺はそのとき、彼女に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。こんな俺なのに彼女は昔とはちっとも変わらない笑顔を向けてくれる。なのに、俺はどうしてもっと彼女に歩み寄らなかったのかって、思ったんだ。そんな自分に嫌気もさしたし、後悔もした。」

「そうですか・・・。きっと、その時はまだ不器用だっただけですよ。」

「うん、その通りだと思う。だから、それからは後悔しない人生を送ろうって思うようになったんだ。」

「いいことだと思いますよ。」

「ありがとう。でも、それはそんなに簡単じゃなかったんだ。」

「えっ?もしかして・・・。」

「そう、俺は社会人になってからまた同じことをしてしまった。中身は違うけど、後悔には変わりないことを・・・。」

彼の顔から笑みが消えた。



「今から3年くらい前に亜姫奈のほうから連絡が来て、どうしても会いたい、会って直接話したいことがあるって言われたんだ。その当時、俺も亜姫奈も仕事やプライベートが忙しくて二、三年くらい会ってなかったんだけど、その時だけはどうしても会いたいって・・・。」

「で、なんとか時間を作って会う約束をして、いざ会ってみたら・・・。」

彼は急に黙ってしまった。

「どうかしました?」

「あっ、うん。ちょっとね・・・。」

「?」

「いや、今、その時の亜姫奈を思い出したら、俺って何にも変わってないなって。」

「そうですか・・・。」

「その時の彼女は更に綺麗になってたんだ・・・。今だって綺麗だと思うけど、たかが二、三年会ってないだけなのに女性は変わるんだなって改めて思ったよ。俺なんて全然変わってないのにね。」

「女性はいくらでも変わりますよ。」

「本当に女性ってすごいよね。そんな彼女を見た瞬間、俺は亜姫奈のことをただの幼馴染だって思えなくなって、もう昔みたいな関係ではいられないって思った。それからは、どうしたらいいのかわからなくて、一緒にいる時は柄にもなくドギマギしていたよ。」

彼の顔が一瞬だけ笑顔になった。

「その時の俺は、もう彼女のことは1人の大人の女性にしか見れなくて、この時間がずっと続けばいいのにって思ったんだ。」

「けれど・・・、それは一生叶わないものになった。」

彼の顔が再び暗いものに変わる。

「何があったんです?」

「・・・その日の別れ際、亜姫奈から・・・。」

『・・・私、もうすぐ結婚するの・・・。』

「だってさ・・・。」

「・・・・・・・・・。」

「それを言われたとき、俺は全く喜ぶことができなくて、本当はおめでとうって言ってあげなきゃいけないのにさ。」

「・・・・・・・・・。」

「そんな俺の様子を見た彼女は、俺に向かって・・・。」

『・・・雅也って私のことどう思ってるの?・・・私は昔から雅也のことしか見てなかった。』

「って、言われたんだ。」

「・・・それで雅也さんはなんと?」

「俺は・・・。」

『お前のことは可愛い妹とみたいに思ってる。』

「・・・それ、雅也さんの本心じゃないですよね?」

「フッ・・・、その通り。俺って本当に馬鹿だよな。もっと前から彼女と頻繁に会っていたり連絡とっていたりしておけば、こんなことになってなかったかもしれないのにさ。結局、同じことの繰り返しだ・・・。」

彼は天を仰いだ。

「・・・じゃあ今はもう亜姫奈さんのことは・・・。」

「・・・どうだろうな。俺もこの歳だけど結婚したし。まあ、お見合い結婚みたいなものだけど・・・。」

「・・・・・・・・・。」



その後の彼の話は当たり障りのない会話が続いた。

今日一緒にいた亜姫奈さんとの関係は特に変わることもなく、毎週水曜日に会える時間があれば会って話しをしようと、2人で決めたらしい。

でも、2人とも結婚をしているため会って話せる日は月に一回くらいしかないと彼は言っていた。

だいたい、亜姫奈さんの都合がつけられなくなって、会えないのがほとんどみたいだ。結婚している女性は家事や育児に追われ、ましてや仕事もしていたら尚更、時間を作ることは難しいだろう。

もちろん旦那さんの理解力だって必要不可欠だ。

今の世の中、そうそう甘くはないだろうけど・・・。

けれど、雅也さんは必ずと言っていいほど水曜日に私のお店にやってくる。その理由は、きっと・・・

「(亜姫奈さんがどの週に都合がつけれるかわからないからなんだろうな。)」

彼の心の中の想いは、きっと誰にもわからないだろう。結婚しても忘れられない女性。一緒にお酒を飲んでいてもその想いを伝えられない女性。

あの二人は間違えなく同じ想いを抱えているだろう。そして、その想いは決して相手には伝えてはいけない。伝えてしまったら、今の関係が壊れてしまうかもしれない・・・。

二人の想いの先にはステキな未来は望めないのだろうか・・・。



「純、そろそろ二時になるぞ。さすがに帰らないとマズイんじゃないか?」

「あ、ごめん、冬真。今ちょうど終わったところだから帰るよ。」

私は冬真に声をかけられ、我に返る。

いつの間にかそんな時間になっていたなんて驚きだ。

私はいつものように・・・


~新郎の心の中に秘めた想い~


と、書いた。

「いつもごめんね・・・。じゃ、帰ろう。」

「あぁー。なあ、純。」

「なに?」

「・・・ほどほどにしとけよ。そのままだったらいつか持たなくなるぞ。」

冬真は珍しく真剣な表情をしていた。

「うん、わかってるよ。心配してくれて、ありがとう。」

「・・・一応、幼馴染だからな。」

そう言って、冬真は私の一歩先を歩き始めた。

私はその後ろ姿を頼もしそうに見つめる。

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