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第13話 約束のキス


 いろいろと考えた。

 いろいろと悩んだ。

 今、何が一番いいのかを。


 「元親友」との関係修復は、はっきり言ってもう無理だろう。「元親友」が先輩に寄り添いにいったのもなにかしら僕に関係有るのか、それとも、ただ、先輩の優しさに惹かれたのか、それはわからない。けれど、ふたりが一緒にいるだけで、先輩が「元親友」に惹かれてしまうそんな不安が湧き上がる、怖い思いがある。それでも、いくら不安になっても、僕にはなにもできない。ただ、彼氏になれば、間に入れるのだろう。でも、ただそれだけで先輩の彼氏になろうとするのは少し違うのかもしれない。


 「初恋の彼女」は、先輩と僕とともに過ごす時間が多くなった。いや、先輩と僕というより、先輩と良い関係を築いている感じだ。だから、この関係は壊したくない。それを考えれば、必然と今後の僕の行動をどうしたらいいか思い浮かんでくる。


 「先輩」、僕は告白はもうするつもりでいる。ただ、「初恋の彼女」のことを考えると、通常の告白とは少し違う形になると思う。すこし形が違うけれど、僕が感じたことを「初恋の彼女」に味あわせたくない。ただ、間違えば、先輩は僕の元から去るかもしれない。

 それでも、不安がないとは言えないけれど、今中庭でともに過ごす、先輩、「初恋の彼女」と僕の関係が壊れないように・・・




 今日は、先輩を放課後、校舎裏へ呼び出すことにした。さすがに「初恋の彼女」がいる場で告白なんて出来ないからね。

 先に先輩は、来ているようだ。僕は、緊張しながらも先輩の元へと急ぐ。


 互いに挨拶を交わし、まず僕のほうから、先輩に告げたいことを伝える。


「先輩、今までお待たせしてすいません。僕の思いを先輩に伝えます。ですが、先輩の望む形ではないと思います。でも、受け入れてくれると思ってます。

 先輩、あなたのことが好きです。僕が、屋上で苦しんでいるとき、声をかけてくれ、優しく、手を差し伸べてくれた。手の温かさ、忘れることが出来ません。本当に大好きです。

 ですが、今の状態で付き合ってとは言えないんです。」


 先輩は少し頬を赤くしながらも、やはり疑問に思うような表情で僕を見た。僕の話を全て聞くまで話さない、待つわというそういう雰囲気で。


 「理由は、「初恋の彼女」なんです。今、中庭で僕たち3人で過ごすことが多くなったでしょ?以前、僕と「元親友」と「初恋の彼女」で過ごした日々で、やっぱり、恋仲のふたりにひとりの僕が入り込むのは辛かった。たしかに、僕が「初恋の彼女」を好きだったということもあるけれど、それがなくても、居づらくなる原因です。僕のせいで、別れてしまった「初恋の彼女」には、やっぱり楽しく過ごしてほしいんです。先輩と仲良くなった「初恋の彼女」は今楽しんでると思います。だから・・・

 先輩、大好きです。ただ、付き合うのは、先輩が卒業、または、「初恋の彼女」に彼氏ができるまで待ってほしいんです。

 わがままなのはわかってます。今まで待たせておいて、まだ待たせるのかというのもあります。だから、もし、先輩が待てないのなら、その間に別の人を好きになったりしたならば、僕は諦めます。

 僕は、その時が来たら、再度、告白します。好きです。大好きですって。」


 先輩は複雑な表情をしながらも、「ふぅ」とひとつため息をつき


 「好きって言ってくれて嬉しい。でも、いろいろと悩んだようね。そうだもんね。「初恋の彼女」をほって、前には進めないものね。あなたの気持ちわかったわ。それまで待つわ。でも、そんなに苦じゃないと思うわよ?いつも一緒にいるわけだし、今まで通りだし、それにはっきりと好きだって言ってくれたんだし。

 ただし、付き合ってなくても、放ったらかしにするようなら、私がどこかに行っても知らないからね。ただ、ひとつだけいいかしら?」


 先輩は、目を伏し目がちにこちらを見てそう言い、突然、僕の顔にきれいな赤く火照った顔を近づけ、長い長いキスをした。


 「これで、待つことはできるわ。待ってる。このキスで忘れること、離れることなんてできなくなったから。だから大丈夫よ。でも、ちゃんと逃げないように捕まえててね?」


 先輩は、そう言って、再度優しくもう一度キスをした。



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