祈り
これを読んでいるということは、わたしはもうこの世界には存在しないのね。
でも、悲しまないで。これは最初から、決まっていたことだから。
きっと、あなたはわたしの最期を看取ることができなくて、後悔していることでしょう。
そんなことは、気にしなくていいのよ。だって、わたしはすごくしあわせだったから。
あなたと出会って過ごした十数年間。わたしは、こころから生きていてよかったと思えたの。
ほんとうは、わたしはもっとまえにとっくに死んでいたはずだったのよ。
さみしくて、でも、だれも助けてくれなくて。
そこからわたしを救ってくれたのが、あなただった。
ひとは、孤独では死なない。その先にある、絶望に殺される。
どうか、自分をひとりぼっちだと思わないで。
あなたのそばには、あなたのことを大切に想っているひとがたくさんいるはずだから。
あの泣き虫のかわいい女の子に、最後に会えなかったことだけが、すこし残念だけれど。
自分の決めた道を、まっすぐ進みなさい。
まちがっていてもいいから、その瞬間の、自分を気持ちを信じなさい。
どうか、あなたとあの女の子が、ずっと笑顔でいられますように。
この祈りが、届きますように。
これで第一部は完結です。ここまで読んでくださったかた、ほんとうにありがとうございました。




