外へ
この数ヶ月で様々なことを学んで、記憶の欠落はどうにかできるくらいには、勉強などにおいてはなんとかなっている。料理も家事も出来る。正直、もう独り立ちなんでできるくらいには独立してるはず…………
「ふふ、勘違い、してる?」
「え?」
「独立は何も…………独り立ちできること、ではないんだよ?」
「えっと…………」
「もっと色々学ばないとね」
「はい…………」
「それでね」
というと、彼女は財布から何やら取り出し…………
「今日は外に出ようと思うの!」
「外に…………?」
俺はこの数ヶ月、一切外に出たことがない。事故の後、歩きにも少し問題があるとのことで、車椅子だった時期がある。だけど、家ではリハビリもしていたし、筋肉が衰えないよう筋トレなどもしていた。
それでも、外を歩く、というのはほんとうに初めてだ…………
「でも、外に出て大丈夫なの?」
「ええ。許可とか諸々取ってあるしね」
「そこは用意周到なんだ…………」
「なによっ!いつも用意周到よっ!」
「わかったわかった…………で、どうするの?」
「車で行くわ。だから行きましょ、まずは外に」
正直太陽の日差しを浴びるのは初めてで、怖い反面楽しいと思う部分もある。
車の近くまで行くと、何かを思い出したようにこちらをずっと見つめて動かなかった。
「ああ、そうだそうだ、何か忘れてると思ったら…………」
「ん?」
「これよこれ!」
「えっと…………なにかな? これは」
「なにって…………これからいく遊園地のストラップだよ」
「ええ…………」
彼女はどこか…………抜けている気がする。