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もしもの白雪姫

 猟師の助けで王妃から逃げた白雪姫のもとに 毒りんごを持って 魔女に化けた王妃がやってきました


「おいしいりんごだよ」


 王妃は白雪姫に毒りんごをあげることに 成功しました




 

「ハハハハハハ!」


 毒りんごを渡した王妃はお城に戻り 魔法の鏡で白雪姫の様子を見てみました


「おや? 一体どうしたんだい?」


 そこには毒りんごとにらめっこをしている 白雪姫の姿がありました


「なぜあの子は毒りんごを食べないんだい?」


 白雪姫はりんごが大っ嫌いだったのです しかし王妃は それを知りませんでした


 しばらくすると 出掛けていた小人達が小屋の前まで帰ってきていました


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ただいま 白雪姫」

「お帰りなさい 小人達」


 りんごをどうしようかと考えている白雪姫の元に 小人達が帰ってきました


「それは何だい? 白雪姫」


 小人達は 白雪姫が何かを眺めているのに気付き 尋ねます


「これはりんごよ 魔女のお婆さんに貰ったのだけれど 私 りんごが嫌いなの」


 白雪姫は素直にりんごが嫌いと言いました


「それなら僕達がりんごを貰おう」


 すると小人達が 白雪姫の代わりに りんごを食べ始めます


 ◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◆


 王妃は焦りました


「なぜ!? 白雪姫ではなく小人達がりんごを!」


 魔法の鏡は音を伝えません

 そのため白雪姫達の会話を 王妃は聞けなかったのです


 魔法の鏡には小人達が倒れ 白雪姫が驚いているのが映し出されています


 ◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◆


 白雪姫は倒れた小人達を見て気付きます


(王妃にこの小屋がバレた!?)


 そうと分かればここは危険です

 白雪姫は急いで家を出る準備をしました


 ◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◆


 カッポ カッポ カッポ カッポ


 森の中に馬の歩く音が響きます

 その馬の背中には はぐれ王子が乗っていました


「まいったなぁ 皆とはぐれてから 森の中をグルグル回ってる気がするぞ?」


 この王子は隣の国からやって来ましたが 一人迷子になってしまったのです


 しばらく王子が森の中をさ迷っていると 女性が歩いているのを見つけました


「あの女性に聞いてみよう」


 話し掛けようと近づいた王子は驚きます


(なんと可憐で儚さがあり美しく 守りたくなる可愛らしさだが 芯が一本通ってる様な愛しい瞳をしている まさにボク好みの女性だ!)


 王子は意を決しました


(結婚を申し込もう 絶対成功させる!)


 ◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◆


 白雪姫が森の中を歩いていると男の人に話し掛けられました


「こんなところで何をしてるんだい?」


 突然のことに白雪姫は驚きましたが 今までのことを話しました



「大変だったんだね」


 話終えた白雪姫は後悔しました もしかしたらこの人も 自分の命を狙う刺客かもしれないと 考えたからです


「実はボク 隣の国の王子なんだ 良かったらボクの国に来ないかい」


 これを罠だと思った白雪姫は嘘をつきます


「えぇ 是非とも行かせていただきますわ」

「本当かい?」

「もちろん!」


 もちろん隣の国に行くことも この国に留まることもしません

 白雪姫のことを 誰も知らない国へ行こうとしています


「それでは私は 一足先に隣の国へ向かいますわ」


 王子から離れようとして 一人で行こうとした白雪姫でしたが


「ちょっと待ってくれないか ボクは道に迷っていたんだ」


 白雪姫は王子を案内することになりました


 ◇◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◆


 森を抜けて白雪姫と別れた王子は張り切りました


「この国の王妃を何とかしないと 白雪姫がまた狙われるかもしれない」


 王子は王妃の悪事を暴くことにしました


 ◆◇◇◇◇◆◆◆◆◆◆◆


 その後 王妃は今までにした悪い事を 王子によって暴かれたため 国の外へ追い出されました


 ◆◇◆◇◇◆◆◆◆◆◆◆


 王妃を追い出した王子は白雪姫と結婚するため 自分の国へと戻りましたが いくら探しても見つかりません


「白雪姫を迎えに行かなくては!」


 そして王子は白雪姫を追って 国を飛び出し あてのない旅を始めました


 ◆◆◆◇◇◆◆◆◆◆◆◆


 魔法の鏡は自分の持っている力で 成り行きを見守っていました


「…………………………」


 魔法の鏡がある場所は 王妃だけが知っている秘密の部屋です


 王妃がいない今 魔法の鏡は誰かが来るのを待ち続けるしかありませんでした


「……………」


 ◆◆◆◆◇◆◆◆◆◆◆◆


 おしまい






 白雪姫が小屋を出ていった後に 出掛けていた猟師が帰ってきました


「ただいま 白雪姫」


 しかし 誰もいません


「みんな どこ行ったんだ?」


 猟師がみんなを探していると 机の上にりんごが置いてあるのを見つけました


「おや? おいしそうなりんごがあるな」


 猟師はそのりんごを食べました


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 おわり



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