もしもの白雪姫
猟師の助けで王妃から逃げた白雪姫のもとに 毒りんごを持って 魔女に化けた王妃がやってきました
「おいしいりんごだよ」
王妃は白雪姫に毒りんごをあげることに 成功しました
「ハハハハハハ!」
毒りんごを渡した王妃はお城に戻り 魔法の鏡で白雪姫の様子を見てみました
「おや? 一体どうしたんだい?」
そこには毒りんごとにらめっこをしている 白雪姫の姿がありました
「なぜあの子は毒りんごを食べないんだい?」
白雪姫はりんごが大っ嫌いだったのです しかし王妃は それを知りませんでした
しばらくすると 出掛けていた小人達が小屋の前まで帰ってきていました
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「ただいま 白雪姫」
「お帰りなさい 小人達」
りんごをどうしようかと考えている白雪姫の元に 小人達が帰ってきました
「それは何だい? 白雪姫」
小人達は 白雪姫が何かを眺めているのに気付き 尋ねます
「これはりんごよ 魔女のお婆さんに貰ったのだけれど 私 りんごが嫌いなの」
白雪姫は素直にりんごが嫌いと言いました
「それなら僕達がりんごを貰おう」
すると小人達が 白雪姫の代わりに りんごを食べ始めます
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王妃は焦りました
「なぜ!? 白雪姫ではなく小人達がりんごを!」
魔法の鏡は音を伝えません
そのため白雪姫達の会話を 王妃は聞けなかったのです
魔法の鏡には小人達が倒れ 白雪姫が驚いているのが映し出されています
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白雪姫は倒れた小人達を見て気付きます
(王妃にこの小屋がバレた!?)
そうと分かればここは危険です
白雪姫は急いで家を出る準備をしました
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カッポ カッポ カッポ カッポ
森の中に馬の歩く音が響きます
その馬の背中には はぐれ王子が乗っていました
「まいったなぁ 皆とはぐれてから 森の中をグルグル回ってる気がするぞ?」
この王子は隣の国からやって来ましたが 一人迷子になってしまったのです
しばらく王子が森の中をさ迷っていると 女性が歩いているのを見つけました
「あの女性に聞いてみよう」
話し掛けようと近づいた王子は驚きます
(なんと可憐で儚さがあり美しく 守りたくなる可愛らしさだが 芯が一本通ってる様な愛しい瞳をしている まさにボク好みの女性だ!)
王子は意を決しました
(結婚を申し込もう 絶対成功させる!)
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白雪姫が森の中を歩いていると男の人に話し掛けられました
「こんなところで何をしてるんだい?」
突然のことに白雪姫は驚きましたが 今までのことを話しました
「大変だったんだね」
話終えた白雪姫は後悔しました もしかしたらこの人も 自分の命を狙う刺客かもしれないと 考えたからです
「実はボク 隣の国の王子なんだ 良かったらボクの国に来ないかい」
これを罠だと思った白雪姫は嘘をつきます
「えぇ 是非とも行かせていただきますわ」
「本当かい?」
「もちろん!」
もちろん隣の国に行くことも この国に留まることもしません
白雪姫のことを 誰も知らない国へ行こうとしています
「それでは私は 一足先に隣の国へ向かいますわ」
王子から離れようとして 一人で行こうとした白雪姫でしたが
「ちょっと待ってくれないか ボクは道に迷っていたんだ」
白雪姫は王子を案内することになりました
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森を抜けて白雪姫と別れた王子は張り切りました
「この国の王妃を何とかしないと 白雪姫がまた狙われるかもしれない」
王子は王妃の悪事を暴くことにしました
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その後 王妃は今までにした悪い事を 王子によって暴かれたため 国の外へ追い出されました
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王妃を追い出した王子は白雪姫と結婚するため 自分の国へと戻りましたが いくら探しても見つかりません
「白雪姫を迎えに行かなくては!」
そして王子は白雪姫を追って 国を飛び出し あてのない旅を始めました
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魔法の鏡は自分の持っている力で 成り行きを見守っていました
「…………………………」
魔法の鏡がある場所は 王妃だけが知っている秘密の部屋です
王妃がいない今 魔法の鏡は誰かが来るのを待ち続けるしかありませんでした
「……………」
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おしまい
白雪姫が小屋を出ていった後に 出掛けていた猟師が帰ってきました
「ただいま 白雪姫」
しかし 誰もいません
「みんな どこ行ったんだ?」
猟師がみんなを探していると 机の上にりんごが置いてあるのを見つけました
「おや? おいしそうなりんごがあるな」
猟師はそのりんごを食べました
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おわり




