02
「人間ですか」
落ち着いてから言葉を返す。
「当たり前じゃないですか。この世で喋るのは人間だけでございますよ。幽霊なんているわけないじゃねぇか馬鹿野郎」
・・・気になる点が2つほど。
まず、おばけと幽霊って同じなんですか?
それと 馬鹿野郎って何ですか。馬鹿じゃないし野郎でもないですよ。
なんか色々とムカつく野郎だわ。
「そうじゃなくて名前を聞いているのよ」
「名前ぇ!?」
「―――嗚呼困ったわね。名前を聞くのにも一苦労じゃない。あ、もしかして名前を聞く前に名乗るべきかしら。名乗れと!? 名乗らないと馬鹿にされそうだわ。名乗ろうかしら。あ、私の名前はアリス!よろしくね?ってな感じで爽やかに笑顔で。うーん…」
でもこんな生意気なガキに笑顔を振りまくのは嫌だわ。どうしよう…名乗ってくれるのを、待つしかないかしら…。
「でもさぁアリス、」
「エスパー――!!?」
間髪入れずに叫ぶ。なんでこいつ私の名前知ってるの!?
「俺名前ないんだよね」
「無視ですかこのヤロー って、言おうとしたんだけどなぁ…。名前ないって・・」
「そうそう。名前ないんだよ」
笑顔でこいつは頷いた。
そうかそうか名前が無いのね「なら私が付けてあげるわ!!」
「はぁ?」
「素晴らしいわ!こいつに名前が付けられるなんて!ここは変な名前を付けるべきよね!」
変な名前…変な名前…変な名前?
「カノン、でいいわ――」
私は溜息をついた。この場所の名前だ。だって変な名前が思い浮かばなかったんですもの。
「地名かよ!……ま、でもいいか・・・変な名前よりは」
カノンも溜息をついた。でも納得してくれたっぽいし・・・けどそれより、
「エスパー!!?」
「もういいよアリス…」
カノンは他の意味で溜息をついた。
むかつくわね。今度改名してやろうかしら。
カノン
深緑の髪に灰色の目。
アリスより年下。幽霊などの存在を全く信じていない。
名前はアリスに付けてもらった。




