01
とにかく私は旅に出た。
ずっとそこに座っているわけにもいかないから。
食糧や衣服など、必要な物を鞄につめた。
忘れ物はないか確かめて。
もしかしたら必要になるかもしれない、と。
最後にナイフを手に取った。
―――――
通りに出ると人々がざわついた。
「あれ、有名な―――の娘じゃないか」
「―――よ。間違いないわ」
「なんで―――がこんなとこにいるんだ」
驚いた。私はこんなに有名人だったのか、と。
それにしてもなんて煩いんだろう。私はもう、アリスなのに。そんな昔の名前を言って欲しくないわ。
私は苛立ちつつも歩き続ける。
それにしても此処は何処なんでしょう。外なんてろくに出たこともないからよく分からないわ。暗くなってきたわね。どうしましょう、おばけなんかが出たら。
と、何かにぶつかった。
「出ぎゃぁああああぁああぁあぁぁ―――――――― !」
「何がだよ」
冷静に突っ込まれた。
「ヤバいわね。状況はとてつもなくヤバいわ。だっておばけよ!? 人間の私が勝てるわけないじゃない」
「おばけって俺のことかよ」
「もちろ…ってにゃぁぁああぁああああ――――!おばけは心も読めるのか!」
驚きのあまり思わず変な悲鳴をあげる。流石おばけ・・・ちょっと羨ましいわ。
「いあ、思いッきり声に出してた」
「そんな筈はないわ・・・てか貴方誰ぇえぇぇ―――――― !?」
「人間です」
・・・そういえば おばけは触れることが出来なかったわ。
アリス (自称)
黒髪に青い目。髪はかなり長い。外にあまり出ていないため色は白く、不健康な外見である。
しかし外見からは考えられない 激しい性格。
心の中で思っている事を無自覚で言ってしまう事がある。それに反論すると読心術だ などと騒ぎだす。幽霊などを本気で信じているお嬢様。
アリス と名乗っているが本名は違うらしい。




