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spiral  作者:  いいちこ
16/18

03

「アリス、これ、どうなってるんだ?」


アリスは俯いた。

しきりに涙を拭っている。


「なあ、アリス」

俺はしつこく声をかけた。

「煩いなぁ!見たら分かんないわけ!?」

突然メイドが大声を上げた。

「 …な、にを」

アリスが声を上げる。

俺はイラついた。


突然叫び出したメイドにも、泣いているアリスにも。



「アリス!! どうなってんだよ! 何でこいつは頭から血ィ流してるんだ?何でこいつは銃を持ってるんだ?こいつが自分でやったのか?何でこいつはこんな事したんだ?お前とメイドは何で此処に居るんだ?お前はこいつを止められなかったのか?何で俺を呼ばなかったんだ!?」


一人だけ仲間外れにされたことにもイラついた。

とにかくアリスに疑問をぶつけた。

答えを教えてくれ。

なんでこんな事になっているのか教えてくれ。




なんで、スー(こいつ)が死んでいるのか・・・



「なんでもないよ」

「はあ!?」

アリスの冷静な声に俺は声をあげた。

教えないつもりか、と。



「―――カノンは、知らなくていいんだよ…」

アリスはそうとしか言わなかった。




――――――――――――――――




「………あ」


体を起こすと辺りはまだ暗かった。

…おかしいなあー  けっこう寝た気がするんだけどなー


まあいい。


てか此処 何処?

アリス探してくれてねぇのかな。


やっぱ自分でどうにかするしかない?


…そっか。俺が勝手にアリスと一緒にいるだけで アリスとの約束なんて一つもないんだ。

いつ消えてもどうでもいい存在なんだ。


仲間外れ、というより 最初から仲間じゃなかったんだな…。



【なんで俺を呼ばなかったんだ!?】

…呼ばなきゃいけないなんて決まり、なかったんだ。

俺が勝手に思い込んでいただけで。



――――――――――――――――




「な、俺達仲間だよな」


「そりゃな。当たり前のこと聞くなよ」

笑い合った。

あの頃は一日一日を大切にしていなかったかもしれない。

ただ毎日が楽しかった。今思えばすべてが愛おしい日々。



「なんでだよ?俺達仲間じゃなかったのかよ…」


「―――でももう仲間じゃないんだ」

奴が来なければ俺たちはあの日々を繰り返せたのに。


「何言ってんだお前ら! 俺は初っ端からどっちの味方でもなかったんだよ!何勘違いしてんの? お前らだってそうだろうが!」


目の前が暗くなって。ただ動け動けと考えて。

熱い。生きている感触だ。でも俺の手で――――



「なっ―――おま、なんてこと…」




――――――――――――――――





俺は眼を開けた。

少し、過去を思い出した。

あんなに酷い出来事なのに、もう曖昧になっている。

あの日から、ずっと すべて 覚えていこうと思ったのに。

何で、こんなに薄れて…





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