04
その時かちゃりとドアが開いた。
メイドは驚きすぎて固まっている。
私はゆっくりとそちらを向いた。
スー だ。
「アリス…」
スーは銃を持っていた。
まさか、と思った。
本当に死神の娘なんだ。
私達を、殺すのか。
「ごめんね…」
へ?
またもや驚いた。
何故 ここで謝るのだろう。
「ねぇ…」
スーは不安げに潤んだ目で私を見上げた。
私は何も言えなかった。
「何か言ってよ…じゃないと不安になる・・・・・・」
それでも何も言えなかった。
「アリス 、」
「人殺しはだめだよ」
やっと口が動いた。
「そんなこと 許されない」
「・・・じゃあアリスも私を許さないの?」
「許…さない」
ここは許すと答えるべきだったのか。
けれど私は これしか、言えない。
「そう―――」
スーは虚ろな目をした。
私は暫くそれを見ていた。
ふいにスーは俯いた。
「ごめんねぇ…」
スーはゆっくりと、銃を自分の頭に当てて――――――――――
撃った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
私はドアの前に立っていた。
微かに話し声が聞える。
少しだけ私は待って、それからドアノブに手をかけた。
ドアが開く。
メイドは驚きすぎて固まっている。
アリスはゆっくりとこちらを向いて、驚くほど冷静に私の姿を確認した。
一歩、踏み入れた。
「アリス…」
手に持った銃を握りしめる。
アリスの答え次第で 私と、アリスと…メイドの生死が決まる。
本当は、怖かった。でも絶対勝つと信じていた。
「ごめんね…」
とりあえず謝った。
返事はない。
これじゃあ話が出来ない。
・・・そう思って、また声をかけた。
「ねぇ…」
私は潤んだ目でアリスを見上げた。
なかなかの演技かな、と私は思った。
「何か言ってよ…じゃないと不安になる・・・・・・」
それでも返事はなかった。
「アリス 、」
しつこく声をかける。
「人殺しはだめだよ」
アリスはやっと口を開いた。
「そんなこと 許されない」
私は少し考えてアリスに言った。生死を決める問いを。
「・・・じゃあアリスも私を許さないの?」
「許…さない」
驚いた。
優しいアリスの事だから、許すとか、そういう事を言うかと思っていたのに。
それじゃあ、私は…
「そう―――」
私は虚ろな目をした。
演技だった。いや、もしかしたら本当の、かもしれない。
アリスは暫く私を見ていた。
―――決心する。
死のう、と。
私は俯いた。
「ごめんねぇ…」
私ははゆっくりと、銃を自分の頭に当てて――――――――――
撃った。
見えたのはアリスの驚いた顔。
世界は段々暗くなって――――
ぷつり と、切れた。