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初夏の旅人
3. 初夏の旅人
青葉のゆるやかなこもれびに
あなたは歌をのせる
光の水面は爽やかに揺れて
あなたの白い肌を滑ってゆく
やがて 彼ら初夏の旅人は
歌をつれて東へ向かった
旅人が街に着いた時
歌はとうに消えていたけれど
あなたが優しく微笑むと
カーテンが爽やかに揺れて
だれかがはっと振り返った
4.乾いた街
暗闇に包まれたある街を
轟音と爆風が呑み込んだ
叫びは声にならぬまま消え
ひしゃげた身体と
乾いた街が残された
人はこれを正義といい
平和と呼んだ
少年はスクリーンを盾に傍観者であった
数日が過ぎて
少年は一枚の写真を目にした
粉塵と鈍い血で汚れた子どもが
呆然とこちらを見つめている
少年の心の毛孔に
ドロドロとした何かが染み込んでくる
そして 自らが罪人であると感じた
(一歩が踏み出せない己が情けないのだ)
しばらくして
少年は外の街並みを眺めた
交差点を自動車が行き交い
人々は早歩きで駅へ向かっている
彼が眺めている限りでは
空を見上げる者はいなかった
しかし ビルの谷間から見える空は
乾いた街へと続いてる




