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十七話 野営地襲撃

次の日、野営地襲撃の為に冒険者ギルドに集まった俺と電子遊戯同好会は、職員の誘導で他の襲撃参加者とともに鉱山都市郊外の開けた土地に集められた。


準備の一環でステータスを確認すると、旅程や偵察任務でレベルが上がっていた。

レベル ファイターLV10 エリートナイトLV3


取得済みスキル

STR上昇Ⅲ AGI上昇Ⅲ

VIT上昇Ⅲ 剣の修練Ⅰ

盾の修練Ⅰ 鎧の修練Ⅱ


広場にいる冒険差たちはざっと数えて400人前後だろうか。大体50人ごとに班が分けられていた。

それとは別に、装備がかなりいい冒険者たちが一か所に集まって談笑している。


「結構な人数が集まっているな」


周辺を見回した感想をノーラに告げた。


「オークの大量発生で冒険者がここに集まってたようね。公式掲示板にも朝告知があったし」

「あそこに集まっている装備のいい連中の事は知らないか?」


分けられた俺たちとは別に集まっている連中を指さす。

それに横からリーゼが答えた。


「あれはミスリルクラスのパーティーだ。あそこにいるのは…吟遊詩人(バード)前線指揮官(ウォーロード)で構成された『黄昏の詩』、騎士系と戦士系クラスが専門の『マルタの鷹』、全員が魔法系クラスの『アルマンダル』だな」

「リーゼは随分と詳しいんだな」

「彼らは公式のイベントレポート動画の常連でな。何回も出てきたら嫌でも覚えるものさ」


そんな事を話していると参加者が全員集まったようで、ギルド職員が封筒を冒険者に渡していく。

全員に封筒がいきわたった所で俺たちの班担当であろう武装した女性職員が、木箱のお立ち台に立って説明を始めた。


「今回はオークの野営地襲撃依頼に参加していただき、ありがとうございます。私がこの班の作戦説明を務めさせていただきます。それでは封筒を開いて中身を出して下さい」


指示どおりに封筒の開くと、中には地図と作戦の概要が記された紙が入っていた。


「まずは現状説明から始めます。先日ある冒険者パーティがここから東の森の奥にある平原に、オークの大規模な野営地を発見しました。一番上の地図に記されている場所です。ギルドではこれが最近のオークの目撃及び被害の発生源であると判断し、今回の大規模襲撃を決定しました」


挿絵(By みてみん)


「先日の冒険者の報告によるとオークの数は約六百。集団を統率しているであろう上位種も確認されました。ギルドはそれに対し次の作戦を作成しました。二枚目の作戦概要図をご覧ください」


挿絵(By みてみん)


「作戦は四段階に分けられます。まず部隊をシルバー及びスチールクラスの冒険者とミスリルクラスパーティー『黄昏の詩』の奇襲部隊、ゴールドクラスの冒険者とミスリルパーティー『マルタの鷹』及び『アルマンダル』の伏兵部隊に分けます」


俺たちは奇襲部隊に割り当てられたようだ。


「この班は奇襲部隊ですので、森にいるオークの斥候を排除しつつ、オークに気付かれないように野営地を半包囲してください。包囲が完成した後は待機し『アルマンダル』の攻撃を合図に奇襲を開始。野営地の混乱が最高潮になった所で『黄昏の詩』がスキルを発動し、オークが平原の東へ撤退するように誘導します」


わざと逃げ道を確保した奇襲でオークの士気と組織力を削ぐ訳か。


「我々はオークを森に逃げ込ませないようにしながら東へ追撃。西側で透明化の魔法で潜伏している伏兵部隊と共に包囲網を形成しオークを壊滅させます」


相手の組織抵抗力を奪ってから包囲し刈り取る。悪くはない作戦だと思う。


「何か質問は?…無いようですので、以上で説明を終わります。それでは森の近くまで輸送する馬車に乗員して下さい」


武装職員が木箱から降りると、他の職員たちが俺達を馬車に誘導し始めた。


「ねえ、上手く行くかな?」

「さあな。俺たちの能力を把握しているギルドが立てた作戦なんだから成功率は高いだろう」


だが戦場には予想外の事が付きものだ。その時は臨機応変に対応するしかあるまい。


「何とかなるだろうさ」




          ※




俺たちは馬車に四人パーティと相乗りで森へと向かっている。

乗っている馬車は屋根は付いていないが、以前使った駅馬車より上等なようで、不整地を走っている今も殆ど衝撃を感じない。

相乗りしたパーティーは戦士系クラスの男四人組だ。


「皆さんは同じ高校の集まりなんですか?」

「うん、そうよ」

「じゃあ俺たちと同じですね!SMOの発売が決定してから絶対四人で遊ぼうぜって決めてたんですよ」


彼らは電子遊戯同好会の面々に積極的に話しかけている。

同じ学生だからだろうか、割と双方話が合っているようだ。

下心があるという感じでもない、好青年な四人組だ。

特段話に加わる気もないので外の景色を眺めながら時間を潰す。

現実と見間違うような自然の景色を眺めていると、ふと俺の仲間は今頃何をしているのだろうかと思った。

研究馬鹿のアレナは今頃魔王城の転移魔法陣解析に夢中だろうが、他の仲間はどうしているのだろう?

そんな事を取りまとめもなく考えていると、相乗りしたパーティーのリーダーらしき男から急に話を振られた。


「カイルさんって掲示板で有名なあの動画の人ですよね?」

「ん?ああ、そうだ。そんなに有名なのか、それって」

「それはもう。スキルをステータス特化に振り切ってマニュアルで体動かす方式は、最初期から提言されていましたけど、あそこまで見事に実現しているのはカイルさんくらいですよ」

「俺、握手して貰ってもいいっスか」

「ああ」

「あの男、以前俺らにも絡んで来たんスよ。ボコボコにしてくれて感謝してるっス」


リーダーの隣にいる男が差し出して来た手を握り返す。

握手した男からは尊敬の視線を感じる。こういう視線には慣れている。

戦場に俺と仲間がやってくると、兵士達がこういう目で俺達を見ていたものだ。


「そちらの冒険者ランクは?」


リーダーの男に話しかける。


「全員スチールです」

「じゃあ俺と同じだな。お互い戦功を焦って死なない程度に頑張ろう」

「はい!」


これをきっかけに彼らとの話が弾み、彼らに集団戦で気を付ける事を教えていたら、あっという間に時間は過ぎて行った。




         ※




「カイル、攻撃の合図はまだかな」

「最初の一撃はミスリルのチームが仕掛けるんだろ。大きい一撃の準備をしてるんじゃないのか」


森の周辺に輸送された俺達を含む奇襲部隊は、オークの斥候を排除し野営地周辺の森で奇襲攻撃の合図を待っていた。

時刻は夜明け前。オーク達は寝静まっている。

野営地で特に騒ぎが起こっていないという事は、他の班も気付かれる事無く斥候を排除して配置に付けたのだろう。

待機が始まってから三十分が経過している。そろそろじれてきたな。


「ねえリリウム、攻撃はいつになったら始まるの?」

「きっと少しですよルッカ」

「…流石に待機にも飽きて来た」


皆が小声でそんな事を言っていると、いきなりオークの野営地に炎が混じった風が巻き起こり始めた。

そのまま炎の風は野営地の中心にある一番巨大な天幕を包み込み、巨大な炎の竜巻へと変化する。

天幕の中にいたであろう指揮官の上位オークや幹部は天幕ごと燃やしつくされ灰となった。

炎の竜巻は最期に大きくはじけ、野営地全体に炎をまき散らしていく。

火によって明るく照らし出されたオークの野営地からは、混乱するオークの悲鳴や叫び声が聞こえてくる。


「リーゼ、さっきのはどういう呪文だ?」


仲間の中で一番詳しいであろうリーゼに聞く。


「あれはスキルで多人数の呪文を一つに収束させて威力を高めた、上級呪文の<火炎嵐(ファイアー・ストーム)>だ。素晴らしい、あれこそが我が求める炎の力そのもの!」


リーゼが興奮しながら返事を返してきた。

あれが合図なら、これからが俺たちの出番だ。


「各員、攻撃開始!」


呪文で拡大されたギルドの武装職員の声が森の四方八方から響き渡った。


「ノーラ」

「ええ、行きましょう!」


オークの野営地襲撃の始まりだ。

現時点でのサクヤのステータスです。

興味が無ければ読み飛ばしても問題ありません


サクヤ アシガルLV10 サムライLV3

種族 ダークエルフ


習得済みスキル

武術の心得Ⅳ(日本製の武器限定の攻撃、回避モーションスキル)

鎧の修練Ⅱ 剣の修練Ⅰ 

槍の修練Ⅰ 一閃Ⅱ(刀アーツ)

旋風突きⅡ(槍アーツ) 居合Ⅰ(刀アーツ)


装備品

武器

大身槍(木、鋼鉄製)

小太刀、大太刀


防具

頭 鉢金(布、鋼鉄製)

胴 甲冑一式(布、鋼鉄製)

腕 甲冑一式(布、鋼鉄製)

腰 甲冑一式(布、鋼鉄製)

脚 甲冑一式(布、鋼鉄製)

装飾品 陣羽織

セット効果 鎧の修練のスキルに補正

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