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異世界のハーレム主  作者: ポリみや
第1幕 異世界のハーレム事情
6/18

神話②

本日、四本目です。

 「なるほど、それがこの世界の成り立ちという訳だ」


誠也は、腕を組みながら話を聴いていた。なぜ、この人が神話に詳しいのか知らないが予想以上の話だったため、誠也は追加で十円玉を渡した。


「それで、それからこの儀式とやらはなんなんだ」


「おっと、ありがとさん。まぁ、そう急かすなよ」



ここからは、人間の話になる。

女神と男神がいなくなったことで、ガイアは人間たちの物になった。最初は人間たちも戸惑った。しかし、庇護する立場の神がいなくなったことで人間の社会は神話の時代に比べ発展した。王や皇帝などの統治者の登場、国という概念、宗教、そして戦争。神話の時代には不要だったものが必要になったからだ。

神の代わりの統治者。そして、統治者が誕生すれば国ができる。宗教は人の精神の拠り所として必須だった。ただ人間は神と違って世界全てを治めることはできない。故に複数の統治者、国、宗教が生まれた。だが、複数の国ができれば、人間同士で意見が対立し、戦争が起きる。


さて、ここからがこの話の本題となる。このような社会において男女に優劣を付けるならばどうなるか。答えは簡単ですべての国で男尊女卑の考えが浸透した。これは、ある意味当然の結果と言える。原始的でもっとも単純な「力」において女性が男性に負けるのは当然であり、社会が誕生する前からそのような流れになってしまっているからだ。

そして、社会は男性が要職に就き、女性はその裏方に徹した。神話とは逆の力関係で世界は回っていた。しかし、この力関係を揺るがす事態が発生した。

戦女神デーア」の誕生である。

戦女神デーアとは、女神の力の一部を持って生まれきた女の子の総称である。本来、唯一神であった女神の力、世界の創造から破壊まで多岐にわたる。しかし、戦女神デーアの能力は武器の具現化、身体能力の強化等、何故か戦闘向けの能力に偏っていた。それは、もっとも原始的な力、武力で世界を支配していた男性に対して恐怖でしかなかった。


当時の支配者たちの危惧は的中し、世界に戦女神デーアを中心とした組織、女神教が誕生した。女神教の目的は男女の平等な社会という、至極普通のことであったが、支配者は女神教を嫌った。

そこで、時の支配者は戦女神デーアの力、女神の力に対し男神の力「魔術」を開発し、戦女神デーアに対抗した。戦女神デーア自体は、かなり少数であったが、神話では男神の力と女神の力には大きな力の差がある。これは、戦女神デーアと魔術も同様であったらしく戦況にほとんど影響はなかった。これで、女神教の勝利は確実と思われた。


しかし、女性に女神の力が生まれたように、男性にも男神の力を持った者「マスター」が生まれた。

マスターの力は、人工的に作られた「魔術」とほとんど差はなかった。ただ一つを除いて。その一つの例外が、戦女神デーアへのキスによる、能力の封印である。神話同様にマスターには女神の力を封じることができたのである。これにより当時の女神教の主要メンバーは封印を施され現在に至る。


「まぁ、だいたいこんな感じだな」


「それで、どうやってここまで繋がるんだ」


「急かすなって」


今度は、男が誠也に手のひらを向けて十円玉の催促した。誠也もちゃっかりしていると思いつつ、二枚男に渡した。


「と、言ってもここから先は簡単な話さ」


事が解決した後も、稀だが戦女神とマスターは生まれることがあった。その度に戦女神を国ぐるみで捕らえ、マスターを探す。これをずっと繰り返してきたのだ。それが今回の儀式という訳である。


「それだけの話さ」


「なるほど。大体わかったが、なぜ一々、マスターを探すんだ。国が数人雇うとかすれば十分だろ」


老人の話を信じるのであれば、誠也の力とはマスターの力。つまり、マスターの力とはハーレムが作れるものであるはず。誠也は訊ねた。


「よくわかったな。マスターは数人の戦女神デーアの封印を行うことができるが、いつの時代も権力者というのは力の集中を嫌う。それだけだ」


「なるほど」


誠也は腕を組みながら頷いた。考えてみれば当たり前だ。一人のマスターに複数の戦女神デーアを付ければ、マスター一人が裏切っただけで、状況は逆転してしまうのだから。


「ありがとう。世話になった」


「あー、何かあれば今度は金持ってそこの酒場に来い」


話中ずっと、面倒臭そうだった男は、店を指差すと酒場に向かって歩いて行った。

この後、どうしようか。誠也は悩んでいた。

合法的なハーレム、男尊女卑と来れば、大体予想のできる展開である。しかし、誠也の理想とするハーレムとはこんな物ではない。ハーレムとは女の子が楽しいことが第一なのだ。いくらたくさんの女の子が周りに居ても、女の子同士の中が悪かったり、誠也と完全な主従関係になったりするのは、真のハーレムとは言えない。それはただの強制だし、男のエゴだ。そんな物は男のロマンではない。誠也の望むハーレムとは、女の子が笑っていられて、誠也自身も楽しい。そういう関係のことなのだ。


そして、誠也は決めた。取り敢えずは今後、仲間になる女の子が幸せになれるように、努力することを。難しいことはそのあと考えればいい。

誠也は決意を新たに、神殿へと向かって行った。



余談だが、誠也は基本的に女の子の幸せを第一に考える男である。そのため、決意を新たにしても女の子への接し方にほとんど差がないことに、誠也は後で気付くのだった






ヒロイン登場まであと一話です。

明日から、仕事のため次の更新は明日の夜になる予定です。

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