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異世界のハーレム主  作者: ポリみや
第1幕 異世界のハーレム事情
4/18

異世界転移





 「世界の希望は、合法的にハーレムが作れるファンタジー世界。そして、二つ目の願いは俺にハーレムを作れる力をくれ」


さっきまでのシリアスな雰囲気はどこに行ったのか。誠也はわくわくした表情で返事を待っている。誠也は切り替えるのが速いタイプである。そのためか、遥香のこれからを保障してもらったことで自分の夢に熱くなってしまっているのだ。


「普通、おぬしの年くらいじゃとファンタジーな世界で無双したいとか、最強の魔法使いになりたいとか、そういうのが多いのじゃが・・・。理由を聞いてもいいかの」


老人は若干、困惑気味ながらもしっかりと答え、質問で返した。一般人だったら確実に絶句するシーンでこの対応はさすが、上位の神様である。


「わかってないな。男が無双したいとか、財力や地位、武力を求めるのは結局のところハーレムを作りたいからだろ。だから、最初に変な能力をもらうならその時にハーレムそのものか、ハーレムを作る力をもらうのが最速でしょ。そして俺自身、女の子と楽しく過ごしたくてしかたがないんだ」


誠也が思うに、男とは可愛い女の子と仲良くなるために自らを鍛え、勉学に勤しむ。そして好きになった女の子のために戦う。つまり、男の求める力とは、手っ取り早くハーレムを作るための手段の一つに過ぎなのである。


何も恥じることはないと堂々と答えた誠也に、老人は呆れた顔をした。


「少し、極論じゃと思うのじゃが、おぬしの言いたいこともなんとなくはわかる。それにおぬし自身がそう望むなら、それで良いじゃろう」


「ありがとう、それでお願いするよ」


話が終わると老人はどこからともなく紐で綴じられた紙の束を取り出した。そのまま、物凄い勢いで紙をめくり始める。あれで内容が頭に入るのだろうか。誠也がそう思っている間に、老人は読み終わったらしく誠也の方を向き話始めた。


「ハーレムを作る力自体は難しくないが、問題は合法的にハーレムを作れる世界じゃ。どの世界でも宗教が絡む関係で法的にハーレムを認めている世界は少ない。無論、だいぶ時代的に遅れている世界でなら可能じゃが・・・それはいやじゃろ」


「絶対、嫌だ」


老人の話に対して嫌だと手を前にクロスさせる誠也。原始人みたいな生活をしながらハーレムを作っても嬉しくもなんともないからだ。その反応を受けた老人はまたページをめくるとあるページを見た。


「ならば、この世界しかないな。世界の名前はガイア。この世界は特殊な事情から、ある条件を満たした男にハーレムを作る権利を与えておる。もちろんハーレムに反対する組織も存在するが、ほかの世界に比べだいぶ少数じゃ。おぬしには力を与え、転移してもらう。これで、おぬしの希望通りじゃがどうじゃろうか」

     

「その特殊な事情というのはなんなんだ」


誠也は、バツを作っていた腕を元に戻して訊ねた。


「詳しいことは、この世界の神話、世界の成り立ちに関係することじゃから、よその世界の神であるわしは、ガイアの神の断りなしに話すことができないのじゃ」


「神様の世界にも面倒なとこがあるんだな」


「そうなのじゃ。神の間にも規約などがあっての」


老人は、どこか言いにくそうな顔で続けた。


「わしが規約の範囲内で話すなら・・・、現代日本に比べ、男尊女卑の考えが強い世界だと言えばなんとなくは想像できるじゃろうか」


男尊女卑・・・。あまり、いいイメージのない言葉である。法律で一夫一妻制を採用している日本では男が複数の女性を侍らせることがよくないこととされている。それは、女性の気持ちを考えない、女性は男の物ではないという男女平等の考えからそうなっているのだろう。そのため、ハーレム=男尊女卑という図式になってしまっているのかもしれない。

しかし誠也はそう考えていない。例え、複数の女の子とそのような関係になったとしても。もし、ある種の主従関係のようになっても。そこに、日本の理想の夫婦像のようにお互いを信頼し高めあえる。そういう関係を築くことができるならきっとハーレムとは賑やかで楽しいものになる。そう考えているのである。


「それでいいよ。俺は俺のハーレムを作るだけだ。どんな世界であっても俺の周りの女の子が楽しく過ごせるよう、俺がするだけだ」


誠也は、堂々とそう言い切った。


「よかろう。それならば今から転移を行う。今からそこに門が現れるのでそこに向かって歩くのじゃ」


老人が何もない空間に向かって指を差すとそこに、煉瓦造りのアーチ状の門が現れる。誠也は頷くとその門に向かって歩き始めた。ゆっくりとそれでいてしっかりした足取りで進む。誠也が門に近づくと門の扉が開いていく。そして、誠也の体の全てが門をくぐり抜けた瞬間、門と共に誠也自身も消えてしまった。




 「ふー、やっと終わったわい」


老人は、何も無くなった空間で疲れたように言った。


「しかし、変な青年じゃったのう」


老人は、誠也の言動を思い返す。幼馴染の心配をしていたかと思えば、次は欲望丸出しのハーレム希望である。そして、ハーレムについても自分なりの考えを持っている。真面目なのか、ただのアホなのか老人にはよくわからなかったのである。


「青年の方とはもう会うことはないじゃろうが、もう片っぽの願いを叶えんとな」


老人はそう言いながらも、とぼとぼと、どこかに向かって歩き始めた。




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