■シーン6(ジョーカー、テトラ、ディラ、コーラ、ダナ、夢)男3女3
■シーン6(ジョーカー、テトラ、ディラ、コーラ、ダナ、夢)男3女3
(※シーン0にキャラクター説明が載っています)
ディラ、コーラ、ダナ、かなりテンパっている。
ダナ「くっそおおおっ!! いうこと聞けぇっ!! ナナシ!!」
ディラ「っ――!! このままじゃっ!」
コーラ「ダナ! 前方っ! また扉や!」
ダナ「またかよっ!? クロム! またここも、ディラの声と名前でロック解除出来るんだよな!?」
夢「いえ――。そこは、……私には、……。はじめて見る防壁です。まさかこんな深くまで流されるなんて……」
ダナ「マジか……。コーラ! とりあえず繋げっ!!」
コーラ「う、うんっ!」
夢「皆、落ち着いて下さい。必ず脱出ルートがあるはずです」
コーラ「せ、声紋コード一致!! (夢「えっ?」)クロム様の声に反応しとるっ!」
夢「わ、私に?」
ジョーカー「くくくっ……」
夢「ジョーカー……。これもまた、貴方が仕掛けた罠ですか?」
ジョーカー「おいおい。幼いお前を助けてやったこの俺が、お前にそんな妙なことすると思うか?」
夢「わからない。貴方が何を考えているのか――」
ジョーカー「だがそこは開かない」
コーラ「な、なんでや!」
テトラ「だってクロムには本当の名前がないからさ」
夢「っ――」
ジョーカー「そう。その扉はちょいと工夫をしねぇと開かねぇようになってる。お前らのカスみたいな頭をフル回転させて。開放させてみろ」
テトラ「ふふふふっ!」
ディラ「……っ」
コーラ「馬鹿にしてぇっ! っ!? やばっ……!? クロム様! もし名前が――コードキーがわかったとしてもあかんわ!」
夢「どうしました?」
コーラ「鍵穴が壊されとるで!!」
ジョーカー「おお、」 夢「っそんな!?」
ディラ「鍵があっても意味がないということ?」
ジョーカー「意外とはやく気付いたな」
ディラ「クロム様っ! どうしたら!」
夢「――ディラ。」
ディラ「――はい!?」
夢「聞いて下さい。今からそちらに繋ぎます。私の深層意識領域を占拠して。
ナナシのロジカライズドライヴにコンバートして下さい。そこから鍵穴へ接続。内部から鍵穴を修復して来ます」
ダナ&ディラ&コーラ「えっ!?」
ジョーカー「……ふっ」
テトラ「あはは……。面白い発想だね。でも、まぁそれしかないかな」
コーラ「んなことさせられる訳ないやろっ!?」
ダナ「馬鹿野郎。ふざけたことぬかすな。クロム……。んなことしたらっ……!」
ディラ「――どう、なるんです?」
コーラ「最悪五感の全てを失う可能性がある……。命までは取られんやろうけど、かなりの危険行為や。
もし戻って来れへんかったら――。精神が完全に、いかれるかも知れん。そんなんは……死んだと同じやっ」
ディラ「そんな……!」
ダナ「無茶なダイブは、自我を薄く設定された新型インドランスでさえ。
接続する時の強い衝撃が与える恐怖と負荷のせいでコンバートが上手くいかないことがあるらしい」
コーラ「少しの拒否反応が出れば、ダイブは不可能やもんな」
ジョーカー「テキトーな精神力じゃぁ無理だってこった」
夢「ディラ。本接続はナナシからでないと出来ません。あなたが判断して下さい」
ディラ「出来ません……。そんな。クロム様……ボクはっ」
夢「ディラ。私たちオペレーターの仕事は、クルーと乗客を安全にナビゲートすることです。接続しなさい」
ディラ「他に方法はないんですか!? コーラ! ダナ!」
コーラ&ダナ「……っ」
ジョーカー「ククッ。方法はないかもなぁ」
ディラ「っ――く、空間転移は!?」
テトラ「こんな狭い場所で? エネルギーも足りてないんじゃない?」
コーラ「あかん。ここじゃ、転移する瞬間に重力場の量子的ゆらぎが発生してブラックホールが! あううっ」
夢「ディラ。私が言えた義理ではないですが。――私を信じて下さい。必ず帰ってきます」
ディラ「でもクロム様っ……! ボクには無理です! そんな責任は取れませんっ!」
ダナ「この扉ブッ壊しちまうのはどうだ!?」
夢「調べる限り、強固な防壁です。扉の破壊には、かなりの時間がかかるでしょう」
テトラ「それにねぇ。きっと警報が鳴ってすぐに囲まれるだろうね」
コーラ「ぐぬあ~っ」
夢「責任は私が取ります。ディラ、」
ディラ「イヤですっ……! 待って下さいっ!」
夢「時間がありません。……コーラ、」
コーラ「はっはいいぃ……」
夢「4分経っても私が戻らなかった場合。接続をパージして下さい」
ダナ&コーラ&ディラ「えっ!?」
テトラ「(ジョーカーにしか聞こえないように接続を切り替えて)ちょっ。ジョーカー、良いの? ここまでは望んでなかったんじゃない?」
コーラ「何を言うん!? クロム様!」
ディラ「クロム様を捨て去れと言うんですか!?」
夢「そうです」
ジョーカー「……」
コーラ「っ! ……イヤや……」
夢「ダナ、最悪の場合。扉を破壊し強行突破して下さい。ディラを守る為です。あちら側から開放されるであろう、キャギラには十分気をつけて。出来る限り、最速で外へ逃げれるよう――」
ダナ「もしかしてここ、クレラスの宇宙軍艦ンィヴルメの本拠地か!?」
夢「ええ。やりあって勝てる相手ではありません。なんとか逃げられれば良いのですが……。しかし、この先にもまた別の防壁があるとしたら――脱出出来る可能性はまた低くなってしまう、」
コーラ「待ちぃ! うちを選んでくれたんは、救ってくれたんは、クロム様やないですか! クロム様が拾ってくれたから。うちもナナシも、廃棄処分されずにすんだ! そんな……! 意識領域置き去りにしてパージなんかしたら、精神がどこ飛ばされるかわからん。助けに行けるかっ……!」
夢「コーラ。あなたとダナの仕事は、ディラを守ることです。私への干渉も保護も、必要ありません。……使えるものは、使いなさい」
コーラ「っ……なんで、そんなこと言うん……」
テトラ「ふふふ。どっちがインドランスなんだか」
夢「ここがキャギラでごった返す前に、こちらとの接続を切断し逃げなければ。
クレラスのガードシステムによりキャギラのモザイクウイルスを船内にばら撒かれる可能性があります。
そうなれば、コーラとダナの機能停止にも繋がるでしょう。ディラ一人では、ナナシを動かせない。わかっていますね」
ディラ「(泣き出す)っ……っ……ぅぅっ……」
夢「ディラ。泣いている場合ではありません。貴女は船長なんですよ」
ディラ「っ! ぼ、ボクが! ダイブするんじゃダメですか!?」
ダナ&ジョーカー「は?」 夢「え?」
テトラ「プッ。ふふっ」
コーラ「無理に決まってるやろ!? 中はかなり複雑で。迷路みたいになってるんよ!? それにディラはダイブ経験無いやろ!?」
ディラ「ああ……。じゃあ方向音痴のボクじゃ絶対に無理ですね」
ダナ「本当に良いのかっ! クロム!」
夢「構いません。最善の方法でしょう。他の方法では、更にリスクがともないます」
コーラ「あっ……!? あかんッ! さっきあけた扉が完全にしまるッ!」
テトラ「あーあ。やばいね。カウント開始。閉鎖まであと――19、18、17、16……。ねぇジョーカー。
なぁんで逃げ道確保しておかなかったの? 僕らも十分やばいんですけどー」
ジョーカー「敵を欺くにはまず味方から。ってな」
テトラ「あはは。全然答えになってないんですけどー」
ダナ「やべえぞ!! 閉まる……ッ!!」
ジョーカー「(さあ、どうする。お前の底力、見せてみろ)」
ディラ「クロム様ぁっ!」
夢「ディラ。泣き言なら誰にだって言えるんですよ。嘆き悲しむのは――何か起こった時になさい。
論理空間へのダイブは、ジョーカーのせいで慣れていますから。大丈夫。私なら、最短ルートで帰って来れます!」
ダナ「そう、だな……」
テトラ「プッ……くくくふふふっ。やっぱクロム、最高だなぁ」
ジョーカー「ああ。計算通りだ」
テトラ「ふっ。嘘ばっかり。面白がって何度もやらせてただけのくせに」
ジョーカー「あの遊びがこんな所で役立つとはな」
夢「むかつく男」
ジョーカー「ククッ……」
コーラ「10、9、8、7……!」
ダナ&夢&コーラ「――ディラ!!」
ディラ「出来ませぇんっ!! クロム様を傷付けるなんて出来ませんっ! あなたが居たから。ボクはこの船に乗りたいと思ったのに!!
どうしてボクが乗ったと同時に。国に帰るなんて言い出すんですかぁ~!! (泣き続ける)」
夢「ディラのこと。信じたいと思ったからですよ」
ディラ「ボクはっ……! ボクには出来ないッ……!!」
夢「っ!! ならそこで全員死にます!! それでも良いのですか!?」
ディラ「っ! (不安そうにディラを見詰めるコーラとダナを見て)わからないっ……。クロム様を、そんなっ……危険なこと、させられないっ……ですっ」
コーラ「(ディラの手を強く優しく掴み!)ディラ! 一人やないから!」
ダナ「他に方法はねえんだ!! 押せ。ディラ!!」
ディラ「っ――。……クロム様。必ず帰ってきて下さいっ――」
夢「はい。約束します」
ディラ「絶対ですよ!!」
夢「――ええ」
ディラ「っ……!(涙を拭い。作業を開始する)っ!!」
夢「っ――」
ディラ、夢の深層領域を、ナナシを通して壊れた鍵穴装置にコンバートする。
意識を失う夢。
警報が鳴り響く。
コーラ&ダナ&テトラ「!!?」
テトラ「ジョーカー。近くの座標から、生体反応。10……、いや、20、45……測定不能」
ジョーカー「ああ、やっぱりな。おい、戦闘準備しといたほーが良いぜ。ナナシの優秀なクルー様方?」
コーラ「っ! キャギラとこんな狭い場所でスペース戦闘!?」
ダナ「無理だろっ!」
テトラ「まあ、数分は大丈夫でしょ。お茶でも飲んで落ち着きなよ」
ジョーカー「そうだな」
コーラ&ディラ「落ち着いてる場合かっ!!」
テトラ「ケーキもあるよ?」
ジョーカー「ん。食う」
コーラ「大っ嫌いや! あほお!」 ダナ「てめぇらなんかっ! でぇっきれぇだ!」
テトラ「あ。そうだ。ジョーカー。そこの扉のパスコードって、結局何に設定したのさ?」
ジョーカー「あ?」
テトラ「え?」
ジョーカー「ああ、いや、俺がイジったのは、ってかやったのは、鍵穴の破壊だけだが」
コーラ&ダナ「やっぱりお前っ!」
テトラ「どういうこと? だって、」
ジョーカー「なんでクロムの声紋と一致したのかはわからん。偶然だとは思わないけどな。
――ってか、名称とか声紋はかなり複雑なプロテクトがかけられてて。悔しいが手のつけようがなかったっつうのが本音だ」
テトラ「マジかぁ……。ふふふっ。それは面白いね。ならこの扉、どんな紳士の罠なのかな。少なからず。ディラと、クロムを知る人物――だよね」
ジョーカー「お前じゃねえよな?」
テトラ「ふふふふふふっ」
ジョーカー「微妙に怪しいんだよ。いつも」
テトラ「(パンと手を叩き)それにしても~。ジョーカーにも解けないロックなんか、あるんだねぇ?」
ジョーカー「話逸らすか」
テトラ「う~ん。意外と凄い力を秘めた創造主が、眠ってるのかな? ここの星。さ。
素敵だね。ここへ来たのは、きっと、女神の些細な悪戯が決めた運命だったんだ。今この瞬間、小さな奇跡が散りばめられていく」
ジョーカー「詩的な表現が素敵だと思うなよ、馬鹿テトラ。俺は別に万能じゃねえし。知ってんだろ? 出来ないことぐれえあるっつの」
テトラ「ダメだよ。僕のマスターなんだから。もっと天才的宿命的頭脳派でいてよ。ジョーカー」
ジョーカー「俺に余計なこと求めるなって、いつも言ってんだろうが」
テトラ「寂しいなぁ」
コーラ「っ!! ダナ! めっちゃ強力な物理量の周期的変化波動を感知っ!」
ダナ「何!?」
コーラ「っ!! 避けようがないっ!!」
強烈な衝撃波が、ナナシとエドガーを襲う。
ディラ&コーラ「っきゃあああああっ!!」
ダナ&ジョーカー「ぐうっ……!!」
テトラ「ジョーカー! こっちもやばいよ」
ジョーカー「クッソ。クレラスの野郎ども。せっかちだな! 軽く押し返してやらぁ! テトラ、ファイアーウオール展開っ!!」
テトラ「了解。エドガー、船体パルス、クロックパルス、制御パルス良好。ファイアーウオール、出力40%で展開!」
衝撃波を押し返すように。テトラの特別な能力が解放。
テトラの肉体を介して、海賊船エドガーから七色の炎が放出され、ナナシとエドガーを守っていく。
コーラ「凄い……。まるで魔法やん。こんな広域に――」
テトラ「こんなことも出来ないインドランスなんて。君のOS、よっぽど欠陥だらけなんじゃない?」
コーラ「うぐう~っ」
ダナ「コーラの場合、色んな奴に改造されてっからメンテが煩雑なんだよなあ」
コーラ「ダナっ! キャギラが……!」
ダナ「ああ……。キャギラが静まった……。やはり、有名な二人きりの海賊なだけあって。噂通り能力が高い……。悔しいが、」
ジョーカー「お褒めに預かり光栄だが。もう第二破が来るようだぜ。さっきは気分で守ってやったが。少しは踏ん張れよ」
ダナ「くっ!」
コーラ「っ……!」
ディラ「クロム様……っ!」
ダナ「クロム……! はやく、はやく戻って来いっ! もう……っ!」
コーラ「クロム様……。まだなん? もう、もう限界やっ……!」
皆、夢の回線から再び彼女の声が聞こえるのを待ちわびた。
数秒黙り……。
――ナナシ、空から降ってきた怪物。キャギラ数体に船体を攻撃されてしまう。
揺れ動くナナシ。
コーラ&ディラ「っきゃあっ!?」
ダナ「っ!! き、――!」
ディラ「っキャギラ!!」
コーラ「あかん!! 防壁ロジック、侵食されていくっ! このままやと崩壊しきってナナシ沈むでっ!!」
ディラ「っ!! コーラ、副砲発射!」
コーラ「っ! で、でもこの距離やとエドガーにも当たってまうかも知れんよ!?」
ダナ「最初に一発やられてんだ。構うもんか!!」
コーラ「えええっ!?」
テトラ「あはは。そうだったね」
ジョーカー「チッ。さっき守ってやったのによ」
ディラ「ジョーカー様……」
ジョーカー「やれよ。ディラ。こっちは気にすんな。エドガーの殻は、ナナシが多少囁いたぐれえじゃ傷ひとつ着かねえよ」
ディラ「で、でもっ……!」
夢「――待って下さい」
ディラ&ダナ&ジョーカー&テトラ「っ!?」
ディラ「この声っ――!」
夢「このままでは船体に穴が開き全員死にます。防壁ロジックを再構築。多層防御と回避の強化を優先して下さい」
ディラ&コーラ「クロム様っ!」 ダナ「クロム!」 テトラ「ふふ。おかえり。姫さん」
夢「ただいま帰還しました」
ジョーカー「(安堵して)……」
テトラ「ふふっ」
夢「上手く反撃をしつつ、皆船体のチェックをお願いします」
コーラ「OKっ!」
ディラ&ダナ「了解っ!」
テトラ「うん。まあ、エアー漏れ、怖いからなぁ」
夢「いくらインドランスでも、死に繋がります。半人間体なのですから」
テトラ「そうだね」
ダナ「最新型は無重力空間でも活動が出来るって聞いたぜ?」
コーラ「どうせうちは旧式ですよう~だ!」
ダナ「(ちょっと馬鹿にして)また改造すりゃあ良いじゃねえか。コーラ」
コーラ「何をおっ!? ダナこそぉっ!」
ディラ「ま、まあまあっ」
コーラ「――!! ディラ! またっ!! 正面、来るっ!!」
ダナ「まさか――」
ジョーカー「キャギラか?」
テトラ「いや。あれは――」
ディラ「っ! あれは……アイゼルの……! メルヴィン!?」
ダークが乗っているメルヴィン、ナナシに通信を入れてくる。




