■シーン1【夢(クロム)、ジョーカー、ダーク】男2女1
■シーン1【夢、ジョーカー、ダーク】男2女1
(※シーン0にキャラクター説明が載っています)
星辰暦1706年。地球。元都内のとある場所。海底。
ネットカフェに似た場所の一室に、一人で入るパンツスーツ姿の黒凪 夢。
灯りは点けない。暗がりの中、部屋の中にある端末からネットワークを何台も立ち上げる。
すぐに、一台のネットワークに通信が入る。
夢「(嫌な顔をし、面倒そうに溜め息を吐き。その通信を受ける)……はい。何です?」
ジョーカー「相変わらずだなクロム・ロワーツ」
夢「切ります」
ジョーカー「待て。頼む」
夢「何なんですか」
ジョーカー「話がある」
夢「私も暇ではありません。簡潔にお願いします」
ジョーカー「偉い態度だな。なあ。早くこっちに来いよ」
夢「は? またその話ですか。どうして今更、」
ジョーカー「もう満足しただろ? 嘘の自由。作り事のお前は十分生きたろ」
夢「ふっ……。また死ねと言いたいのですか? あの時のように」
ジョーカー「ああそうだ。なあ、昔みたいに。気ままに航海しようぜ。今度は俺のために、死にたいと言ってくれ」
夢「……」
ジョーカー「ククッ……。なんてな」
夢「(悲しく微笑む)……」
ジョーカー「(ウイスパー)お前は、ダルダディアが良いんだもんな」
夢「え?」
ジョーカー「そうなんだろ」
夢「どうして。もうずっと長いこと会っていないんですよ? ジョーカー、何故いつもダークを目の敵にするんですか?」
ジョーカー「あんたがあいつを忘れられる訳がない。あいつだって」
夢「そんな」
ジョーカー「会いたいんだろ。本当は――」
夢「会えないでしょう。私はもう死んだ人間なのだから」
ジョーカー「会えるさ。死んだ名無しの姫はニセモノなんだからよ」
沈黙。
夢「やっぱり、知っているんですね。ダークのこと。二人は一体どういう関係なんです? 貴方は、もしかして――」
ジョーカー「賭けをしないか。クロム・ロワーツ」
夢「……賭け?」
ジョーカー「またナナシのオペをしろ」
夢「は? しませんよ」
ジョーカー「才能を棒に振るな」
夢「私にはなんの力もない」
ジョーカー「クロム」
夢「その名前で呼ばないで下さい」
ジョーカー「俺の妻になれ」
夢「えっ?」
ジョーカー「お前のオペが成功したら。な」
夢「ふっ。私は貴方の顔すら知らないのに?」
ジョーカー「一瞬見ただろ。あの時」
夢「暗がりでよくわかりませんでしたって。それにもう20年近く昔のことですよ。……まだ、黒い狐の面なんかつけているんですか?」
ジョーカー「っ……。顔半分、火傷が酷くてな」
夢「火傷……?」
ジョーカー「ああ。人様に見せられるような顔面してねぇんだよ」
夢「どうして、名前も知らない人と籍を入れなくちゃならないんです」
ジョーカー「お前だってそうだろ」
夢「私には元々の名前がないだけですよ」
ジョーカー「俺だってそうだ。――と、思えよ」
夢「何を言いたいんだかわかりません」
ジョーカー「三日後。アイゼルで夜宴がある。新女王のアナウンスメントをやるらしい。そこで俺と踊らないか」
夢「……冗談を」
ジョーカー「ダルダディアに振り向くな」
夢「ジョーカー……」
ジョーカー「あの男は屑だ。幼く脆いお前を追い込み自殺へと導いた。あんな生ぬるい白痴のことは早く忘れろ」
夢「ジョーカー。どんな関係であれ、ダークのことを悪く言うのはやめて下さい。貴方とあの人は、」
ジョーカー「あいつは俺の母親を殺した。許すことはない」
夢「え……?」
九歳の頃の自分を思い出す。
あの時。ダークも名無し姫に同じような事を言っていた。
――18年前。名無し姫の部屋。
ダーク「兄が一人居るんだけどね……。双子の」
クロム「ふたご、ですか? ダークが、もうひとり、いるの?」
ダーク「あはは。うん。一卵性だから。同じ顔だし」
クロム「いつ、会える?」
ダーク「……会えない、かな」
クロム「え?」
ダーク「父親を殺して。一人、海賊になって逃げてしまったんだ」
現実に戻る――。
夢「そう……。確かに、二人は似ている……」
ジョーカー「クロム? どうした」
夢「ジョーカー。どうして?」
ジョーカー「?」
夢「私の勘違い? 貴方はダークの、」
ジョーカー「やばい、そろそろ時間だ」
夢「私は参加しません」
ジョーカー「やせ我慢するなよ。相棒」
通信が切れる。
夢「――ばか。私は……もう。戻れないの」




