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人間不信様のハーレム世界   作者: 和銅修一
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王直属の護衛軍

「最優先は敵の勢力がどのくらいか確かめるだけだ。余裕があったらメルトの親父さんを助けるがあまり期待はするなよ。海賊たってそんな馬鹿じゃねーだろーし」

 海に入ると悠斗を眠らせた四人の人魚が待っており、偵察は当初の予定より大きく変わって七人でなることになって今のはその増えた奴らへ言い聞かせる為でありメルトへの確認だ。

 そんなメルト達、つまりは人魚達は悠斗に合わせる為に人間の足で歩いている。

「わかっております。それと貴方には私たちの早とちりで御迷惑をかけてしまいしい、申し訳ない」

 四人の中でリーダー格らしき、藍色の髪をした人魚が軽く会釈した。

「いいさ。誰だってあんな悲鳴聞いたら誤解する。それよりお前らみたいに戦える人魚はどれくらいいる? 他にも逃げ切ったやつは少なからずいるんだろ」

 いくら海賊の数が多くても何処かに穴がある。メルト達がここにいるのが何よりの証拠。そしてその穴を抜けた他の人魚も少なからずいるはずだ。

「戦力アップを考えているなら残念だが生存者は殆ど一般人ばかりで我々のような王直属の護衛軍は皆、海賊と戦いに行ったきり戻ってこない。 今戦える人魚は姫様をあの場から逃がすように命令されたこの四人だけだ」

 王直属の護衛。

 名前の通り、王に仕える兵士達だろうがそれも現状では海賊にやられてしまったと考えるしかあるまい。

「そうか、残念だったな」

「こうなってしまったのは我々が平和だからと言って怠けていたせいだ。そのせいで貴方に迷惑をかけてすまない」

「いや、そこじゃくてだなその王直属の護衛軍? って奴らだよ。お前の友達とか恋人とかいただろ」

 このリーダー格の女性(まだ人魚は女性しか会っていないが)はかなりの美人だ。性格も悪くはなさそうだ。

「恋人はいないが友人は……」

「すまんな。俺たちがもっと早くここに来てればこんな事にならなかったかとしれないのに。ったく、やっぱ人間にロクな奴はいねーな」

「それを貴方が言いますか」

 それでは自分もロクな奴ではないと言ってるようなもの。

「姫様、大丈夫なのですかこの人間は。かなりおかしな感じなのですが」

 人間なのに人間を忌み嫌っている。まるで親の仇のように。

「でも、自分の事より他の人を思いやれる良い人だと思うよ〜。こうして私たちに協力してくれてるし、さっきだって」

 何も悪くないのにプライドの高そうなあの人は謝った。

 あれは偽善でも建前でもなく、心からくるものだったのは長年人間と接触を控えてきた彼女らでもわかった。

「確かに……、悠斗殿! 何かあったら我々にお申し付け下さい。作戦を立てるのは苦手ですが戦闘なら多少自信があります」

 王直属の護衛軍は必ず試験があり、特に王の血を唯一引いているメルトの護衛を任されるのは実力を認められた者だけ。

 人魚族の中ではその地位は誇れるものであり力の証明でもある。

「おう。そん時は頼むぜ」

 彼女達は人間ではない。異形、もしくはモンスターと言われる存在だ。

 だからこそ彼女達は信じられる。これは人間不信が治っても後遺症として残るだろう。

「ふふ〜ん、ディアラちゃんがそんな事言うなんてやっぱりあの人に頼んで正解だったね〜」

 偶然であったが、それは必然だったのが如く話が進んでいき、こうして王が捕まっているであろう城へと向かっているがあの時、会ったのが他の誰かだったらどうなっていた事か……。

「それはどうゆう意味ですか姫様」

「別に〜言葉の綾だよ〜。それよやも早く行かないと置いてかれちゃうよ」

 こそこそ話をしている間に二人は取り残されて他の皆の背中が小さくなっていたのでメルトは急いでその後を追いかける。

「ま、待ってください姫様!」

 恐ろしくメルト足は遅かったが仕える身として、王に守るようにと頼まれているで追いかけないわけにはいかない。

 訓練されたその足でたった数秒で追い抜いて疲れたと訴える姫をおぶって変わった協力者の元へも向かった。




「ふい〜、海はやっぱ広いっすね〜。探すのだけでも一苦労っす」

「文句を言うな。まだ始めてからそんな経っておらんぞ」

 悠斗達が海底エリアへ行っている間、海賊が海から出てこないか空で

「でも本当にいるってわけじゃないんすよね? だったら適当で良いんじゃないすか?もう飛ぶの疲れたっす」

「む、それはそうだが可能性はゼロではない。気を引き締めて……っておい貴様!何を休んでおる」

 既にオラスの背中に顔から突っ込んでほっぺに鱗を引っ付け、尻を高く上げてダラけていた。

「え〜、だって竜人は飛ぶのが苦手なんすよー。それに悠斗がいないからつまんないっす」

「だから言って頼まれた仕事を放棄するというのは……」

「ですが休息は必要ですよ。無理して体を壊しては本末転倒ですからね」

「む〜、確かにそうじゃな。だが目で探すぐらいできるじゃろ」

「ぬい〜っす」

 やる気のない返事で海の上からの見張りは結局オラス上に乗った四人が下を覗く形になったが今だ船どころか何も発見出来ていない。

 それが逆に不気味で不安になるが、悠斗の命令通り、彼女達は下にある海をじっと見つめて何が起きてもいいように備えた。

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