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人間不信様のハーレム世界   作者: 和銅修一
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煌めく海

「うぉっほ〜い、海っす。おいら初めて来たっす」

 一番先に海に飛び出したのは羽をぴょこぴょこ動かしてはしゃいでいるホグア。それに続いて水着の少女たちはドラゴンから降りて海を見つめる。

「これが海か。城にばかりいたせいで久しいな。泳ぎ方を忘れていなければ良いのだがな」

「眼鏡外した方がいいですよね」

「綺麗ですね。心が洗われるようです」

 ちょうど水着なのですぐに泳げる。それに誰もが泳ぐつもりでいる台詞だ。

 ホグアは既に足を水につけている。

「てか、レイナは大丈夫なのか?」

 機械少女の彼女には水などは天敵で前みたいに煙をあげたりはしないかと心配いになる。

「はい。防水対策は万全です。水深一万キロ程度なら耐えられます」

「それはもはや防水の域を超えてるぞ!」

「駄目ですか? どんな状況にも対応できるように設定したのですが」

 設定とはまた機械らしいが見た目だけだと全く違いが分からない。水着の谷間の胸も実物のものとしか思えない。

「……まあ、いい。ほら遊んでこいよ。他の奴らはもう始めてるぜ」

 ホグアをはじめとしてアリア、ミノスもこの暑さを吹き飛ばす為に海ではしゃいで遊んでいる。

 ミノスはしっかり眼鏡を外しているので新鮮な光景だ。

「悠斗様は遊ばないのですか? 海に入った方がこの暑さは紛らわせられるかもしれませんよ」

 確かにこの暑さはキツイ。一気に夏が訪れてきた感じだ。時々吹く風も大した効果はない。しかも足場は砂だ。裸足になって海に行こうものならそれが太陽から溜め込んだ熱を放出してくるだろう。

 それはそれは長い道のりになる。

「俺はいい。柄じゃないし、行ってもホグアとかに振り回されるのがオチだ」

 竜人だからこの暑さでもへっちゃらなのだろうか? いつものように元気いっぱいだ。

 一方、こちらはダルさと汗の鬱陶しさしかない。そんな状況で遊ぶ余裕なんてない。

「ですが、私だけ楽しんで悠斗様を置いて行くことはできません。悠斗様が行かないのなら私も行きません」

「頑固だな。それか俺の言うことが聞けないってことか? 俺がそんなこと望んでないってことぐらい分かるだろ」

「そ、それは承知の上です。私がそうしたいのです」

「なら、命令だ。お前は俺がいいと言うまで海で遊んでこい」

「ゆ、悠斗様……。分かりました」

 こうゆうやり方でないとレイナは言う事を聞かないと知っている悠斗だからこその言動。

 レイナはそれを読み取って駆け足で海に向かった。

「ふぅ、俺の周りには面倒な奴しかいないな」

 砂をザクザクと進み、犬でいう伏せの体勢にあるオラスの影に座り込んで三人の輪の中に入ったレイナの様子を見ながらつぶやいた。

「それって私も入ってますか?」

 先客で隣に座っているのは今海ではしゃいでいるホグアとは正反対に真っ白な肌のエル。彼女には麦わら帽子が似合うだろう。

「当たり前だ。例外はミノスぐらいしかいないだろ。あいつは魔法の扱いが不慣れなだけで少し特訓すれば何とかなるし、真面目だ。口のうるさい奴よりはマシだろ」

「それは差別ですよ。人間も異形も機械も皆平等なのですから優劣をつけないでください」

「なら全員面倒な奴ってことで」

「そういう意味ではなくてですね……」

 分かっている。彼女が言ってることが正論なことくらい。

「で、お前は泳ぎに行かないのか?女同士なんだから遠慮する必要はないだろ」

 女四人の中に男一人は窮屈だがエルみたいな女子らしい女子なら問題なく混れるはずなのだが彼女は日陰から動こうとはしない。

「いえ、聖職者が遊ぶといのはどうかと……。それにお肌が焼けてしまいますし」

 なら日焼け止めを塗ればいいと思ったがこの世界にそんな便利なものはなかった。

「本当にそれだけが理由か?実は泳げないだけじゃねーのか」

「う……べ、別にそんなことありません。それに聖職者に必要ないことじゃないですか!」

「やっぱり泳げないんだな」

 最後の方とかほぼ本音がダダ漏れだったし流石に悠斗でもそれぐらい分かった。

「そうですよ。あの街からほとんど出たことありませんから」

 もう開き直ったらしく普通に喋ってくれたが何か怒っているようだ。

「ならそう言えよ。暇だし俺が教えてやろうか?」

 何年も海に行ってないがそれなりに泳げたからちょっとしたことなら教えられる自信がある。

「いえ、いいです。レイナさんに教えてもらいますから」

 そう言うと逃げるように海の方へ走って行ってしまった。

 まあ、ホグアやアリアを選ばなかったのは懸命だ。あの二人だと命が保証されていない。

「ふっ、まるで年頃の娘をもつお父さんじゃな」

 茶化してきたのは山と勘違いしてしまうほど巨大なドラゴン、オラス。三人の意見をかき集めて名付けた。

「やめろまだ俺はそんな歳じゃない。それよりオラス。まだ行けそうか?死ぬ前に教えろよ。その前に別の移動手段探さねーといけねーからよ」

 ドラゴンの寿命なんて知らないし、オラスに頼りきりの今。

 彼がいなくなるだけでかなり予定が崩れてしまう。

「若造が偉そうに。心配はいらん。お前さんよりは意地でも長生きしてやるわ」

「そうか……」

 海で元気に遊ぶ眺めてそこから太陽を経由して横になり、ゆっくりと目を閉じて賑やかな声を子守唄にして眠りについた。

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