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人間不信様のハーレム世界   作者: 和銅修一
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白い強敵

「よお! エル。こんな所でどうした」

 悠斗は昨日の報告と今日の事を話す為に教会へ向かう途中でエルに会った。

 そして今日はミノスではなく、アリアとホグアと一緒だ。あとの二人にはどうして気になることがあったのでもう一度森に行ってもらって調査をし直してもらう事にした。

「榊さん……」

「ああ、エルはこいつら知らないか。この金髪で目つき鋭いのがアリア。そして馬鹿っぽいのがホグアだ」

「ちょ、おいらの説明ひどくないっすか」

「そうだぞ主。目つき鋭いとは酷いではないか」

「それお前の事じゃん。なら言い方変えて、ホグアは単純、アリアは凛々しい目つきにしよう。これなら問題ないだろ」

「おお〜、なんか良くなった気がするっす」

「ふっ、やっぱり単純だなホグアは」

 そこが彼女の長所でいいところなのだが、可愛いところでもある。

 だが、それにしてもエルの様子がおかしい。

 知らない二人と勝手に話をしてたから、呆然していたのかと思ったが彼女の性格を考えると

「人をからかうのはやめなさい。神はいついかなる時でも見ているのですよ」

 とか言いそうなものだが、口を頑なに閉ざしている。

「榊さん……私の……私の教会が燃えてしまいました」

「ま、まさか白い炎っすか!」

「違うな。前見ただろ、木が燃えてなかったのを。あの炎は物体とかには効かない。ただの放火魔だろ」

「あの……その時、犯人を見てしまったんです。見間違えるわけがありません。とても特徴的でしたから。あの人は昨日、私を脅した男性です」

 悠斗の脳裏に忌々しい顔が浮かび上がった。

「あの野郎……、逆恨みかよ。で、いつなんだそれは?」

「つい、さっきです。たまたま通りかかった魔道士さんが水の魔法で火を消してくれましたが、もう教会はほとんど燃え尽きていました」

「アリア、ホグア行くぞ! カエルみたいな顔をした男を見つけるてとっ捕まえるんだ」

「うむ、承知した」

「了解っす」

「ま、待ってください。争いは駄目ですよ」

 各々が出発する中、エルの声が背中に響いた。いつもの、前と変わらないエルだったのでもう心配は無用だろう。

 あとはこちらだけ。

「ったく! 何処行ったんだ」

 この街は道が狭く、入り組んでいてホグアが空から探しても見逃してしまう可能性がある所だ。

 だけど走っていればいつか会えるかもしれないと思い、走り続けると街の中で白い炎の柱が立った。

「あ、あれは……もしかして」

 そうとしか考えられなかった。

 昨日、あれだけ探しに探しても見たからなかった白い炎の使い主がいるのだ。

 ここは行くしかなかった。白い炎は罪をかき消すのではなく、罪ある者を燃やし尽くすのだと迷いの森で知ったからだ。




 白い者は炎に包まれる物体を見つめていた。

「ふむ、少し出力があり過ぎたか。これでは目立ってしまう。早急に立ち去らねば」

 白い刃を白い鞘にしまって足の向きを変えたが、その先には悠斗が堂々と立って待ち構えていた。

「やっと見つけたぜ。すまないが俺に捕まってありがたい説教を聞いてはくれないか」

 白いお面に白い服に白い刀。それに足元にはギョロ目男の体であろう物が白い炎で燃えている。

 間違いなく、白い炎の使い手。悠斗は怖じけることなく語りかける。

 だが、白い者は何も聞こえないかのように悠斗を通り過ぎようとする。それを悠斗は剣の腹で通行止めして無理やり止める。

「何のつもりだ。我は罪なき者には用はない。それに忙しくて説教など聞いておれん」

「それだと何の成果もなく、帰らなくちゃいけないんだよ」

「なら、我の名前でどうだ」

「いや、その趣味の悪いお面でどうだ」

「戯言を……。貴様は参加者であろう。あまりこの世界の事に関わらない方が身の為だぞ」

「ならお前は何なんだよ!」

 一回転して横に斬りつけるが空振りに終わり、そこにつま先立ちされた。

「我は煌炎。罰を与えるものであってそれ以下でもそれ以上でもない」

 悠斗の右頬に衝撃が走った。だが、手に何か掴んだ気がする。

 目を凝らしてよく見ると、それは煌炎が着ていた服の切れ端。これと名前の情報しか掴めなかったとは我ながら残念に思う。

「いや、いや〜。ナイスガッツ。あんたみたいのを待っていたんだ」

 倒れている。そう気づいたのは声が上から聞こえてきたからであったが、悠斗はその人の顔を見ることなく気を失ってしまった。

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