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人間不信様のハーレム世界   作者: 和銅修一
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初のダメージ

 着々と進む中、悠斗たちの目には大きな建物が映った。

 白い外装で、色鮮やかなステンドグラス。

「あれが大聖堂ヴェルミリョーネ。世界最大の聖堂だ」

「なるほど、確かにあそこには天使どころか神様だっていそーだな」

「いや、あそこには例の天使は居ない。街の手前にある小さな教会にいる」

「そ、そうなのか」

 なんか神様もいそーだなとか言ってしまったので凄く恥ずかしい。

「大丈夫ですよ悠斗様。誰だって間違えることはあります」

「ありがとなレイナ。励ましてくれて」

 励まし、というよりレイナの一言で空気が変わったのでそれが良かった。

 お礼なんてできないので、感謝の気持ちを込めてさらさらな水色の髪のある頭を撫でてやった。

「い、いいえ。私は悠斗様の為に存在しているのでこれぐらい当たり前です」

 撫でられるのが嫌だったのか、顔を赤らめて(うつむ)いてしまった。

「ぬ〜、眼鏡っ娘の次はレイナか。ずるいではないか 」

 アリアは不機嫌そうに座っているオラスの鱗を叩いて暴れ出した。

「暴れるな、暴れるな。なんならお前もレイナみたいに撫でてやろうか」

 なんとかアリアの暴走を止めようと手を伸ばして頭を撫でてやろうとする。

「な!し、しかし……いきなりというのは少し緊張してしまう」

「なら他のにするか。何して欲しい」

「そ、そうだな……ならキ」

「おいら撫でてもらったことないっす〜」

 身を乗り出し、勇気を振り絞ってその言葉を口にしようとしたがホグアの元気な声に邪魔された。

「そうだったか?まあ、ギランカ戦の時は頑張ってくれたしそれぐらいならいいぜ」

「やった〜〜〜〜っす」

 喜んでホグアは悠斗の膝上に乗った。

「お、おい近すぎだろ」

 距離が近すぎて見えないところまでよく見える。ホグアの褐色肌がとても綺麗で見ただけでモチモチしていることが分かる。

 いや、全体的なことを考えるとムチムチしてるとも言える。

「え、ダメっすか?」

「駄目ってわけじゃないがその感触が……」

 柔らかい太ももの感触。服越しにだがその温かさが伝わってくる。

「感触?」

 何のことか分からないホグアは振り向いて悠斗の方を向く。その際、大きな胸がぶつかった。

 それは圧倒的破壊力。近くで見るとここにいる中で一番大きいことがより分かる。

 このままではいろんな意味でやばい。早くどいてもらうためにホグアの頭を撫でてやると、角が当たったがそれ以外はフンワリしていた。

「とにかく、ほら終わったぞ。もういいだろ」

「え〜、もっとこうしていたいっす。ダメっすか?」

「駄目だ。俺は頭を撫でてやるとは言ったが膝の上に乗っていいとは一言も言ってない」

 それにこれ以上いられたら精神的に問題がある。嫌というわけではないが早急に立ち退いて欲しい。

「仕方ないっす。今回はナデナデだけで我慢するっす」

 ホグアは快くどいてくれたが、悠斗は今回はという言葉を聞き逃さなかった。

 つまり、言葉的に次も何かしなくてはいけないらしい。

 また同じようなことをしなくてはいけないと考えるとどっと疲れが出て悠斗は自然とため息が出た。

「そうだ! アリアは何を言いかけたんだ」

「もういい。主の馬鹿」

 どうやらさっきよりも機嫌を悪くしたみたいで、そっぽを向いて顔を見てくれない。

「はぁ……ったく、女ってのは扱いが難しいな。ミノスならアリアがなんて言おうとしたか分かるか?」

 ホグアの意見は決して参考にはならないので、レイナに聞こうと思ったが頭を撫でてからずっと俯いて黙っていて聞こうにも聞けないのでここは一番まともなミノスに聞いてみることにした。

「そ、それは私が言ってしまっていいものかどうか……アリアさんに許可をもらわないと」

「そのアリアがあの状態だから聞いてるんだろ。いいよ許可なんて。ほら、教えてくれ」

 顔を近づけられたミノスは困ってしまう。ここで本当のことを教えればアリアは傷ついてしまうかもしれない。だけれども悠斗がアリアの気持ちに気づくには直接言うしかない。

 ゴクリと唾を飲んで口を開いた。

「いいですか? アリアさんが言おうとしたのはキ……」

 キス。それを言おうとしたがそれはオラスの着地の衝撃でかき消されて、ミノスは揺れで態勢を崩してして短い悲鳴をあげた。

「きゃあ!」

 前に倒れそうになるが、それは正面にいた悠斗に胸で受け止められて免れた。

「ゆ、悠斗さんすみません」

「いいさ。それより大丈夫か?怪我とかしてないだらうな」

「だ、大丈夫ですよ。私そんなやわじゃありませんから」

 なぜだろう。また、あの時のみたいに胸の中が温かくなっていく。これは、悠斗さんのせい?

 ミノスは悠斗の顔を直視できなかった。今見てしまったらどうにかなってしまいそうだったからだ。

 そして彼女は心だけではなく、体まで温かくなっていた。

「あ〜、る〜、じ〜」

 今まで元気のなかったアリアは目を光らせて立ち上がり、ゆっくりと悠斗へと向かっていく。

「え? な、なになに?」

 悠斗は気づいていなかった。今、他の誰かから見るとミノスに抱き合ってるように見えると。

「ぬわーーーーーーーーーーーーー!」

 そして悠斗はこの世界に来て、初めて大きなダメージを受けた。

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